[ 2007年3月期 第1四半期 連結決算説明会 ]連結業績概要
取締役 執行役員 経理部長 江南 清司
こんにちは。経理部長の江南です。本日はご多忙の中、弊社の2007年3月期第1四半期決算概要の説明会に多数お集まりいただきましてありがとうございます。また、日ごろの弊社へのご支援に対して感謝申し上げます。早速ですが、お手元の決算短信に沿ってご報告します。
1ページ上段にありますように、売上高は前年同期比362億円強、21.6%増の2,036億4,000万円、営業利益は51億円強、39.8%増の180億1,500万円、税引前利益は25.7%増の179億4,900万円、当期純利益は22.1%増の132億7,600万円となり、お陰様で増収増益決算で終えることができました。1株当たり利益は、昨年の82円22銭に対して100円36銭。当第1四半期における対米ドルおよびユーロの期中平均レートは、ドルが、先期107円73銭が114円50銭、ユーロが135円47銭が143円82銭。前年同期比で、対ドルが6.3%、対ユーロが6.2%の円安で推移しました。その結果、売上高では約95億円、営業利益で約26億円のプラス要因になっています。
増収増益という形で決算を締めることができましたが、営業利益に占める大きな特徴として、第一番目に、記録デバイス製品のHDDヘッドは、パソコン用途の伸び、民生機器への搭載の広がりによりマクスターからの受注減を吸収して、売上高は前年第1四半期比較で増加しています。ただ、特定顧客からの急激な受注減により、製品構成の影響が出て、それが操業低下に波及し、利益的には予想外の苦戦を強いられたというのが大きな特徴です。
2つ目に、電子部品については中核をなすコンデンサが前期後半から回復傾向にありましたが、今期ようやく回復が確かなものになってきたところです。コンデンサを始めインダクティブ・デバイス等々、電子部品市況は好調で、全般にわたり増収増益となっています。
もう1つの特徴は記録メディアですが、DVDの大幅な価格下落で収益が悪化し、前期の第4四半期からこの第1四半期にかけて構造改革を実行しました。この構造改革の費用が一部第1四半期にずれこみ、まだ赤字は残っていますが、前年第1四半期比較で収益性がかなり改善しています。
4つ目に、前年、企業買収ということで、電池の会社、電源事業を買収しましたが、この両事業が売上高と利益において確実に貢献している。この4つがこの第1四半期の特徴として挙げられます。
1ページ下段に売上高の内訳があります。売上高の概況と構成割合、前年同期比伸び率を申し上げます。
まず、電子素材部品部門ですが、売上高は1,801億円、全社に占める構成割合が88.5%、対前年伸び率は25.7%アップ。当第1四半期のエレクトロニクス市場を見ると、サッカーのワールドカップによる需要喚起もあり、非常に好調に推移しました。パソコン、HDD、薄型テレビ、携帯電話、それぞれの市場の需要が伸長し、自動車も電装化の進展により安定的に伸びています。全体として好調であったと理解しております。
製品別に見ると、電子素材部品部門の中の電子材料製品ですが、売上高は477億円、全社に占める構成割合は23.4%、対前年同期比11.6%アップ。主力のコンデンサは、パソコン、薄型テレビ、カーエレクトロニクス市場で、販売増、円安の効果で、売上高は前年同期比で増加しました。フェライトコアも、薄型テレビ、パソコンに搭載される汎用電源コアの需要拡大によって売上高が増加しました。マグネットは、HDDの需要増を背景に金属磁石が堅調に推移し、また、カーエレクトロニクス市場向けにフェライト磁石が増加して売上高を伸ばしました。結果、電子材料製品部門に占めるコンデンサの構成割合が67%、伸び率19%アップ。フェライトおよびマグネットが構成割合33%で11%の伸び率アップです。
次に、電子デバイス製品の売上高が463億円、全社に占める構成割合が22.8%、前年同期比61.6%アップ。その中の主力製品であるインダクティブ・デバイスは、電源系、SMDコイルが携帯電話やHDD向けに増加して売上高を増やしました。高周波部品は無線LANや第三世代携帯電話向けに売上を増やしましたが、値引きもあって、残念ながら前年同期比横ばいになっています。パワーシステムズその他ですが、ここではセンサ・アクチュエータの売上が情報家電向けに増加しています。また、アミューズメントや産業機器市場向けに、DC-ACインバータが好調でした。また、前年10月1日付けでTDKグループに加わったラムダパワーグループの第1四半期の売上122億円もこの中に入っています。その結果、電子デバイスに占めるインダクティブ・デバイスの構成割合は39%、伸び率29%アップ。高周波部品の構成割合は5%、伸び率は横ばいです。パワーシステムズその他の構成割合は56%、109%の伸び率アップとなっています。
記録デバイス製品の売上は738億円、全社に占める構成割合は36.2%、前年同期比7.8%のアップです。HDDヘッドは、パソコン用途の伸びに加えて民生機器への搭載が拡大、HDDの需要増を背景に出荷数が増加して、マクスター向け販売の減少、売価下落による減収を吸収して売上高が増加しました。その他ヘッド、光ピックアップの関係は、顧客の生産調整によって売上高を減少させています。記録デバイス製品に占めるHDDヘッドの構成割合は97%、伸び率10%。その他ヘッドは残りの3%の構成で、伸び率33%のダウンとなっています。
その他の電子部品ですが、売上が123億円と、大きく140%伸びています。全体に占める構成割合も6.1%まで上がっています。ここには、前年に買収した電池事業が入っています。去年は6月から連結の対象になりましたが、今回は3カ月フルということもあって大きく売上を伸ばしています。それ以外に外販用の製造設備の好調、その他の新規事業製品が増加したことで、その他電子部品は大きく売上を伸ばしています。
次に記録メディア部門ですが、売上高235億円、全社に占める構成割合は11.5%、前年同期比伸び率は2.4%のダウンとなっています。オーディオ・ビデオテープは、共に需要の減少で売上を落としています。光メディアはCD-Rが量的にピークを過ぎて減少傾向に入ったところにCD-R、DVDも値引きが続いている状況の中で、DVDの数量増ではカバーしきれず前期比減少となりました。逆に、その他の括りのコンピュータ用のデータストレージテープは売上が増加しました。その結果、記録メディア製品に占めるオーディオ・ビデオテープの構成割合は24%、伸び率17%ダウン。光関係は48%の構成で伸び率4%ダウン。その他が残り28%の構成割合で伸び率19%アップとなっています。
10ページの地域別売上高を見ると、国内においては記録デバイス製品、記録メディア製品の減収によって、売上高が前期比7.1%の減少。米州地域は、記録メディア製品部門を除いたすべての製品区分で増収となり、売上高は32.0%の増加となりました。欧州地域ではすべての製品区分で増収ということで、前年同期比20.8%の増加です。アジアその他の地域は、記録メディア製品部門を除いてすべての製品区分が増収となり、売上高は33.9%の増加です。海外の売上が大きく伸びた結果、全売上に占める海外売上高比率は、前年の73.7%から79.9%と6.2ポイント増加しています。
次に7ページの連結損益計算書をご覧ください。
営業利益ベースで対前年同期比51億円の増益となっています。増益要因として、操業度、品種構成を含む売上の増加で123億円、原材料値下げで32億円、合理化コストダウンで57億円、為替の円安で26億円、合計238億円のプラス要因です。減益要因は、売価値引きでマイナス129億円。新たに電池、電源事業が加わったことによる販売費や一般管理費の増加で58億円。合計187億円のマイナス要因となり、差し引き51億円の利益増加になっています。売価値引きですが、市況が好調で需給がバランスしていることもあり、従来から比べると値引き要求は若干緩んできている状況にあると理解しています。ただ、厳しい値引き要求に直面していることに変わりはないということです。
構造改革費用ですが、当四半期は全部で9億円。去年が5億円でしたから、4億円ほど構造改革費用が増えています。これは、欧州メディアの今期ずれ込み分に起因しており、メディアとしては8億円。前期が5億円でしたから、前年第1四半期比較で3億円ほど構造改革費用が増えている状況にあります。
営業外損益の部を見ますと、通常、受取利息収入等で四半期につき15億円ぐらいのプラスで税引前利益を引き上げますが、今回は為替差損が15億円あって相殺されたため、営業利益と税引前利益が同じ水準になっています。この為替差損は、第3四半期の売掛金が対ドル円安で当時117円台でしたが、4月、5月、6月は、円高のときで110円になったり、114〜115円で推移したため、回収時に15億円の為替差損が発生したということです。
10ページ上段の事業の種類別セグメント情報をご覧ください。先ほどの売上高の内訳や決算の特徴でお話ししたような内容から、営業利益のセグメント別では、電子素材部品部門が売上高で368億円の増加、営業利益は197億円で、前期比42億円増えました。売上高の増加に比べて利益の増え幅が少ないことについては、先ほど言いましたように、ヘッドで操業低下、工程に影響したことにより、このような状況になっています。記録メディアは売上高が6億円ほど減収になっています。営業利益は構造改革費用のずれ込みもあり16億円のマイナスですが、前期比較では9億円の増益になっています。構造改革を加味すれば12億円ぐらい良くなっていると理解しています。
次に、8ページの連結貸借対照表をご覧ください。前期3月末との比較では、総資産額は9,156億円で、79億円の減少です。これは前期3月末日レートと6月末日レート比較で、対米ドルが117円47銭から115円24銭と円高になった結果、海外資産の円換算影響額が71億円減少したことが大きな要因です。現金及び現金同等物は、為替変動を含めて37億円増加しています。
営業活動によるキャッシュ・フローは306億円の収入超になっています。プラス要因としては、利益の増加が133億円、減価償却費の発生が151億円、売上債権の減少、回収促進が102億円。それに対してマイナス要因は、たな卸資産が増えて33億円のマイナス。未払い賞与、未払い税金といった支払い債務の促進でキャッシュが減少しています。投資活動によるキャッシュ・フローはほとんどが設備投資ですが、156億円のキャッシュアウトでした。財務活動によるキャッシュ・フローでは、86億円キャッシュアウトが多くなっています。1つには、50円配当にしたことによる66億円、デンセイラムダさん関係の借入金を外部に対して支払ったことでの22億円などです。
前年同期第1四半期比較では、減価償却費は21億円増、純利益が24億円増えました。売掛債権の減少が103億円、電池の会社を買ったときの事業買収資金の減少が87億円で、これがプラスになっています。逆に、固定資産の取得が35億円の増加、配当が13億円増えたことで、第1四半期同士の比較でいうと174億円キャッシュインという形で改善されています。たな卸資産が25億円ほど増えています。基本的には受注が好調で増えているということですが、お客様への受注対策に配慮しながらも、在庫が増えないように注意深く見積もっていかなければいけないと考えています。
最後に、5ページの2007年3月期の業績見通しをご覧ください。
結論から申し上げますと、業績見通しは4月27日時点で発表した数字から変更していません。売上高は8,200億円、営業利益は820億円、税引前利益は880億円、税後利益は610億円です。4月27日の時点と比較して、当社の業績見通しを積極的に変更するような大きな変化はないという認識に立っています。一方、原油価格、金利、為替、また、アメリカ・中国等の経済動向など、不確かなものが多い中で、四半期ごとに見通しを変更するのは混乱を招くということで、第2四半期が終わって上期の実績が出たところで、必要であれば見通し等を変更させていただきたいと考えています。
業績見通しの前提を再確認すると、電子材料、電子デバイス関係はデジタル家電や携帯電話向けで需要は好調で、前期比トータル、年間を通して増収の見通しという考え方に変化はありません。HDD用ヘッドも業界再編があって、既存需要の減少を織り込む一方で、民生機器への搭載増加等で数量は増加しますが、値引きもあって、金額的には年間を通して減収するだろうという考え方も、今のところ変えていません。ただ、先ほどお話ししましたように、特定顧客の急激な受注減によって、第1四半期における生産操業低下のために利益率が悪かったというお話をしましたが、この影響は第2四半期以降は解決される見通しです。為替は対ドル110円の想定を変えていません。
以上をもちまして、2007年3月期第1四半期の決算概要と業績見通しの説明を終わります。
ありがとうございました。