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[ 2018年3月期 第2四半期 決算説明会 ]Q&A

Q1. MLCCとアルミ・フィルムコンデンサは、これから中高圧化が大きなトレンドとなります。TDKはパワートレイン関係の高圧のコンデンサを開発していますが、収益性の改善に貢献していけるでしょうか。
A1. MLCCに関しては、昨今のEV化にTDKのラインアップが貢献できていると考えています。さらにTDKが強みを持っている大型大容量製品は、オンボードチャージャーを含めて採用が拡大しており、収益性の改善にも寄与しています。ただ、長い目で見ますと小型大容量化は避けて通れませんので、それを視野に入れ、適時投資を行いながらさらに収益性を上げていきたいと考えています。
また、アルミ・フィルムコンデンサに関してですが、EVのプラットホームには日系とヨーロッパ系のスタンダードがあり、ヨーロッパ製品のプラットホームにはEPCOSの製品を乗せていくことになりますので、今後の拡大を期待しています。さらに収益貢献できるようにしていきたいと考えています。
Q2. MLCCは受給がタイトな状況が続いていると思いますが、前回の説明会ではミックス改善で対応していきたいという話でした。来期もEV化が進み、車載向けのキャパシティは不足すると思われますが、どのように考えていますか。
A2. 現在年率約10%のペースで増産しており、この2年間でも約20%の増産投資をしています。この下半期にも投資を進めていますが、今後も適宜対応していきたいと考えています。
車載関係では、お客様から高品質、高信頼性の要求があり、供給できるメーカーが限られていますので、そちらを優先に対応していきます。
Q3. 受動部品は受給が非常にタイトになってきて、台湾メーカーが値上げを発表していますが、その価格状況をどう見ていますか。また、電池もコバルトの価格が非常に上がっていますので、価格転嫁ができているのか教えてください。
A3. MLCCについては各社が価格是正の交渉をしており、特に汎用品の不採算製品について是正のお願いをしています。高信頼性製品、コイル関係については、まだ価格是正する状況にはないと考えています。
電池に関しては、ご指摘のとおりコバルトの値段が非常に上がっています。先ほどコスト改善についての説明をしましたが、コバルトの価格高騰により原価が上がった分と、それを価格転嫁している分は相殺されています。若干のタイムラグがあるので100%ではありませんが、ほぼ売価で価格上昇分を吸収しています。
Q4. 7月の説明会の時点で、センサ応用製品の今期通期の売上高が前期比で約1.7~2倍、営業損失130億円とのことでしたが、変更はありますか。
A4. センサ応用製品の通期売上見通しは、今回の見直しにより前期比約1.8~2.1倍、若干増加としています。通期営業損失の見通しですが、今回の在庫評価などにより、買収費用が上期で約10億円増加し、年間で約100億円の一時費用が発生すると見込んでいます。さらにインベンセンスなどのセンサ事業に対し、来期以降の成長に向けた開発強化を第2四半期以降進めており、そういった費用が約20億円と見ています。それらによって、前回の約130億円から約30億円は増加すると見込んでいます。
Q5. 大手スマートフォンメーカーでのTDKのセンサの採用状況は、昨年のモデルからどのように変化していますか。今期から来期にかけて、採用状況が売上高にどのような影響を及ぼすのか教えてください。
A5. 特定の顧客についてのコメントは差し控えさせていただきます。ただし、ビジネス構造に変化があったことは認識しており、それによって今期、来期への影響はあると考えています。一方、モバイル分野において、特に6軸センサを中心に、中国などアジア系の顧客基盤を大きく広げています。アプリケーションの拡大としては、ドローンなどIoT関連分野向けに、6軸だけでなく、ジャイロ加速度センサに大気圧センサを加えた7軸センサも投入し始めています。ゲーム機向けへも参入を果たしており、そういった分野に先行投資していくことによって来期以降のビジネスの底上げを図っていきたいと考えています。
Q6. 7月の説明会時点と現在のセンサ事業を比べて、主要顧客による影響は変わってきていますか。またこの3か月で、来期の売上増加に向けた展望は見えてきていますか。
A6. 特定の顧客についてのコメントは差し控えさせていただきますが、前回から見立て自体は変わっておらず、影響はすでに織り込んでいます。
MEMSセンサに関しては、超音波の指紋認証センサを来期に向けて立ち上げていきたいと考えており、またアプリケーションもモバイルだけではないと見ております。マイクロフォンは、TDKとインベンセンスの両方が手掛けていましたが、すでに組織は統合し、ロードマップの統合も完了しました。モバイル分野へはすでに参入していますが、TDKのパッケージング技術をベースにした高SN比のマイクロフォンを、AIスピーカーなどへも展開していけるのではないかというのが、この3か月で見えてきたところです。TMRセンサもモバイル分野に参入してきてはいますが、来期以降、アプリケーションや顧客の拡大がさらに進んでいくと見込んでいます。温度・圧力センサやTMRセンサは、自動車向けに堅調に伸びていますが、来期以降大幅な拡大を目指していきたいと考えています。
Q7. インベンセンスの統合プロセスについては、人や技術の融合に関してかなり準備をしてから取り組んでいると思いますが、3か月経過した現在、順調に進んでいますか。
A7. マイクロフォンを例に挙げると、ロードマップを一本化して、すべての開発要員をそれに向けて集中投下する体制が出来上がりました。また、インベンセンスはファブレスですので、基本的には外部で生産していましたが、一部中の工程を使うことによって、製品特性の向上や資産の効率化も視野に入り始めてきています。それからEPCOSのSAWフィルタやBAWフィルタで使っていたパッケージング技術が、MEMSセンサにも使えそうだと見ていますし、ヘッドの拠点だったSAEなどバックエンドのキャパシティの活用も考えており、かなりのスピードで協業が始まっています。
Q8. 48V化がヨーロッパで始まり、DC-DCコンバータ、AC-DCコンバータ、充電器のマーケットが延びてくると思いますが、拡販状況はいかがですか。また、次のステップとして中国市場を考えなければならなくなると思いますが、中国企業と提携しながらシステム売りをする計画はありますか。
A8. 欧米系、日系の顧客に対し、システムレベルのビジネスで食い込みをスタートしています。特に先端技術を求められる部分については、優先順位を高くして対応していきたいと考えています。一方、中国はかなりのスピードで市場が動く可能性があると見ています。中国のパートナーを巻き込みながら、TDKだけではできないことも手掛けていこうと考えています。
Q9. パワーソリューションを独立した事業部にする予定はありますか。
A9. TDKには2つのパワー系の部門があり、1つは産業機器用電源を扱っているラムダ、もう1つは車載用電源を手掛けていく部門です。この2つはビジネスの形態が大きく異なりますので、タイミングを見極める必要がありますが、中期的には統合しながら、技術、エンジニアを共用化していきたいと思います。
Q10. 車載向けやロボット向けでモーターの需要が増えるため、高性能な磁石の需要が増えると思います。特に金属磁石は、HDD用のVCM磁石をオフセットして伸びてきているとのことでしたが、来期以降の材料調達面も含めた戦略を教えてください。
A10. 今までTDKの磁石があまり芳しくなかった理由は3つあると考えています。1つ目は、HDD用のVCM磁石にかなり偏重をしていたことですが、現在は車載用、産業機器用、モーター用にシフトしていく方針を明確に出して進めています。2つ目は、売上高に対する体制のコストが大きかったことです。これについては、全世界的にサプライチェーンを見直して、効率化を図っていこうと考えております。3つ目は、生産技術力を伸ばせていなかったことです。これについては、生産技術を徹底的にブラッシュアップしたパイロットラインを成田工場中心に構築しており、車載向けの高信頼性、高品質の製品をいかに効率よく一環生産できるかに注力しています。また、ブロックを削り出して成型するのではなく、最初からその形状に作り込む工法を開発することによって無駄をなくし、材料費の比率を下げていくことが可能だと考えています。2019年に、このモデルラインで車載用の磁石を生産する体制に入ります。
Q11. 上半期の二次電池は売上、利益とも非常に好調でしたが、下半期や来期以降も右肩上がりの成長が続くのでしょうか。
A11. ATLが電池の生産能力を年々増強して、非常に大きな供給力を持っています。製品の信頼性強化についても対応を進めており、これまで依存度の高かったスマートフォン向け以外にも多くのお客様から引き合いがあります。特にウェアラブル向けに供給が拡大しており、将来に向けて非ICT市場も段階的に開拓していきたいと考えています。また、パソコンの電池もパウチセルが広がってきたので、来期も増産投資などを行いながら、右肩上がりの成長を実現させていきたいと考えています。
Q12. 電池については、来期も増産投資をし、右肩上がりの成長を続けていきたいとのことでしたが、具体的にどれくらいのキャパシティの用意が必要ですか。また、どの程度の増収率を目指しているのか教えてください。
A12. 電池は前期から約15%増産しました。来期に向けても、10~15%生産能力を増強していきたいと考えています。スマートフォン用のパウチセルだけではなく、ウェアラブル製品などに使われるミニセルの増産、また、やや高出力のドローンやロボット用の電池など、瞬発的な高出力が可能な電池の増産も同時並行して進めていきたいと考えています。