[ 2002年3月期 通期 連結決算説明会 ]連結業績概要
経理部長 江南 清司
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お手元の決算短信に沿ってご説明させていただきます。
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まず連結決算からです。決算短信12ページの連結損益計算書をご覧ください。営業利益が昨年対比で984億円減益となった要因については社長から説明がありましたが、その中で、収益構造改革費用を361億円と言いながら、リストラクチュアリング費用259億円が表示されています。誤解を避けるため、また、ご理解いただくために、この関係について補足させていただきたいと思います。
SEC基準に準拠した会計処理となっていますので、収益構造改革費用361億円は原則、営業利益に包含されております。収益構造改革費用361億円のうち、拠点の統廃合、製造拠点の移動、製品終息、従業員の早期退職、あるいは特別転身援助等を進めてきましたが、これらで一時的に、直接費用が発生したものが319億円ございます。319億円のうち、会計上原価性ありと判断された費用は売上原価に参入され、販売費及び一般管理費と認定された費用259億円のみがリストラクチュアリング費用として会計上表示されています。弊社にとってはいずれに表示されようと、収益構造改革のための一時的費用であることには変わりないと考えています。また、361億円と319億円との差額42億円は工場閉鎖や製品移管に関係した分析上の機会損失で、やはり売上原価に含まれております。
次に営業外損益のところで支払利息が若干増加していますが、これは資金的に困って借入金が増加したわけではありません。むしろ、借入金は減っています。ただ、為替予約時のヘッジ費用を実質金利と判断して、当期から仕分けを変更しました。そのために支払利息が増えたということです。
それから、営業外損益の「その他」項目は64億円良くなっていますが、主な項目の1つは、2001年3月期に計上したヘッドウェイ社購入時の一時的無形固定資産の一括償却44億円がなくなったことです。経常的な通常の設備処分として2001年3月期は29億円ありましたが、2002年3月期からはSEC基準によると営業外ではなく、販売費及び一般管理費に入れるということでこの科目に振り替えたことによる費用の減。これらが大きな要因になっています。ただ、通常の設備処分は販売費及び一般管理費に含めて、リストラクチュアリング費用には含めていないということです。また、少数株主損益がプラスになっていますが、残念ながらこれは赤字を一部少数株主の方々にもっていただいた結果です。
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決算短信13ページの貸借対照表をご覧ください。昨年と今年の3月末比較になります。総資産額が7,509億円となり、693億円の減となっております。昨年と今年の3月末の為替レートは、米ドルで123円90銭が133円25銭、ユーロも109円33銭が116円14銭と、ともに円安となっています。したがって、海外資産の円換算影響額では210億円の増加要因となっていますが、それでも総資産合計では693億円の減となりました。
まず、資産の部ですが、「現金および現金同等物」で252億円減少しています。これは賞与、配当、納税等の決算資金326億円、設備資金588億円等の資金需要が必要だったことによります。前期の減価償却費619億円の範囲内で設備投資を抑制する、あるいは在庫削減を図るなど、資金の改善を進めてきましたが、資金の源泉となる利益が赤字だった事が主因です。それから、TDK本体で3月末まで実施した特別転進援助絡みの退職金が150億円ございます。これは4月度の支払いになりますので、3月末段階では未払い金に計上され、現金には反映されていません。棚卸資産は、為替が円安だったので約33億円の増加となりましたが、在庫もなんとか減り始めて、253億円の減少になりました。今期も引き続き、一層の在庫削減に努めたいと考えています。流動資産の部の「売上債権」と流動負債の部の「買入債務」が、ともに大きく減少しています。これは、受注減からくる操業ダウンに起因しています。
固定資産の部の「前払い年金費用」、「その他の資産」、固定負債の部の「未払退職年金費用等」、および資本の部の「その他の包括損失累計額」に大きな数字的な変動がございます。これは、年金に関わる米国会計基準に従って処理したもので、ABO(累積給付債務)の額との比較で、株価の下落等で年金資産が積み立て不足になったことから積み立て不足にならなければ、表示不要であったバランスシートの非表示の不足額を退職給与債務として負債認識して前払年金費用と相殺するとともに、損益面では期間損益計算書を歪めないために、直接資本勘定を減額し、同時に税金相当分を繰り延べ税金として処理したことによる影響が主な要因です。「その他の包括損失累計額」には、円安による外貨換算調整額160億円がプラス要因として入っています。
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負債の部の「未払税金」が減少しているのは、赤字決算のためです。資本の部の「その他の剰余金」も大きく減少していますが、1つは、当期欠損248億円、配当金80億円、海外現地法人でのルールにのっとって利益準備金に未処分利益を振り替えた23億円により「その他の剰余金」が減少しています。
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決算短信の11ページをご覧ください。製品別売上高がございます。社長の報告と一部重複しますが、売上高、その構成割合、ならびに売上高対前年比伸び率をご報告いたします。
まず、電子素材部品部門ですが、売上高4,329億円、全社に占める構成割合は75%、前年比伸び率22%の大幅ダウン。
電子素材部品中の電子材料製品の売上高は1,618億円、全社に占める構成割合は28%、対前年比24%のダウンです。電子材料製品のうち、過半を占める積層チップコンデンサの構成割合は63%、対前年比23%のダウンです。フェライトおよびマグネットが、残りの37%を占め、対前年比25%ダウンとなっています。電子デバイス製品の売上高は1,059億円、全社に占める構成割合は18%、対前年比27%のダウンです。
電子デバイス製品中、主要な製品カテゴリーであるインダクティブデバイスは構成割合53%、対前年比30%のダウンとなりました。高周波部品は構成割合16%、対前年比47%の大幅ダウンとなりました。パワーシステムズその他は、アミューズメント向けDC/DCコンバータの好調で、構成割合は31%、伸び率は横ばいとなりました。記録デバイス製品の売上高は1,470億円。全社に占める構成割合は26%、対前年比13%のダウンです。
記録デバイス製品のうちHDD用ヘッドは、上期は競合他社に遅れを取った30GB/P製品が主流であったこともあり、売上高を大きく落としました。下期は40GB/P製品の評価が良好で出荷も進み、シェアも回復したこともあって、売上高の落ち込みをかなり押さえることができました。結果、記録デバイス製品に占めるHDD用ヘッドの構成割合は87%、対前年比13%ダウンにとどまりました。その他、各種ヘッドが残り13%の構成割合で、対前年比15%のダウンとなっております。
電子素材部品部門中、「IC関連その他」の製品は、半導体の売上は大幅に減少しましたが、電波暗室、暗室測定システムの売上が増加したこともあり、売上高は182億円、全社に占める構成割合は3%、対前年比29%のダウンとなりました。
次に、記録メディア・システムズ部門です。売上高は1,421億円、全社に占める構成割合は25%、対前年比伸び率は為替の助けもあって、3%の増加となりました。基本的にはオーディオ・ビデオテープの総需要減少による売上高の減少、CD-Rの売上高増、あるいはレコーディング機器、ソフト商品の売上寄与、コンピュータ用データストレージテープの新規格(LTO)の承認取得による販売増でカバーしました。記録メディア・システムズ部門中、オーディオテープの構成割合は12%、対前年比19%のダウンです。ビデオテープの構成割合は31%、対前年比5%のダウンです。オプティカルディスクは構成割合26%、対前年比9%のアップです。レコーディング機器等その他の構成割合は31%、伸び率22%のアップとなっています。
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弊社では記録通信の分野を中期計画の中で重点分野と位置づけていますが、売上をこの観点から申し上げます。全社に占める記録分野の構成割合は、中期目標45%に対して43%、伸び率は11%のダウンとなりました。通信の構成割合は、中期目標20%に対して9%、伸び率は50%のダウンとなりました。
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先ほど報告した電子素材部品部門の売上高4,329億円を100とした時の分野別の構成割合と前年比伸び率を、社長報告と重複しますが申し上げます。情報機器、主にPC関連ですが構成割合48%、伸び率15%のダウン。通信、主に携帯電話関連ですが、構成割合11%、伸び率51%のダウン。AV関連が、構成割合17%、伸び率11%ダウン。自動車分野は構成割合9%、伸び率5%のアップになっています。部品分野は構成割合6%、伸び率25%のダウンです。家電分野は構成割合3%、伸び率17%ダウンです。
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決算短信17ページを見てください。上段に事業の種類別セグメント情報があります。電子素材部品部門の営業利益が大幅な赤字、マイナス347億円になっていますが、これは全般的な操業ダウンに加えて、大幅な収益構造改革を実施した結果です。直接的な構造改革費用は319億円と申しましたが、そのうちの286億円が電子素材部品に含まれています。また、構造改革に伴う機会損失42億円の大半は、電子素材部品部門に起因しています。
記録メディア・システムズ部門の営業赤字マイナス74億円は、状況の変化でさらなるリストラの必要があったこと、新規事業の立ち上げが若干遅れぎみであることに起因しています。当期は黒字化を計画していましたが、達成できませんでした。当期赤字には構造改革費用33億円が含まれています。
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同じく決算短信17ページの下段に、地域別売上高があります。国内の売上高は、前年同期比26%ダウンの1,649億円。HDDヘッドを筆頭に、ほとんどの製品で売上を大きく落としました。
米州地域の売上高は前年同期比14%ダウンの1,133億円。電子材料、電子デバイス製品は低調でしたが、レコーディング機器の寄与による記録メディア・システムズ製品の売上増加でカバーしきれませんでした。
欧州地域の売上高は、前年同期比21%ダウンの800億円となりました。製品の動きは米州とほぼ同じです。ただ、電子材料、電子デバイスの落ち込みが米州より大きかったということです。
アジア他の地域の売上高は、前年同期比8%のダウンの2,167億円となりました。電子材料、電子デバイス製品の低調に加えて、この地域で売上構成比率の高い記録デバイス製品が、後半かなり挽回したものの売上減少となりました。
この結果、海外売上高の合計は4,101億円、対前年比12%ダウン。売上高に占める海外売上高の比率は、3ポイントアップの71%となっています。
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決算短信20ページに単独の損益計算書を掲載しています。売上高が対前年比30.6%ダウン、3,178億円で1,399億円の減となっています。営業利益は前期261億円に対して、マイナス85億円。経常利益は前期501億円に対して76億円。当期利益は前期87億円に対してマイナス38億円と、大幅な減収減益となりました。営業利益が大きく減ったのは、連結と同様、大幅な減収、操業度の悪化、売価値引き等によるマイナス要因を合理化、コストダウン等でカバーできなかったということです。経常利益段階でマイナス幅が79億円ほどさらに膨らんでいますが、これは子会社からの配当が減少したことによるものです。特別損失の部がありますが、前期に退職金給付信託を設定した結果、500億円の損失が出ました。その中の有価証券部分について評価益が出て、差し引き347億円の損失となりましたが、当期はこの要因はなかったというプラスの影響。逆に、事業構造改革特別損失が149億円発生しました。ここの差し引きで、税引前利益では210億円の減にとどまったということです。この事業構造改革特別損失は、連結では営業利益段階でのリストラクチュアリング費用に振り替えて、259億円の中に含む形で表示しています。
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最後に決算短信10ページの2003年3月期の業績見通しをご覧ください。売上高5,800億円とありますが、この内訳は、電子材料1,633億円、電子デバイス1,104億円、記録デバイス1,469億円、IC関連その他155億円、記録メディア・システムズ1,439億円で合計5,800億円です。
直面する第1四半期の内訳は、電子材料411億円、電子デバイス273億円、記録デバイス382億円、IC関連その他44億円、記録メディア・システムズ340億円で合計1,450億円と考えています。
以上をもちまして、2002年3月期決算概要ならびに2003年3月期見通しの説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。