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[ 2005年3月期 第1四半期 連結決算説明会 ]連結業績概要

執行役員 経理部長 江南 清司

執行役員 経理部長 江南 清司

本日はご多忙のところ、かつ、非常に暑い中、多数ご参加いただきまして、ありがとうございます。また、皆さまの日頃のご支援に感謝申し上げます。
さっそく、2004年6月30日に終わりました第1四半期の決算概要についてご報告いたします。お手元の決算短信に沿って説明します。

まず、短信1ページをご覧下さい。売上高は前年同期に比べて47億円弱、3.1%増の1,578億9,100万円。営業利益は38億円強、37.8%増の140億2,500万円。税引前利益は33.9%増の149億5,000万円。当期純利益が26.6%増の101億6,300万円です。お陰様で、増収増益決算で終えることができました。1株あたり純利益は76円75銭です。

なお、当期間における対米ドル、およびユーロの平均レートは109円63銭、および132円15銭です。前年同期と比べて、対ドルで7.5%の円高、対ユーロで1.9%の円高で推移しました。売上高で約80億円、営業利益では約34億円のマイナス要因となっております。それらを含んでの決算です。

増収増益となった主な要因を、大きな括りで見てみます。まずは、すでに皆さんご存知のように、記録デバイス、HDD用ヘッドは重要得意先の垂直統合によるヘッドの内製化で受注を失いました。前期7-9月期、10-12月期は非常に調子が良かったので、それとは今のところ比べるべくもありません。しかし、4-6月期比較としては、その影響額が最小限に抑えられたことが、第一の要因です。
それから、HDD用ヘッド以外のその他電子部品全般については継続して構造改革を行っていますが、ここへきてようやく改善の兆しが見え始めてきた。いわゆる利益の下支え、利益の増加要因になってきたことが、二つ目です。
また、営業外の部では、対米ドル為替が前期3月末には105円69銭だったのが、4-6月期途中に一時114円台の円安となったものの、6月末には108円43銭で終えました。このようにかなり上下しましたが、お陰様で売掛金等の為替換算差損あるいは差益がほとんどイーブンで、利益に対して影響がなかった。これが、増収増益の三つ目の大きな要因であったと考えます。

1ページ下段に売上高の内訳がございます。これに沿って、業績概況と売上高の構成割合、並びに対前年同期比の売上高伸び率を申し上げます。
まず、電子素材部品部門です。売上高は1,305億円、全社に占める構成割合は82.6%、対前年同期比伸び率が5.4%アップです。この4-6月期のエレクトロニクス市場は、薄型テレビやデジタルスチルカメラ、あるいはDVDレコーダー等に代表される家電、携帯電話の普及・拡大に支えられて、非常に堅調に推移したと言えます。電子部品需要もこうした市場背景の中で、比較的堅調に推移したのではないかと考えております。
電子素材部品部門の中の電子材料製品の売上高は448億円、全社に占める構成割合は28.3%、対前年同期比10.7%のアップとなっています。
この部門の最も主要な製品であるコンデンサでは、その中でも主要な製品である積層セラミックチップコンデンサが、カラー液晶、カメラ搭載の比率が高まった携帯電話、デジタル家電向けで売上を伸ばしました。それによって売価下落、為替の影響を吸収して売上高が増えました。それから、フェライトコアは、デジタル情報家電製品、情報通信機器製品向けのコイル、トランス用としての需要が堅調でした。マグネットは、HDD用のVCMの需要が堅調で売上高が増えました。この結果、電子材料製品に占めるコンデンサの構成割合は70%、14%のアップです。フェライト・マグネットが残り30%で、3%のアップとなっております。

次に、電子デバイス製品です。売上高は282億円、全社に占める構成割合は17.9%、前年同期比9.4%のアップとなっております。
この部門の主要製品であるインダクティブ・デバイスは、通信機器製品向けで売上を伸ばし、売価下落や為替の影響を吸収しました。高周波部品は、携帯電話向けが好調でした。加えて、得意先への積極的な受注活動が一定の成果を上げて、数量的には伸びましたが、値引き要求が厳しい中で売上高は微増でした。それから、パワーシステムズその他については、センサアクチュエータ製品、パワーシステムズ製品が通信機器向けで売上高を伸ばしました。

ここで皆さまに、お詫びかたがたご了承いただかなければいけません。あとからご報告申し上げます市場分野別区分とともに、電子デバイス製品の中のインダクティブ・デバイス、高周波部品、パワーシステムズその他の下位製品区分を、一部組み替えさせていただきたいと思います。
具体的には、小型信号系、電源系コイルおよびEMC部品をインダクティブ・デバイス製品と区分し、従来含まれておりましたトランス関連製品はここから外し、パワーシステムズに組み入れます。社内的には、すでにこの区分で事業展開していましたが、開示継続性の観点から、決算のたびに組み替えをしておりました。それを、実情に合った区分に変更させていただきたいということです。これまでの推移を記録されている方もいらっしゃると思いますので、新しい区分での構成割合と対前年同期比の売上高伸び率を、前年4-6月期から今期4-6月期までの5四半期分を申し上げます。
インダクティブ・デバイスは、
 前期4-6月期、構成割合47%、前年同期比マイナス7%
 前期7-9月期、構成割合48%、前年同期比2%アップ
 前期10-12月期、構成割合46%、前年同期比9%アップ
 前期1-3月期、構成割合46%、前年同期比12%アップ
 今期4-6月期は構成割合47%、前年同期比11%のアップ
高周波部品は、
 前期4-6月期、構成割合11%、16%ダウン
 前期7-9月期、構成割合11%、11%ダウン
 前期10-12月期、構成割合11%、15%ダウン
 前期1-3月期、構成割合11%、12%ダウン
 今期4-6月期は構成割合10%、前年同期比2%アップ
パワーシステムズその他は、
 前期4-6月期、構成割合42%、19%ダウン
 前期7-9月期、構成割合41%、20%ダウン
 前期10-12月期、構成割合43%、4%ダウン
 前期1-3月期、構成割合43%、10%アップ
 今期4-6月期は構成割合43%、9%アップ
となっております。

次に、記録デバイス製品です。売上高は522億円、全社に占める構成割合は33.0%、前年同期比伸び率は3.1%のダウンです。
HDD用ヘッドは、得意先のヘッド内製およびHDD市場の生産調整の影響もあり、売上高を若干落としています。その他各種ヘッドも売上高を落としています。その結果、記録デバイス製品に占めるHDD用ヘッドの構成割合は91%、伸び率は3%のダウンです。その他の各種ヘッドが残り9%で、4%のダウンとなっております。

IC関連その他製品の売上高は53億円、全社に占める構成割合は3.4%、伸び率は42.6%のアップとなっています。
半導体は、通信機器分野向けを中心に依然低調で売上高を落としていますが、電波暗室その他の製品で売上を伸ばしています。

次に記録メディア・システムズ製品部門です。売上高は274億円、全社に占める構成割合は17.4%、前年同期比伸び率が6.8%のダウンです。
その中のオーディオ・ビデオテープは、依然シェアは高い水準を維持していますが、いかんせん需要が大きく落ち込んでいる中で売上高を減少させております。光メディア製品は、DVDで拡大する需要を背景に売上高は伸びていますが、売価下落が非常に厳しい状況です。その他製品の括りでは、前下期に米国のソフト会社を売却したことによる売上高の減、それから、レコーディング機器関係の販売不振によって売上高を落としています。
その結果、オーディオテープの構成割合は6%、31%の前年同期比ダウン。ビデオテープは25%の構成割合、22%の前年同期比ダウン。光メディア製品は構成割合42%、18%アップです。その他は、残り27%で12%のダウンとなっています。

先ほど少し触れました市場分野別の区分は、前にもお話したようにTDKが重点分野と考えております情報家電、高速・大容量ネットワーク、カーエレクトロニクス、その他、この4区分に組み替えをしたいと考えております。電子素材部品部門の売上高1,305億円を100とすることについては、従来と同じです。これも、比較性確保という観点から、前期4-6月期から今期4-6月期までの5四半期分の構成割合と対前年同期比売上高伸び率を申し上げます。これは、補足資料の3ページに出ています。

まず情報家電です。
 前期4-6月期、構成割合65%、前年同期比9%アップ
 7-9月期、構成割合66%、17%アップ
 10-12月期、構成割合67%、24%アップ
 1-3月期、構成割合63%、7%アップ
 今期4-6月期、構成割合63%、3%アップ
高速・大容量ネットワークは、
 前期4-6月期、構成割合8%、3%ダウン
 7-9月期、構成割合9%、19%アップ
 10-12月期、構成割合9%、15%アップ
 1-3月期、構成割合9%、26%アップ
 今期4-6月期、構成割合10%、32%アップ
カーエレクトロニクスは、
 前期4-6月期、構成割合9%、9%ダウン
 7-9月期、構成割合9%、3%ダウン
 10-12月期、構成割合8%、3%ダウン
 1-3月期、構成割合9%、1%アップ
 今期4-6月期、構成割合9%、4%アップ
残りのその他は、
 前期4-6月期、構成割合18%、1%アップ
 7-9月期、構成割合16%、1%アップ
 10-12月期、構成割合16%、3%アップ
 1-3月期、構成割合19%、12%アップ
 今期4-6月期、構成割合18%、3%アップ
となっています。

6ページの連結損益計算書をご覧ください。
営業利益ベースで対前年同期比38億円の増益となっています。増益要因としては、操業度、品種構成を含んだ売上の増加で148億円。原材料値下げが、石油等資材は値上がりしている中で33億円。合理化コストダウンで64億円。プラス効果は合計245億円です。
減益要因は、第一に売価値引きが173億円のマイナス。為替の影響は、売上で80億円、営業利益では34億円のマイナス。マイナス要因は合計207億円で、差し引き38億円の利益増加になっております。

売価値引きは、依然厳しい状況に変わりはありませんが、電子部品については操業がほとんどフルになってきている中で、値引き要求も少しは緩んでいる状況にあります。それでいて、値引き金額が大きな数値を示しています。本来、値引き金額の計算は前期と今期の価格を比較するわけですが、HDD用ヘッドは1年ごとに製品が変わりますから、新しい製品に変わっていて比較ができませんでした。このため、従来は値引計算から外れ、分析上は品種構成に移っていました。しかし、今回は80GB/Pが長期間使用されています。今現在、出荷数量の約98%が80GB/Pで占められています。ですから、前年対比ができるということで、値引き金額の中に入ってきました。したがって、値引き金額のそのものの全額が悪化要因だとは思いませんが、80GB/Pが長期間にわたって使用されていることで、実質的な値引き要求が強くなっているのも確かだと考えます。記録メディア・システムズ製品は、DVDを中心に厳しい環境で価格下落に直面しています。

HDD用ヘッドを含んだ電子素材部品部門全体では、今のような状況を含んで8%弱の値引きになっています。
構造改革関係の費用は、前期4-6月期は15億円でした。今期は4億円でしたので、11億円、構造改革費用が減っています。これは、別の角度からみた増益要因になっています。

次に、7ページの連結貸借対照表と8ページの連結キャッシュフロー表を一緒にご覧ください。これは、前期3月末との比較です。
総資産額は7,922億円で、219億円の増加になっています。前期3月末日レートとこの6月末日レートでは、米ドルが105円69銭から108円43銭、2円74銭の円安。ユーロも128円88銭から131円06銭と2円18銭の円安。ともに円安で終わったということで、海外資産の円換算影響額が82億円増加する方向に働きました。

現金及び現金同等物は、35億円の微増にとどまっています。これは、一つには営業活動におけるキャッシュフローベースでは188億円の収入超となっています。主な要因は利益と減価償却費です。逆に、棚卸資産が増えたことや、それ以外の資産が若干増えたことがマイナス要因となっています。それから、投資活動によるキャッシュフローということでは、141億円の支出超となっていますが、これは設備投資です。財務活動によるキャッシュフローでは、39億円の支出超となっていますが、これは配当金支払いです。それから、為替変動では、円安で26億円のプラスになりました。その結果が35億円の増加で、実質はほとんど増えていない状況です。

前年同期に147億円キャッシュが増えたことからすると、その比較では112億円減少しています。これは、一つには前年に比べて投資活動が活発になったことが大きな要因です。それから、棚卸資産等が増えたこともキャッシュを減らした要因です。
棚卸資産が48億円増えていますが、この大半は記録メディア・システムズ製品の光メディア製品です。売価下落の厳しい現状に直面しており、その在庫が増えたことがマイナス要因です。できるだけ早く、この削減を図らなければいけないと認識しています。

有形固定資産は、久しぶりに46億円増加しました。構造改革で設備処分等をしていましたが、ようやく増える方向にきました。操業もアップして、増産投資の要求が増えてきたことの結果です。

資本の部のその他の包括損失は、ここは、106億円減少しています。10ページに増加要因の内訳が書いてあります。一つは外貨換算で、円安の関係で増えたこと。もう一つは株式市況の好況で、年金資産が増えたこと。これらの要因で良化したということですが、6月末の絶対額の内訳を見ると、外貨換算調整勘定がマイナス473億円、最低年金債務調整勘定がマイナス327億円、有価証券の未実現評価益が2億円。差し引き798億円がその他の包括損失という形になっています。

次に、9ページのセグメント情報をご覧ください。
上段の事業の種類別セグメント情報です。電子素材部品部門の営業利益は、前年同期比40億円、36.3%増の149億円となっています。記録メディア・システムズ製品部門の営業利益は、前年同期比1億円減のマイナス9億円になっています。これは、デジタル家電や携帯電話の好調を背景に、HDD用ヘッドの若干の落ち込みを、コンデンサを中心としてHDD用ヘッドを除いた電子部品でカバーした結果です。
記録メディア・システムズ製品部門は、前期にソフト事業を売却して赤字要因の一部を取り除いたわけですが、DVDの価格下落が急で、光メディア製品の売上高は増えていてもそこから十分な利益が生み出せない。まだ、利益が出る体質になりきっていません。ただ、赤字ではありますが、期首の見込みよりはいい状況です。

最下段の地域別売上高です。まず、国内の売上高は、前年同期比5.8%アップ、428億円です。国内景気が良くなってきたこともありますが、久しぶりに増加しました。これは電子部品の好調に支えられています。中段に営業利益も載っていますが、そこでも58億円と、前年から比べると43億円増えています。これが要因です。
米州地域、欧州地域は、為替の影響もありますが、売上高を落としている状況が続いています。アジア地域の売上高は、前年同期比6.8%アップ、772億円となっています。従来なら、ここがもう少し大きく伸びるところですが、HDD用ヘッドの落ち込みがあり、それを電子部品等でカバーし、6.8%増になりました。結果、海外売上高の合計が、前年同期比2.1%アップ、1,151億円になりました。しかし、全社に占める構成割合としては、国内が増えたことで73.6%から72.9%と、1%弱ですが海外比率が落ちて、国内比率が増えました。

最後に、5ページの2005年3月期の業績見通しです。結論から申し上げると、2005年3月期の連結業績見通しは、4月28日のままで変更をしておりません。したがって、見通しが不確かな中、第1四半期の段階で変更するのは逆に混乱させると判断しました。通期見通しの変更の必要があれば、上期の実績が出たところで変更させていただきたいと考えています。
そうは言っても、7-9月期の状況見通しはどうなのかという話をします。まず一つには、HDD用ヘッドはほぼ4-6月期並み、もしくは若干の下目と見ています。二つ目には、これを堅調な電子部品でカバーすることになりますが、4、5月に比べて6、7月が頭打ちであり、8、9月と年末商戦につながっていくのかどうかがポイントとなりますが、あまり大きな期待はしないほうがいい。そうは言っても、4-6月期並みの利益水準は確保したい。つまり、前年の7-9月期並みの利益水準は確保したいと考えています。

以上をもちまして、2005年3月期第1四半期決算概要と7-9月期見通しを終わらせていただきます。ありがとうございました。