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[ 2021年3月期 第1四半期 決算説明会 ]Q & A

Q1. 自動車のグローバルでの生産が第1四半期にボトムだったにもかかわらず、第2四半期における受動部品セグメントの売上が横ばいにとどまるとのことですが、製品ごとの売上をどのように見通していますか。
A1. 製品ごとにプラスマイナスはあるものの、現時点では期初想定通りの回復を見込んでいます。自動車向けの受動部品は回復基調にある一方、スマートフォンの生産台数は第2四半期に若干落ち込みますので、その影響が出てくると予想しています。5G基地局向けは上期に生産のピークがあり、下期に落ちるシーズナリティがあります。また5G関連部品において、サプライチェーン等の懸念から在庫確保のような受注が第1四半期にありましたが、そのような受注は第2四半期には平準化し、減少していくと考えています。
Q2. 自動車向けのMLCCは現在厳しい状況にありますが、ドライブコンピューターの採用が本格化してくると員数が急拡大することが予想されます。能力増強計画をどう考えているのか教えてください。
A2. ご指摘の通り、ドライブコンピューター、EV関連は引き続き成長が見込まれます。それに伴い、MLCCは員数増加が望めますが、自動車全体の生産台数の減少を加味すると、急激な需要の上昇は当面見込めません。長期的には増産を考えていますが、今期は増産投資より合理化投資に重点を置きつつ、マクロ需要の動向を注視していきたいと考えています。
Q3. 第1四半期のセンサ応用製品セグメントの売上が期初計画より下振れたのはなぜですか。また、第2四半期のガイダンス通り売上が16~19%増加したとしても、通期ガイダンスの8~11%増を達成するには、下期に相当売上を伸ばさなければならないと思いますが、現在どのような状況でしょうか。また、どのように赤字を縮小していくのでしょうか。
A3. 5月の通期決算説明会の際に、第1四半期におけるセンサ応用製品セグメントの売上は第4四半期から16~19%減の見込みと申し上げましたが、実績は21%減となりました。自動車市場向けは20%台後半のマイナスを見込んでいたものの、結果的に30%台半ばのマイナスとなり、この想定以上のマイナスが第1四半期の下振れ要因となりました。製品によってサプライチェーンの長さが異なるため、第2四半期まで底が続くセンサもありますが、自動車市場全体としては底を打っており、自動車市場向けのセンサも第2四半期は第1四半期から二桁程度の成長を見込んでいます。売上を底上げするドライバーは、TMRセンサ、MEMSマイクロフォン、モーションセンサ等です。市場の回復だけではなく、拡販施策の刈り取りに注力することによって、第2四半期の売上ガイダンスを達成したいと考えています。また、今期の売上は上期と下期でおおよそ4対6の割合と見ていましたが、下期の比重が若干大きくなると予想しています。下期も拡販の刈り取りを着実に行い、売上最大化、前期比成長を目指してまいります。
赤字の縮小についてですが、第1四半期の売上はガイダンスより下回ったものの、赤字の額はそれほど大きく悪化していません。製造コスト等あらゆるコストを徹底的に見直したことが背景にあります。売上を伸ばすだけでなく、今後もメリハリのある開発投資を行うと同時にコストダウンを図り、引き続き赤字を縮小していきたいと考えています。
Q4. エナジー応用製品セグメントの売上は、第1四半期が前期第4四半期から32%増加、第2四半期が第1四半期から19~22%増加見込みとのことですが、それぞれの伸びの内訳を教えてください。
A4. まず第4四半期から第1四半期の増収は、PC、タブレット向け二次電池の売上増加が大きな要因です。PC向けの売上が、この全体の伸び率を上回る伸び率で成長しました。またスマートフォン向け電池は、前期第4四半期がシーズナリティによりボトムだったため、受注が増えました。
次に第1四半期から第2四半期の増収ですが、スマートフォン向け電池が通常第2四半期にピークとなりますので、その分の売上増加を見込んでいますが、19~22%のレンジにおさまる伸び率と想定しています。また、PC向け電池やミニセル、パワーセルの販売も引き続き増える見通しです。
Q5. 二次電池において、仮需的な受注はありましたか。
A5. 第1四半期前半に仮需的な受注がありましたが、第1四半期全体では大きなものはなかったと認識しています。
Q6. 第2四半期のエナジー応用製品セグメントの営業利益も、売上増加に見合った増益が見込めますか。またパワーセルの売上が増えてくるとのことですが、どのようなアプリケーションで採用が進み、今期末に電池全体の売上のどの程度を占める見通しか教えてください。
A6. 第2四半期の売上増に見合う営業利益は計上したいと考えています。またパワーセルは主に家庭用蓄電装置や電動二輪車向けを想定しており、今期の売上を電池全体の数%程度に広げていきたいと考えています。
Q7. 電動二輪車向けのパワーセルは交換式ではなく充電式だと思われますが、その性能は従来とは違うのでしょうか。
A7. お客様によって、交換式と充電式のどちらを採用されるかは異なりますが、充電式の場合、TDKが今まで培ってきた急速充電等の技術を活用しながら、より負荷の小さい製品に仕上げることも必要と考えています。台湾では交換式の二輪車も走っていますが、市場としてはまだ明確な方向性が見えていないと考えています。
Q8. 電池の安定性が高く、サイクルタイムも非常に長く、急速充電もできるというのは、スマートフォン用電池におけるTDKの成功パターンだと思いますが、パワーセルでも同様でしょうか。
A8. 電池の信頼性やサイクル特性等はデバイスの寿命を決める要素にもなりますので、パワーセルにおいてもTDKが今まで培ってきた技術を活用し、この利便性や特長をご理解いただきながらシェアを広げていきたいと考えています。
Q9. PC、タブレットの需要が正常化されれば、二次電池の需要も現状より少し落ち着くと予測されますが、これだけ売上を伸ばしている現状からすると、シェアアップも効いているのではないかと思われます。また、ミニセル、パワーセルといった新分野もありますが、電池がどのように成長していくと見込んでいますか。
A9. PC、タブレット向け電池は、短期的もしくは特需的な受注がありましたが、今年末頃までは比較的需要が強い状況が続くと考えています。来年はその反動で需要が減ると見ていますが、一方でスマートフォン向け電池の需要は若干上向き、さらにパワーセルやミニセルが今後も成長を続けていくと考えており、電池全体の売上は継続して伸びる見込みです。
Q10. コロナ禍により、事業ポートフォリオや生産体制を見直す必要が出てきているのではないかと思いますが、この第1四半期の状況を踏まえて期初計画から変化があれば教えてください。
A10. パワーセルは早くも第1四半期からビジネスが動き始めたため、期初に計画していた設備投資等も見直しをしなければならないと考えています。一方スマートフォンは期初想定より生産台数が若干下がるだけでなく、構成も変わってきていますので、ハイエンドからミドルエンド、ローエンドへのシフトに対してどう取り組んでいくかについても検討していく必要があると考えています。
Q11. 前年同期比で合理化コストダウン効果が約53億円増加とのことですが、コロナ影響により執行できなかった予算はどれくらいありましたか。
A11. 約53億円の3分の1程度は、コロナ影響で制約を受けたことによる費用減少と見てください。
Q12. 棚卸資産が増えていますが、その内容を教えてください。またそれによる第1四半期の損益に対するインパクトの大きさを教えてください。
A12. 前期末から200億円強在庫が増えていますが、その約半分が受動部品、残り半分の約4割ずつがHDDヘッドと電池です。受動部品で増えた約100億円のうち、さらにその約4割ずつがMLCCとインダクタです。まずMLCCは、自動車向けの需要が期初想定よりも下振れた一方、基地局向け等が増えました。ただ第2四半期以降、自動車向けはある程度回復していくことを想定していましたので、在庫を第1四半期に積んで、効率良く基地局向けの生産を続けていました。インダクタは、自動車向けの受注が急激に減少したことにより、在庫がはけなかったという状況です。MLCCとインダクタ両者については、第2四半期以降の販売計画の中で在庫を消化していく予定です。HDDヘッドは第2四半期以降数量が増え、さらにニアライン向けが増えていくことにより、ウエハーの能力が不足することを想定し、在庫を増やしています。電池は、第2四半期以降のスマートフォン向け需要の増加に備えています。これらの在庫増加による利益の影響度は、200億円に対してグロスプロフィット程度と見ていただければと思います。