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[ 2008年3月期 第3四半期 連結決算説明会 ]連結業績概要

取締役 常務執行役員 江南 清司

取締役 常務執行役員 江南 清司

こんにちは。経理部長の江南です。よろしくお願い申し上げます。本日はご多忙の中、また寒さ厳しい中、多数お集まりいただきまして、ありがとうございます。早速ですが、決算の概況を報告させていただきます。

決算短信に沿って報告いたします。まず、ページAの連結決算情報です。前期と当期の第3四半期比の決算内容が載っています。売上高は、前年第3四半期比、約21億円、0.9%増の2,253億4,200万円。営業利益は、約36億円、15.5%増の267億1,700万円。税引前利益は、約26億円、10%増の286億4,000万円。当期純利益は、約20億円、10.4%増の217億1,300万円。お陰様で微増収・増益決算ということになりました。

次のページBに移ります。これは、9カ月の累計業績になっています。売上高は、前期9カ月比で、約103億円、1.6%増の6,584億3,000万円。営業利益は、約125億円、20.3%増の738億6,200万円。税引前利益は、約96億円、14.3%増の770億200万円。当期純利益は、約70億円、14.3%増の563億3,900万円。増収増益決算を確保することができました。1株当たり純利益は、第3四半期だけで167円39銭。9カ月累計で433円55銭となりました。以後の報告は、原則として、今期第3四半期の連結決算についての報告とさせていただきます。

当期間における為替レートについて申し上げます。対米ドルは、113円26銭、3.9%の円高です。ユーロが163円90銭。7.9%の円安で推移しました。ドルのウェイトが大きいため、為替変動の影響額は売上高で約53億円、営業利益で約28億円の減少要因となりました。

当期第3四半期が、微増収ながら増益となった今回決算の特徴を申し上げます。
まず、前年第3四半期は、記録デバイスのHDDヘッドについて、我が社にとって重要なお得意先を失ったため、その減少分をいかにキャッチアップするかということで、懸命に活動する過程にありました。当期第3四半期は、顧客開拓努力の成果に加えて、市場の好調もあり、大幅な数量増となりました。また、製品構成の改善を行い、垂直磁気記録製品の販売に占める割合が増加したということが挙げられます。

二つ目に記録デバイスを除いた電子部品ですが、ここ数年に比べて、市場は若干低調であったといわれています。しかし、エレクトロニクス製品の生産は増加しました。こうした背景の中で、その他電子部品に含まれる製品が大幅に増加したことなどもあり、対ドル円高による減少影響を克服して、売上高を増やすことができました。ただし、その中において、コンデンサについては、残念ながら苦戦を強いられたという状態が続きました。

3つ目に記録メディアですが、8月1日付けで米国イメーション社に販売事業を譲渡したことで、当期第3四半期の売上は大幅に減少しました。しかし、そもそも収益力がなかったため、利益への影響はほとんどなく軽微でした。

それでは次に、4ページの部門別売上高の概況に移ります。業績概況と売上高の構成割合、並びに、対前年同期比売上高伸び率を申し上げます。
まず電子素材部品部門は、売上高が2,177億円。全社に占める構成割合は96.6%。この数字が示すとおり、当社は、名実共に電子部品の会社になったといえます。対前年同期比伸び率は、11.9%のアップとなっています。

第3四半期というのは、エレクトロニクス産業にとって最需要期にあたります。今期の第3四半期も、薄型テレビ、ノートパソコン、デジタルオーディオプレーヤー、HDD、携帯電話、デジタルカメラやゲーム機器等、生産がそれぞれ前年同期比増加しました。それと共に、それぞれの製品で高機能化・多機能化が進み、部品搭載点数は増加傾向にあります。加えて、自動車における電装化の進展もあります。こうしたことにより、電子部品の需要が拡大していった第3四半期であったと思っております。

このような状況の中で、電子材料製品の売上高は514億円。全社に占める構成割合は22.8%、前年同期比2.2%のアップに止まりました。コンデンサは残念ながら微増に止まりました。フェライトコア、およびマグネットは、金属磁石の増収によって、フェライトマグネットの減収を補い、前年同期比売上高を伸ばすことができました。結果、電子材料製品に占めるコンデンサの構成割合は68%。伸び率は0.7%のアップ、すなわち横ばいです。そして、フェライトマグネットの構成割合は残りの32%で、6%のアップとなっています。

次に、電子デバイス製品の売上高は533億円。全社に占める構成割合は23.6%。これは前年同期比5.4%のアップです。インダクティブ・デバイスは、薄型テレビ向けで電源系コイル、あるいは信号系コイルの販売が増加し、前年同期比売上高を伸ばしました。高周波部品は、パソコン向けの販売が増加したことで、前年同期比売上高を増加させました。パワーシステムズその他は、パワーシステムズが、半導体製造装置向けの不振や、不採算製品の整理ということもあり、センサアクチュエータと共に減収となったことで、前年同期比売上高を減少させました。結果、電子デバイス製品に占めるインダクティブ・デバイスの構成割合は、47%。前年同期比11%のアップ。高周波部品は9%で、77%のアップ。パワーシステムズ他は、残り44%で6%のダウンでした。

記録デバイス製品の売上高は899億円。全社に占める構成割合は39.9%。前年同期比17.1%のアップです。その中でHDDヘッドは、HDDの生産台数がPC用途の伸びを背景に増加。加えて、HDDの記録大容量化が進んで搭載点数が増えたこともあって、HDDヘッドの販売数量が増加しました。その他ヘッドは、光ピックアップからの撤退によって、前年同期比売上高を減少させています。その結果、記録デバイス製品に占めるHDDヘッドの構成割合は98%。前年同期比20%のアップ。その他、各種ヘッドが残り2%で、47%のダウンとなりました。

次に、その他電子部品の売上高は231億円。全社に占める構成割合は10.3%。伸び率は36.8%のアップでした。メカトロニクス(半導体製造装置)や電波暗室、エナジーデバイス(二次電池)の増収と、その他の新製品の販売好調が主な要因です。

記録メディア部門の売上高は、前年比で211億円という大幅な減少で、76億円に止まりました。全社に占める構成割合は、3.4%。対前年同期比伸び率は73.6%の大幅ダウンとなりました。イメーション社に8月1日付で販売事業を譲渡したことによるものです。その結果、製品別の売上高の比率も、大きく変動しました。オーディオテープの構成割合が10%。対前年比34%のダウンです。ビデオテープは19%、71%のダウン。光メディアは12%、実に95%のダウンです。コンピュータ用データストレージや、レコーディング機器その他の構成割合は59%で、34%のダウンとなっております。

10ページ上段の第3四半期の連結損益計算書に移ります。前年との比較で、営業利益が約36億円増えています。増益要因としては、操業度、品種構成を含んだ売上の増加で125億円。合理化・コストダウン等で49億円。販売管理費の減少で28億円。合計202億円のプラス要因がありました。逆に、減益要因は、売価値引きで137億円。原材料値下げが資材高騰の影響で1億円マイナスに働いてしまいました。そして、為替の影響で28億円。合計166億円のマイナス要因。差し引き36億の増加です。

売価値引きの要請については、第1四半期、第2四半期と比べると、ほぼ同水準。若干軽かったといえる状況だと思います。販売管理費の減少は、メディアの販売事業を譲渡したことに起因しています。原材料値下げは、原油や銅、レアメタル資源の価格高騰の影響で思うように進まず、この利益の伸びを難しくしている大きな要因だと認識しています。構造改革費用については、前期は4億円と申し上げましたが、今期は10億円でした。これら以外に、この第3四半期の途中で東証にリリースした通り、数年前に実質的に事業を閉じた子会社の精算がようやくここで完了し、そこに含まれていた外貨換算調整勘定の約16億円が、P/Lの営業利益の損失として計上されているという状態になっております。

次に、営業外損益を見ていただきますと、前年比較で約10億円減益となっています。これは、一つには売掛金等の回収や、その売掛金等の残高評価替え、それによって発生した為替のマイナス影響。もう一つは、有価証券で一部評価損を計上したことによります。

次に、少数株主損益ですが、マイナスにならずプラスになったような形に表現されていますが、これはデンセイラムダ社をTOBし、持分比率がほぼ100%になったことで、この少数株主の部分がなくなったということです。また、少数株主様がいらっしゃる一部の会社で赤字があって、その赤字を少数株主さんに負担していただいているような結果になっています。

ここで今期第2四半期と、第3四半期の業績比較に触れておきます。売上高が11億円減少する中で、営業利益は、譲渡益149億円を除けば、第2四半期は161億円だったわけですが、第3四半期は267億円になり、106億円増加しています。これについて触れておきます。
電子素材部品部門は、売上高が、第2四半期と第3四半期の比較で48億円増加。営業利益が85億円増えています。売上の割に営業利益が多いという感じです。この売上高差額の内訳ですが、電子材料が、マイナス16億円。電子デバイスがマイナス12億円。記録デバイスヘッドが34億円のプラス。その他電子部品が42億円のプラス。
これが第2四半期と第3四半期の比較をした時の売上の内訳です。売上の伸びた記録デバイスヘッドは、売上が増えたことで、収益性が上昇。それから、収益力のある製品が伸びたその他電子部品は、売上の伸び相応に利益を増やしてくれた。逆に、売上が減少した電子材料、電子デバイスは、それぞれ低収益製品の改善があって、利益を増加させました。さらに、記録メディア製品部門も、第2四半期は譲渡益149億円を除くと、営業利益はマイナス23億円でしたが、第3四半期はマイナスの2億円であり、差し引きすると21億円の利益増加に貢献しています。これが第2四半期と第3四半期の比較における利益増加の内訳です。なお、記録メディア製品部門のマイナス2億円は、ほとんど譲渡後の残務整理費用です。

次に、9ページの連結貸借対照表に移ります。なお、12ページの第3四半期の連結キャッシュ・フロー計算書も一緒にご覧ください。
これは9月度、中間期末との比較になります。総資産額は約9,826億円で、51億円の減少です。期末日為替レートは、ドルが114円15銭で1.1%の円高。ユーロが166円66銭で2%の円安。ドル資産が多いため、円高の影響を受けて海外資産の為替影響額はマイナス35億円。総資産が減った51億円の一部を構成しています。

バランスシートの中で、現金および現金同等物が1,989億円。残高は中間期末比で306億円減少しております。この中身は、為替の円高による目減りで20億円。それを除けば実質で286億円ほど減少しています。主な要因は新たな企業買収です。マグネコンポ社で179億円。デンセイラムダを100%化するためのTOBで141億円。イメーションに販売事業を譲渡した時に、株式を16%強取得しましたが、20%にするために買い増しした分が20億円。また、減価償却費を超えて設備投資した分が30億円。そして、棚卸資産の増加が37億円。税金等の未払債務の減少が61億円。配当金の支払いが77億円。これらが主なキャッシュ減です。一方、増加要因としては、利益が217億円。短期投資からの振替が111億円。これらでカバーしきれなかったということです。
このキャッシュ・フローを見ると、前年の第3四半期に比べれば、今期の第3四半期は活発な投資活動を展開したという状況です。この投資をきちんと収穫できるかどうかが、これからの課題だと思っております。

バランスシートの一番下、資本の部にその他の包括損失という科目があります。ここは、将来のP/Lに影響する可能性のある科目ですが、マイナス252億円が279億円になり、27億円悪化しています。その内訳は、外貨換算調整勘定、これは対ドル円高で23億円悪化して254億円。そして、年金債務調整額が、株式の下落で年金資産が価値を落としたことで49億円悪化して35億円。それから、有価証券未実現評価益ですが、イメーションの保有株式が20%を超えたことによって、関係会社株式に振り替わったこともあって、45億円良化し、絶対額で10億円になっています。

イメーションの件をもう少し説明します。中間期では16%強だったので、通常の有価証券の形で、株が下がった分は評価減の可能性があるということで包括利益に含まれていました。ところが、持分が20%強になったので通常の扱いではなく、要するに50%以上の株式を取得した時と同じような扱いになり、評価減から外れた。そういう意味でのプラスになっているとご理解ください。

次に15ページ上段の「事業の種類別セグメント情報」をご覧ください。
電子素材部品部門の営業利益が、前年同期比39億円、17.1%増の269億円。記録メディア製品部門の営業利益は、前年同期比3億円減のマイナス2億円。まず電子素材部品部門の営業利益には、先ほど説明したような清算が済んだ子会社の数年前の外貨換算調整勘定がここでP/Lにはね返っているので、実質的には55億円の増益であったと認識しております。
記録メディア製品部門については、前年第3四半期は、欧州中心に製造をやめるなどの大幅な構造改革を行い、その結果、ようやく黒字が計上できた期でした。それから1年後の今期第3四半期は、営業譲渡後の残務整理の期であったと考えております。

次に16ページ下段に、「地域別売上高」を掲載しています。
全地域において、記録メディアの販売事業譲渡の影響が出ています。まず国内の売上高ですが、その他電子部品を除く他のすべての部門で減少。米州地域の売上高は、電子材料、電子デバイスで減少。その結果、全体でも減少。欧州地域の売上高は、電子材料で減少。全体でも、記録メディアの販売事業譲渡の影響が大きく、大幅に減少しています。アジア地域の売上高は、出新素材部品部門の4製品すべて増加し、全体も増加しています。これらの結果、海外売上高の合計は前年同期比で4.5%増え、1,865億円。全社売上高に占める海外売上高比率は80%から82.8%に上がりました。

それから、電子素材部品部門の売上高を100とした時の市場分野別です。情報家電分野が全体で65%を占め、14%の増収。高速大容量ネットワーク分野は構成比率が10%で、19%の増収。自動車分野が8%で、15%の増収。その他が17%の構成比で1%の減収です。情報家電分野は、ストレージ関係が伸びました。高速大容量関係は、通信向け部品が増加。自動車関係は、電装品向けが安定して伸びています。

ここで一つ断っておくことがあります。11月に買収したサスペンションを製造する会社であるマグネコンポについてです。この会社は非常にたくさんの子会社を持っていますが、この会社を12月期で取り込める状況になかったため、投資勘定では株式を取得したところまでが今回の決算に反映されています。そのため、11月の一部と12月についてのP/L関係の数字が、この第3四半期決算には含まれていません。ただし、その影響は非常に軽微です。第4四半期にまとめて反映させたいと考えております。

最後に、6ページの業績見通しです。売上・営業利益・税引前当期純利益、従来とは変更ありません。為替は110円を想定しています。サブプライム問題や株安などが、実体経済にどんな影響を及ぼし、第4四半期がどうなるかは、現実的には見通せず、これが容易に達成できるのか、非常に難しいのかはよく分かりません。ただし、期首の目標を達成するように最善の努力をいたします。

以上、どうもありがとうございました。