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2017年3月期 連結業績見通し及び中期経営方針について

代表取締役社長 上釜 健宏

代表取締役社長 上釜 健宏

皆様こんにちは。本日はどうもありがとうございます。それでは私のほうから2017年3月期連結業績見通し及び中期の経営方針をご説明申し上げます。

2017年3月期 連結業績及び配当金見通し

2017年3月期 連結業績及び配当金見通し

まず、2017年3月期連結業績は、売上高1兆1,600億円、営業利益740億円、営業利益率6.4%、税前利益730億円、当期純利益500億円、一株利益396円を計画しております。配当金見通しは、前期と同様上期60円、下期60円、年間120円を計画しております。為替は対米ドルで110円、対ユーロで125円を想定しております。設備投資は、前期より増加させて約2,000億円を見込んでおります。減価償却費は950億円、研究開発費は50億上乗せして900億円を見込んでおります。

2017年3月期 通期連結売上高増減イメージ

2017年3月期 通期連結売上高増減イメージ

通期連結売上のセグメント別の増減イメージでございます。受動部品は好調に推移し、為替の円高を考慮しても前期から3~6%上ぶれると見ております。磁気応用製品は、マイナス11%~14%。減少の要因はHDDヘッドです。フィルム応用製品は12%~15%増収になるだろうと想定しております。為替前提110円で合計1兆1,600億円、前期比でほぼ横ばいとなります。受動部品と二次電池が為替円高分をカバーしてプラス成長を見込む一方で、HDDヘッドが減少するというイメージで捉えていただきたいと思います。

2017年3月期 のポイント

2017年3月期 のポイント

各セグメントのポイントを説明いたします。まず受動部品ですが、インダクタは、ICTや車載向けの薄膜部品及び積層品のシェアが拡大してくるだろうと見込んでおります。高周波部品については、小型のディスクリート品やモジュールの販売が拡大すると見込んでおります。圧電材料部品は、手振れ補正用OISの販売が拡大してくると見込んでおります。中国スマホでの搭載率が増えてくるだろうと見ております。磁気応用製品は、PC需要の減少とPC内でのSSD化が加速されることでHDDの市場台数が縮小していくと想定しています。前期の2016年3月期は約4億4,400万台でしたが、今期2017年3月期は約4億台、約10%減ると見込んでおります。磁気センサにつきましては、車載市場向けのセンサが拡大すると見ています。買収が完了したミクロナスの損益が今期は通期で寄与してきます。フィルム応用製品、特に二次電池ですが、モバイル機器の薄膜化によるポリマー電池需要の拡大が継続すると見ています。また、ドローンや電動工具等の新規アプリケーションの需要も拡大すると見ています。二次電池に関しては引き続き事業に見合った生産拡大投資及び合理化投資の継続をしていきたいと考えております。以上が2017年3月期の連結業績の見通しでございます。

中期重点事業と戦略成長製品

中期重点事業と戦略成長製品

続きまして中期経営方針についてご説明いたします。今までも中期重点事業ということで、重点5事業と重点分野は自動車、ICT、産機エネルギーを申し上げてきました。しかしながら、ここにきてHDDの状況が悪くなっており、また、高周波部品事業はクアルコムと設立するジョイントベンチャーに移管されます。ここで本日は、スライドの右側に記載しております戦略成長製品として、センサ・アクチュエーター、エネルギーユニット、次世代電子部品の3つについて特に説明をさせていただきたいと思っております。

記録デバイス事業(HDD ヘッド)について

記録デバイス事業(HDD ヘッド)について

まずその前にHDDヘッド事業の状況が気になると思いますので、HDDヘッドについて説明いたします。HDD市場台数は先程も申し上げました通り減少しています。ただしニアライン、外付け、監視カメラ向けのHDDの需要は伸びるだろうと見ています。HDDヘッドの市場本数の需要は横ばいで推移するだろうと見ております。背景としては、HDD1台あたりの搭載本数は、2016年3月期には3.43本1台あたりであったのが、2020年3月期には4.22本まで増えるだろうと見ています。

2017年3月期 通期連結売上高増減イメージ

そういう市場前提の中で今後どのような施策を打っていくのかということになりますが、実際にもう手を打っているものもありますし、今から打つものもあります。1点目が自社のライトサイジング。これは生産拠点の最適化であり、前工程拠点を2拠点から1拠点に集約いたします。後工程拠点につきましても、中国拠点での構造改革を3月に実施し、計上いたしました。また、フィリピンの受動部品生産も開始して、HDDヘッドの拠点を電子部品に転換することを既に開始しております。それから、2点目が業界のライトサイジングへの貢献。ここは非常にわかりづらいと思いますが、HDDヘッドを内製されていないお客様とは、従来の枠組みを超えた開発、製造の垂直的協業の強化を行い、HDDヘッドを内製されているお客様とは重複投資やコスト増を回避する水平分業を模索していきたいと考えております。
また、タイム・トゥ・マーケットを支援する先端技術開発を実施していきたいと考えております。3点目は、先端技術力による製品サービスの提供であり、これは今までも研究をやり続けてきたわけですが、今後ますます力を入れていきます。熱アシストヘッド、二次元記録(TDMR)、薄膜マイクロDSA(アクチュエーター)等の新技術開発に注力していきます。HDD市場は残念ながら縮小傾向を辿っていきますが、その市場で必要とされる存在であり続けたいと考えております。

当社の成長戦略(IoT市場へ向けた戦略成長製品)

当社の成長戦略(IoT市場へ向けた戦略成長製品)

続きまして、戦略成長製品(①センサ・アクチュエーター、②エネルギーユニット、③次世代電子部品)について説明いたします。先程も説明いたしましたが、クアルコムとのシナジーもかなり入っております。ほとんど全部に関係するのではないかと思います。

センサ・アクチュエーター

センサ・アクチュエーター

まず初めに、①センサ・アクチュエーターの中のセンサ市場の予測でございます。こちらのスライドは非光学式センサ市場の見通しになりますが、2014年には68億ドルの市場規模であったものが、2019年には106億ドルの市場になると見込まれています。棒グラフの下から慣性センサ、温度センサ、磁気センサ、圧力センサとありますが、これら全部の製品に取り組みたいと考えております。今までは磁気センサの話をよくさせていただいていましたが、磁気センサについてはもう大体道筋が決まりましたので、次は温度センサも圧力センサも車載向けを中心に展開していきます。
また、今後は慣性センサにも取り組んでいきたいと思っています。

センサ・アクチュエーター

次に磁気センサ事業の拡大戦略になりますが、4つのステップでやってまいります。まず、車載向けのTMRセンサの事業を拡大です。主要製品ラインナップの開発については今期に完了します。現在40社位のお客様のご承認が完了するだろうと見ております。
アプリケーションの拡大や顧客基盤の拡大を図ってまいります。次のステップは、民生用途需要取り込みによる事業拡大です。TMRセンサは高い精度を持っている点と非常に省エネである点を高く評価されていまして、非常に可能性が大きいと考えております。現在は車載向けが中心ですが、コンシューマ向けに採用されますと、数が車載と比べてかなり増加しますし、製品サイズが車載用のセンサよりも10分の1程度のサイズになります。そうしますと素子の取り数がかなり増えますので、効率的なビジネスが展開できると考えております。3つ目がミクロナスとのシナジーの最大化です。ミクロナスはホール素子です。TDKはTMRです。ホール+TMRのハイブリッド型車載向けセンサを開発していき多様なニーズに対応します。それから、ミクロナスが持っているASICやパッケージング技術をTDKの製品で展開しますので、ミクロナスが非常に強い分野との融合で様々なシナジーが創出できるだろうと考えています。4つ目のステップは、センサユニット、モジュール、センサシステムの事業拡大です。システムまで持っていきたいと考えています。中国拠点を活用したローカルビジネスも拡大していきたいと考えています。この4つのステップで磁気センサの事業を拡大してまいります。

センサ・アクチュエーター

アクチュエーターについても少し触れます。保有技術プラス新規技術活用による事業創出と書いてありますが、アクチュエーターには様々な製品がありますが、成長戦略製品に含めているものとしては、主にスマホのカメラモジュール用の手振れ防止に使OIS (Optical Image Stabilizer)になります。現在中国のスマホメーカー様にご承認をいただいて量産をしております。グラフは、センサとアクチュエーターの売上のイメージになります。センサの売上には先日買収が完了したミクロナスの売上も入っています。

エネルギーユニット

エネルギーユニット

次はエネルギーユニットについて説明いたします。エネルギーユニットの定義は、電力変換の機能、蓄電機能、エネルギー制御機能を持つハードウェアとソフトウェアを組み合わせたユニットということになります。例えば電力変換機能に関係する製品にどういうものがあるかということになりますが、当社はACDCコンバータ、DCDCコンバータ、インバータ、チャージャー、回生エネルギー用双方向ACDC、それから非接触給電があります。この辺りを全部ユニットとして提供していきたい。今までは単品で販売をやっていましたが、やはりシステムとして併せたほうが良いと考えております。蓄電機能としては、産機用リチウムイオン電池、車載用リチウムイオン電池、EDLC(電気二重層コンデンサ)等がありますが、これらを提供してまいります。エネルギー制御機能としては、バッテリーマネジメントユニットシステムからここに使用される各種センサ、特に電流センサと温度センサがあります。これらも全部内製し、全部を組み合わせた形でエネルギーユニットとして販売していくということを考えております。

エネルギーユニット

例としては、産機用ですとAGVがあります。非接触給電も組み合わせます。それから、モバイルロボットやハンドロボットなどもあります。アームの箇所、要は回転するところに使用していくことになります。

エネルギーユニット

こちらのページは車載向け非接触給電のイメージ図です。非接触給電を中心に、図のような形でオンボードチャージャーからDCDCコンバータ、各種センサをつけていく形でシステムとして販売していきたいと考えております。

エネルギーユニット

そのエネルギーユニットの売上げのイメージでございます。今はまだ規模は小さいですが、2018年3月期から売上げが立ってくるイメージです。これは車載向けですので2018年3月期の分は既に承認されていると思って下さい。ですからグラフもぼかしておりません。2019年3月期以降は、まだ承認がはっきりしないものもありますので若干グラフもぼかしてありますが、イメージの通り確実に増えてまいります。

次世代電子部品

次世代電子部品

次は次世代電子部品について説明させていただきます。これはクアルコム社とのシナジーがかなり大きいものになります。SESUB (Semiconductor Embedded Substrate:IC内蔵基盤)技術、薄膜技術、材料技術、これらを融合させてさらに付加価値の高い次世代電子部品、あるいはモジュールを提供していこうということでございます。

次世代電子部品

SESUB、複合部品、薄膜高周波フィルタ、薄膜コンデンサ、薄膜モードフィルタ、埋め込み型コンデンサ、MEMSマイクロフォン、低背インダクタ等々、今開発中のものもありますし、もう量産し始めたものもございます。

次世代電子部品

次世代電子部品、特に薄膜部品強化を目的に、ルネサス セミコンダクタマニュファクチャリング様の鶴岡工場を買収いたします。今までは甲府工場の薄膜デバイスセンターという部門で、薄膜部品の開発からと量産までを手がけてきたのですが、やはり手狭になってまいりましたので、新しい工場が必要になっていました。秋田に新工場も作っているのですが、そこはまた別の使い方を考えておりますので、別の高度なクリーンルームを保有した拠点が必要となりました。特にルネサス様の鶴岡工場は、車載用製品の製造経験のある工場であり、従業員の方々のその分野でのご経験やノウハウ、関連したリソースもありますので、非常に魅力的に感じ買収を決定いたしました。この鶴岡工場で今後薄膜部品をさらに拡大していくということでございます。

次世代電子部品

次世代電子部品の売上げは、グラフのようなイメージで考えております。

全社 売上見通し

全社 売上見通し

今ご説明させていただきました戦略成長製品も含めた全社の売上見通しです。黄色い部分が戦略成長製品、青い部分がオーガニックな拡大になります。2017年3月期は横ばいです。2018年3月期は高周波部品事業がクアルコム社と設立する合弁会社に移管されますので、オーガニックな売上げは下落します。ただ、戦略成長製品でカバーできると考えています。2019年3月期以降は、戦略成長製品をさらに伸ばすことで、全体の成長を実現していきます。

全社 営業利益見通し

全社 営業利益見通し

こちらのページは営業利益のイメージを示しています。2018年3月期から営業利益再び伸ばしていく計画です。早期に全社でも二桁利益率を達成したいという思いでございます。

中期経営目標

中期経営目標

これは中期計画で前回も掲げた目標でございます。2018年3月期に10%という目標は変更しておりません。この目標はぜひ達成したいと思っております。

成長投資

成長投資

最後になります。設備投資と研究開発費です。前回設備投資計画については、中期の3年間(2016年3月期~2018年3月期)で3,500億円から4,000億円と公表しておりましたが、やはり成長戦略製品や既存の重点製品にも投資をしていくため、投資を800億円増やし、4,300億円から4,800億円を現在は計画しております。研究開発費も200億増やして2,500億を計画しています。3年間で投資も開発も増えましたが、できるだけ前倒しして、様々な事業を先取りしていきたいと考えております。以上で私の説明は終わりますが、リリースで皆様ご存じかと思いますが、社長を次の有能な社長に譲って、私は会長職として今後は会社に関わろうと思っております。私は、今までこのIRの席は15年前から出席させていただいていまして、皆様の前で説明させていただく機会は本日で恐らく最後になると思います。次回からは新社長が説明することになると思います。本当に皆様ありがとうございました。今後今まで以上の弊社へのご支援をお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。