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[ 2021年3月期 第2四半期 決算説明会 ]Q & A

Q1. MLCCの需給状況を教えてください。自動車市場向けは需要が回復してきていると思いますが、下期をどう見ていますか。
A1. ご指摘の通り、7月頃から自動車市場向けを中心に回復が見られ始めています。TDKは回復を見据えて戦略的に増やしていた在庫で対応していますので、お客様にご迷惑をお掛けする状況にはなっていません。下期にかけてこの回復傾向は続くと見ていますが、まだ立ち上がり段階ですので、一部のお客様における在庫積みが含まれていることも考えられます。自動車の生産動向や販売動向を見ながら対応していきます。また、長期的には環境対応車の比率が増えてくることにより、より信頼性が高く、定格電圧の高い製品が増えていくと見込まれます。コロナの感染拡大第二波、第三波というリスクも考慮に入れて慎重に需要を精査し、準備をしていきたいと考えています。
Q2. 来期におけるMLCCの生産能力増強について教えてください。
A2. 自動車向けの部品は、お客様に承認されてから実際に使用されるようになるまでに時間がかかりますので、現在のポジションをキープしながら、順次増産対応していきたいと考えています。環境対応車の特に電圧の高い領域において、TDKは強みを発揮することができますので、開発を進めると同時にポジションを確保していきます。
Q3. MEMSセンサの現在の状況と、センサ応用製品セグメント全体の黒字化のタイミングについて教えてください。
A3. 第1四半期の落ち込みが大きかったMEMSセンサも現在回復してきており、主に中国スマートフォン向けの販売が伸びています。引き続き顧客基盤を拡大することにより、モーションセンサやマイクロフォンなどの戦略製品を中心に、第2四半期から第3四半期に約2割伸ばす予定です。マイクロフォンは一部で量産の立ち上げが遅れていますが、今後の立ち上がりによってスマートフォン向け、IoT向けなどで上乗せを図り、MEMSセンサ事業を大きく伸ばしていきたいと考えています。
セグメント全体の黒字化についてですが、今期は自動車向け需要の落ち込みだけでなく、コロナの影響も受けています。コストダウンの成果も出していきますが、マクロ環境を見極めながら来期以降の計画を検討していきます。可能な限り早期に黒字化を達成していきたいと考えています。
Q4. TDKのパワーセルはパウチ型に特化していますが、円筒型に対してどのような優位点があるのでしょうか。また、パウチ型のパワーセルは比較的新しい試みかと思いますが、認知度が市場で上がってきたのでしょうか。
A4. パウチ型は高温にならず、ハイパワーを出せるメリットがあります。認知度が上がってきたというより、我々が市場開拓をしているところです。
Q5. パワーセルは、どのような用途向けで実績が出ていますか。また、電池全体の売上におけるパワーセルの比率は現在どのくらいで、来期以降どのように増えていく見込みか教えてください。
A5. 今期から日本、ヨーロッパ、アメリカ、中国などのさまざまなお客様に量産ベースの出荷を開始しており、家庭用蓄電装置や電動二輪車向けの実績が出ています。電池全体の売上におけるパワーセルの比率はまだ5%程度ですが、設備投資も行っていきますので、来期以降二桁に伸ばしていきたいと考えています。
Q6. パウチ型のパワーセルは、家庭用蓄電装置より電動二輪車や掃除機のようなモバイル系デバイスの方がメリットを活かしやすいと思いますが、来期以降狙っているのはどのような用途向けでしょうか。
A6. ご指摘の通り、パワーセルは用途が異なれば求められる性能も異なりますが、TDKはどちらかではなく、両方狙っています。家庭用蓄電装置向けの電池においては、独自の材料技術や設計技術などにより、安全性が高く、長寿命の製品を作ることができます。電動二輪車や掃除機などモバイル系デバイス向けの電池は、非常に高い安全性や信頼性が求められますので、これまで培ってきた技術をフルに活用して、売上拡大を図っていきたいと考えています。
Q7. 宅配の電動化が世界的に進んでおり、中国でも非常に伸びる市場と見ています。TDKのパワーセルはそのような用途にも使用されるのでしょうか。
A7. コロナ影響によって中国でシェアバイクが増えてきており、そこに電池が使用されています。TDKは電池の安全性の高さを売りにシェアを獲得していきたいと考えています。宅配電動化の流れは我々も注目をしています。
Q8. 5Gスマートフォン向けの電池は必ずしも容量が増えるわけではないと思いますが、それによる平均売価への影響はあるのでしょうか。
A8. 容量だけでなく、急速充電や高い安全性などで付加価値を生み出していますので、そこをお客様にご理解いただき、単純な平均売価の下落がないように取り組んでいきたいと考えています。
Q9. ATLの子会社をシンガポールに設立する背景を教えてください。
A9. アジアにおける市場の広がりや、製造拠点としてのアジアの活用を想定し、子会社設立を発表しました。ファイナンスの機能だけでなく、人材獲得や資材調達の機能も持たせ、将来的にアジアにおいて中核の会社となるように考えています。
Q10. 設備投資を200億円増額するとのことですが、電池の生産能力増強の見通しを教えてください。
A10. パワーセル関係を中心に投資を計画しています。
Q11. 上期から下期は売上微増の一方、営業利益が減少する見込みとした理由を教えてください。また第3四半期の売上は第2四半期並とのことですが、営業利益はどのように見込んでいますか。
A11. 下期の営業利益は500億円弱の見込みですが、対ドルで若干の円高を想定しており、為替で約40億円のマイナス影響があると見ています。また、売価値引きや、旧正月休みの稼働減の影響も織り込んでいます。さらに、パワーセルを中心に事業拡大を進めている電池事業に対し投資を増やしていくこともあり、体制強化や開発の加速のための費用も見込んでいますので、上期から下期で営業利益が若干減る見通しです。
第2四半期から第3四半期についても、営業利益は若干減ると見ています。上期から下期の見方と同様、売価値引きと体制強化のための費用を見込んでいます。
Q12. 第4四半期の売上はセグメントごとにどのように見込んでいますか。
A12. 受動部品セグメントはほぼ第3四半期並に推移、センサ応用製品セグメントは第3四半期からさらに若干増加、磁気応用製品セグメントはほぼ第3四半期並に推移、エナジー応用製品セグメントは例年通りシーズナリティにより大きく落ち込む見込みです。
Q13.  TDKはカスタム製品が多く、顧客とのパートナーシップがグローバルで広がっていると思われます。車載向けのパワーモジュールなど、顧客とのパートナーシップ、アライアンスで考えているものがあれば教えてください。
A13. ご指摘の通り、自動車の電装化が進むにつれて電源がモジュラー化してきますので、その動向を見据えています。DC-DCコンバーターやオンボードチャージャーを単品で売るだけではなく、それらを組み合わせてハイブリッド化すること、さらにそれとバッテリーユニットをどのように組み合わせるかを考えています。また、自動車メーカー、駆動ユニットメーカー、バッテリーメーカーなど、どのような会社と組んでいくべきなのかを考えています。さらに、熱やノイズの発生するところに、TDKのフェライトの強みを活かすチャンスがありますので、そういうところを地道に狙っていきます。