[ 2019年3月期 第3四半期 決算説明会 ]Q & A
- Q1. 第4四半期の売上高が第3四半期から535億円減少、営業利益が177億円減少の見通しとのことですが、どのようなリスクを織り込んでいますか。また製品別の売上高はどのように変化する見通しですか。
- A1. もともと第4四半期はシーズナリティによる影響を大きく受けますので、それによる減少は織り込んでいます。自動車市場向けの売上は、第3四半期と同水準と見ていますが、全社売上では第3四半期から▲15%の減少の見込みです。セグメントごとの見込みは、まず受動部品セグメントが▲1%~▲4%の減少です。MLCCに関して大きな変動はなく、中国スマートフォン需要の減少が主な要因です。産業機器市場についても大きな回復はないと見ています。アルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、インダクタなどの売上は第3四半期から落ちる見込みです。センサ応用製品セグメントは▲8%~▲11%の減少です。磁気センサは、TMRセンサのスマートフォン向けの需要がさらに落ち、大きな減少要因となる見込みです。温度・圧力センサは第3四半期からほぼ横ばい、MEMSセンサは第3四半期において主要なマーケットで減少しましたが、さらに少し下振れると見ています。磁気応用製品セグメントは▲12%~▲15%の減少です。ヘッドの販売指数は第3四半期の81から第4四半期に78に下がり、その分売上が落ちると見ています。マグネットはほぼ横ばいです。エナジー応用製品セグメントは▲27%~▲30%の減少です。中国スマートフォン、ドローン、ゲーム機向けが第3四半期からさらに落ちると見ています。二次電池は、第4四半期がシーズナリティの影響を大きく受けるシーズンですので、その影響を加味しており、大きな回復はないと見ています。
- Q2. MLCCの売上と受注に差は出ていますか。また、顧客の在庫状況、稼働率、設備投資などに関して、従来の見方から変化があれば教えてください。
- A2. MLCCの受注状況は、中国顧客の民生用の在庫水準が上がっている影響を受けています。ただし、車載向けの水準はあまり変わっておらず、稼働率は落ちていません。また、複数年契約を結んでいますので、設備投資も計画通り進めています。
- Q3. センサの損失は第4四半期に最も大きくなるでしょうか。また、来期売上確保に向け、第2四半期から進捗があれば教えてください。
- A3. 第4四半期にセンサの売上がさらに減少し、赤字が継続する見込みですが、この第4四半期がボトムと見ており、来期の第1四半期から下期にかけて収益が改善する見込みです。今期の目標は下期に実業でブレイクイーブンに持っていくこと、と期初にお話ししましたが、それが1年先になるイメージです。
今期はセンサ事業の体質改善に取り組んでおり、顧客基盤の拡大、アプリケーションの拡大、製品の拡大の3本柱で進めています。直近で新しく始めたことはありませんが、モーションセンサでは、スマートフォンメーカーのお客さまが増えてきており、採用モデルの増加が進んでいます。TMRセンサは、車載向けにおいてすでに100件以上の案件に対応しており、量産が開始する案件も来期にかけて大幅に増加していく予定です。また、モバイル用途など新しいアプリケーションについても現在拡販していますので、来期の売上に貢献してくると考えています。また、今期モーションセンサが車載向けに採用されてきており、来期に向けて拡大が期待されます。1月にCESでデモ展示をしたVR用途向けの近接センサは、第4四半期から量産が始まっています。このChirp社の近接センサと、インベンセンス社のモーションセンサにソフトウェア、アルゴリズムを加えたトータルソリューションをいよいよ提供できるようになり、お客さまのすそ野の拡大が見込まれます。さらに産業機器、特にロボティクス分野においても様々なアプリケーションが見込めます。モーションセンサ、大気圧センサ、マイクロフォン、TMRセンサ、指紋認証センサなどの売上も大きく伸ばしていきますので、来期はセンサ応用製品セグメント全体を確実に成長させていけると思っています。 - Q4. 9軸モーションセンサはより精度が求められるようになってくると推測しています。このモーションセンサのマーケットをどう見ているか教えてください。
- A4. TDKは9軸モーションセンサを構成する加速度センサ、ジャイロセンサ、地磁気センサを持っていますが、これらすべてに非常に高い精度が求められており、主要センサの開発を強化しています。来期のみならず、現中期、次期中期も見込んだ上で開発費用をかけています。まずは技術力のあるメーカーから対応し始め、プライオリティをつけながら進めていくことになると思います。
- Q5. 第3四半期の磁気応用製品セグメントの売上が、第2四半期から減少したにもかかわらず増益となった理由を教えてください。また、第4四半期以降も製品ミックスは良好な状態が継続する見込みですか。
- A5. 磁気応用製品セグメントの売上は、為替を除いて第2四半期から約▲100億円減収、利益は減損を除いて約22億円の増益でした。最も大きく影響したのがHDDヘッド・サスペンションです。まず、データセンター向け需要の鈍化により、販売指数が97から81、約▲16%減少し、その分利益も減少しました。一方、HDDヘッド・サスペンションの高付加価値製品の割合が増えた結果、平均単価が上昇し、数量減を補いました。さらにサスペンション応用製品の収益が改善しました。これは主にスマートフォン向けですが、第3四半期にピークシーズンを迎え、稼働率の向上、生産効率の向上により収益が改善し、黒字を確保したことが貢献しています。マグネットの減損効果も加わり、全体で実質22億の増益となりました。
また先に述べた通り、第3四半期はデータセンターの需要が大きく減少しましたが、第4四半期はさらに少し落ちると見ています。 - Q6. 第3四半期の二次電池の売上は、第2四半期からどのように変化しましたか。稼働率が第2四半期、第3四半期に落ちたとのことですが、その実績と今後の見込みを教えてください。また、材料コストの下落による還元差損の影響で、営業利益はどれくらい減少しましたか。
- A6. 第3四半期のエナジー応用製品セグメントの売上は、第2四半期から約▲6%減少しましたが、二次電池もほぼ同程度減少しました。セグメントの営業利益は第2四半期から約▲87億円減少し、この材料コストの還元差損と稼働率悪化による影響が出ています。第4四半期の稼働率は、期初から織り込んでいる通り、中国旧正月の影響などにより第3四半期よりさらに落ちる見込みです。還元差損については、現時点でマーケットがフラットで推移しているので、第4四半期にそれほど大きな影響はないと考えています。
- Q7. 二次電池に関して、コバルトなど材料の価格が上がったときに製品の値上げを、材料価格が下がったときに製品値下げをすることで、価格転嫁のタイムラグは生じるものの、全体のビジネスには影響が出ないのでしょうか。
- A7. 材料は毎月購入していますが、お客さまとの取り決めは四半期ごとなどに行いますので、そのタイミングによって価格の差が生じてしまいます。相場の変動は収益に影響しない前提ですが、価格転嫁のタイムラグがあるため、四半期ごとに区切ると、この第3四半期のように影響が出る場合もあります。コバルトの価格変動によってどちらかが得をするということは基本的にありません。
- Q8. 全社の棚卸資産が2018年3月期から大きく増加していますが、第4四半期にこの水準をどのように下げる予定ですか。
- A8. 二次電池の需要動向を見ながら、第3四半期において一部調整をかけてきましたが、第3四半期末において手元の在庫水準は充分に下がり切りませんでした。第4四半期については、旧正月の稼働減があり、需要環境に影響を及ぼすことを見越して生産計画を組んでいます。現在の手持ち月数が約1.8か月のイメージです。売上の水準に沿って、在庫も減少していくと見ていただければと思います。
- Q9. 2020年3月期は二次電池の増収増益が見込めますか。今期から数量ベースでどれくらいの伸びが期待できますか。
- A9. TDKの大きな事業基盤であるスマートフォン向け二次電池は、来期は横ばいで、今期より落ちる可能性があると見てます。現在の基盤を守りながら、時計やウェアラブル機器など、様々なアプリケーションに採用され始めているミニセルの生産能力を引き上げていきたいと考えています。また、もう少し大型のパワーセルは、今年後半頃から量産に入れそうな感触を得ており、電池事業全体で増収増益を目指していきたいと考えています。数量ベースでは引き続き二桁の成長を目標としています。
- Q10. ミニセルの生産能力を引き上げたいとの話がありましたが、これからマーケットがどのように広がっていく見込みですか。また、パワーセルに関しては、どのような用途向けを手掛けていますか。
- A10. ミニセルの売上は、特にこの1年大幅に増えました。アプリケーションとしては、現時点で時計、ウェアラブルの割合が大きく、それ以外にも小型の製品向けの需要が増えており、様々なアプリケーションへの引き合いをいただいています。パワーセルは、eバイクや家庭用蓄電池の引き合いをいただいており、来期後半にビジネスがスタートできるよう進めています。それ以外にはロボット関係などを手掛けており、さらにアプリケーションを拡大していきたいと考えています。
- Q11. 来期において、スマートフォン向け二次電池の収益性が押し下げられるリスクについてどのように考えていますか。数量減の中で競争が厳しくなる一方、その他の用途の需要増加や、機能変化もあると思いますが、現時点の利益が守れる見込みか教えてください。
- A11. スマートフォン向け二次電池の需要が横ばいとなっていく中、来期に向けて、より付加価値の高い電池の開発に取り組んでいます。同じくスマートフォン向けの電池ですが、安全性をさらに高め、急速充電のレベルを上げるなどして、一層の差別化を図っています。低価格競争にならないようにして現在のポジションを守り、収益性を確保していきたいと考えています。