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[ 2003年3月期 第3四半期 連結決算説明会 ]連結業績

経理部長 江南 清司

経理部長 江南 清司

経理部長の江南と申します。宜しくお願い申し上げます。本日は、寒さ厳しい中、かつご多忙のところを多数お集まり頂きまして感謝申し上げます。早速ですが2002年12月31日に終了しました弊社2003年3月期第3四半期決算概要について、連結業績が確定しましたので、お手許にあります決算短信に沿ってご報告申し上げます。

第3四半期(10月1日〜12月31日)の連結決算についてのご報告となります。決算短信1ページ上段をご覧下さい。

  • 売上高は 前年同期比 : 9.2%増の1,616億78百万円、
  • 営業利益は : 203.43億円増の61億72百万円、
  • 税前利益は : 198.60億円増の60億55百万円、
  • 当期純利益は : 143.34億円増の45億75百万円、

と、お蔭様で増収・増益決算になりました。一株当たり利益は34円49銭、9ヶ月累計で69円47銭です。

大きくは、

  1. 前期に実施させて頂いた構造改革の効果の具現化
  2. 今期も構造改革継続中とは言いながら、昨年対比で構造改革費用の減少
  3. 厳しい値引き要求の中での、電子材料・電子デバイス製品の増収確保
  4. 記録デバイス−HDD用ヘッドの好転

によるものです。

7ページをご覧下さい。「連結損益計算書」があります。営業利益ベースで、前年同期比203億円の増益となっております。
増益要因としましては、操業度・品種構成を含む売上の増加で162億円、合理化・コストダウンで44億円、原材料値下げで63億円、昨年来の構造改革の具現化という意味での固定費削減効果;労務費で25億円・その他固定経費で46億円、今期も構造改革を引き続き実施させて頂いておりますが、構造改革費用の絶対額の減少で57億円、です。
減益要因の第一は、厳しい売価値引きで△190億円ございます。全社で△11%、電子素材部品で△10%、記録メディア・システムズで△11%の値引率です。
為替影響は僅かではありますが、△4億円の減益要因となりました。当期間における対米ドル及びユーロの期中平均レートは、それぞれ122円62銭(123円45銭)、122円51銭(110円57銭)と前年同期に比べ、米ドルは0.7%とほんの僅かな円高、ユーロは10.8%の円安で推移しました。対ユーロの円安影響もあって売上高は約13億円増加したものの、営業利益ではユーロ圏(欧州)で構造改革費用の発生による営業損失を計上したこともあり、かえってマイナス影響となりました。

又、今第3四半期の構造改革費用はリストラクチュアリング費用26億円と別表示されているもののほかに、原価性ありということで売上原価に算入されている費用2億円を加えて、28億円発生しております。中間期の決算説明会のときに、第3四半期の構造改革費用を17億円と見込んでいましたので、結果として11億円を前倒しで第3四半期に実施しました。ちなみに、前年同期はリストラクチュアリング費用73億円、原価性あり12億円を加えて85億円でした。

次に8ページの「連結貸借対照表」をご覧下さい。9ページの「連結キャッシュ・フロー表」と合わせて、ご覧下さい。当期中間期末との比較となります。

総資産額は7,314億円で、37億円の増となりました。

当期9月末日レートとこの12月末日レートでは、米ドルは122円60銭が119円90銭と円高、ユーロは120円37銭が125円08銭と円安であったものの、主軸通貨であるドル高の影響が大きく海外資産の円換算影響額は△29億円と僅かながら総資産を減少させました。

現金及び現金同等物が66億円増加しております。賞与・配当資金約△80億円、現金及現金同等物への為替影響額△11億円、売上増に伴う売上債権の増加や債務減少等による資金需要を利益計上、在庫資産圧縮、設備投資の選別等で改善した結果です。

在庫につきましては、前期第1四半期1,235億円をピークに764億円まで減少しました。当期中間期末比でも73億円の減少となりました。
有形固定資産が△78億円減少しております。これは投資の選別もさることながら、今期が増産投資のタイミングでないこともあって、減価償却費△144億円に対し、新規投資が85億円に止まったことや設備除却により減少しました。

資本の部のその他の包括利益(△損失)累計額が△74億円増加して資本を減少させておりますが、これは11ページの(注記 3)に明細記載のとおり、外貨換算調整額(△37億円)、最低年金債務調整額(△37億円)からなっています。
最低年金債務調整額の増加は、株価下落・金利低下等による運用利回りの確保が困難であることに起因しており、負債の部の未払い退職年金費用の増加も同様の理由によります。
これら自己資本減少要因を吸収するだけの収益力にまで、まだ回復していない為、若干自己資本比率を下げております。

キャシュフローの改善を目指しておりますが、お手元の補足資料9ページをご覧頂くと、目標指標がそれぞれ僅かずつでも改善しております。

  • 棚卸資産保有月数 : 前期 1.9ヶ月が 今第3四半期 1.4ヶ月
  • 固定資産回転率 : 前期 2.1回が 今第3四半期 2.7回
  • 売上債権保有月数 : 前期 3.0ヶ月が 今第3四半期 2.7ヶ月

1ページに返って頂いて、その下段に「売上高の内訳」があります。

業績概況と売上高の構成割合並びに、前年同期比売上高伸び率を申し上げます。

まず、「電子素材部品部門」ですが売上高は1,219億円、全社に占める構成割合は75.4%、売上高の対前年同期比伸び率は13.3%のアップとなりました。
その中の「電子材料製品」の売上高は416億円、全社に占める構成割合は25.7%、前年同期比5.5%のアップです。
<コンデンサ>は前年同期比では売上高を伸ばしたものの、第1四半期より第2四半期、第2四半期より第3四半期と売上高を減少させています。これは、電装化の進む自動車分野では堅調に推移したものの、AV分野ではクリスマス商戦が必ずしも好調とは言えず、得意先の生産調整の為、追加オーダーが期待した程来なかったことや厳しい値引き要求によるものです。
<フェライトコア>はLCDパネルに使用されるバックライト用コアやデジタルAVを中心とした電源用コア等一部好調なものもありましたが、情報通信用コア等需要が回復せず売上高はほぼ横ばいです。
<マグネット>は自動車及び部品分野向けが堅調。モーター部品の需要が好調に推移し、売上高を伸ばしました。
電子材料製品に占めるコンデンサの構成割合は64%、前年同期比4%のアップです。フェライト及びマグネットが残り36%で8%のアップです。

「電子デバイス製品」の売上高は289億円、全社に占める構成割合は17.9%、対前年同期比10.8%のアップとなりました。
<インダクティブ・デバイス>はAV分野で得意先の生産調整はありましたが、電装化の進む自動車分野において堅調、前年同期比では通信分野向けも回復傾向にあり、全体として売上高を伸ばしました。
<高周波部品>は携帯電話を中心とした通信分野向けの受注が徐々に回復して来たことを受け、厳しい値引き要求を数量増で吸収し売上高は増加しました。
<パワーシステムズその他>は好調であったアミューズメント向けDC−DCコンバーターは得意先の生産調整で売上高を落としましたが、PC関連分野や通信分野向けのアクチュエータ、チップバリスタ等が好調で、この分野全体としては売上高を伸ばしております。
電子デバイスに占めるインダクティブ・デバイスの構成割合は51%、前年同期比10%のアップ。高周波部品の構成割合は17%、前年同期比13%のアップです。残りパワーシステムズその他が32%、前年同期比11%のアップです。

「記録デバイス製品」の売上高は、478億円で全社に占める構成割合は29.6%、前年同期比25.0%のアップとなりました。
<HDD用ヘッド>は得意先からの評価が良好な40ギガバイト製品を中心に マーケットシェアーが回復したことに加え、HDDヘッドの平均使用個数が予想していた程減少しなかったことで総需要が堅調に推移し、売上高が増加しました。
<その他各種ヘッド>は全般的に売上高を伸ばしました。
記録デバイスに占めるHDD用ヘッドの構成割合は89%で、前年同期比26%のアップです。
その他各種ヘッドが残り11%、15%のアップです。

電子素材部品部門中最後になります「IC関連その他製品」の売上高は、36億円で全社に占める構成割合は2.2%、前年同期比△6.9%のダウンです。通信インフラ関連の設備投資が依然として低迷しており、WAN/LAN用等半導体の売上高は大幅に減少しました。

次に「記録メディア・システムズ製品部門」です。売上高は398億円、全社に占める構成割合は24.6%、前年同期比伸び率は△1.6%のダウンとほぼ横ばい、微減となりました。基本的には、オーディオ・ビデオ等従来メディアの需要減少による売上減を、コンピュータ用データストレージテープの新規格承認取得による販売増やソフトビジネスの販売寄与でカバーしております。
<オーディオテープ>の構成割合は9%、前年同期比△25%のダウンです。
<ビデオテープ>は32%、前年同期比△2%のダウンです。
<光メディア>は構成割合25%、前年同期比6%のアップです。CD−Rは売価下落を数量増でカバー。DVDも徐々に販売が伸びて来ています。MDの需要減による減少を吸収しました。
<コンピュータ用データストレージテープ・レコーディング機器その他>の構成割合は34%、前年同期比2%のアップです。

次に、先程報告しました電子素材部品部門の売上高1,219億円を100とした時の「分野別」構成割合と、売上高対前年同期比伸び率を報告申し上げます。お配りしました補足資料の4ページ(左半分)をご覧下さい。

  • 「情報機器(PC)」関連が : 構成割合52%、前年同期比15%のアップ。
  • 「通信(携帯)」関連が : 構成割合 9%、前年同期比△1%のダウン。
  • 「AV」関連が : 構成割合14%、前年同期比△9%のダウン。
  • 「自動車分野」は : 構成割合 9%、前年同期比27%のアップ。
  • 「部品分野」が : 構成割合 7%、前年同期比25%のアップ。
  • 「家電」は : 構成割合 2%、前年同期比6%のアップ

となっております。

10ページのセグメント情報をご覧下さい。

まず、上段の「事業の種類別セグメント情報」をご覧下さい。
「電子素材部品部門」の営業利益が前年同期比190億円増の58億円、
「記録メディア・システムズ部門」は前年同期比13億円増の4億円、とそれぞれ赤字から黒字に転換することが出来ました。

「電子素材部品部門」には、構造改革費用が前期85億円、今期18億円で差し引き67億円の増益要因が含まれておりますので、実質123億円の増益となります。記録デバイス(HDD用ヘッド)の回復の影響が大きいことに加え、電子材料・電子デバイス等も前年実施した構造改革の効果もあり増益となっております。
「記録メディア・システムズ部門」には、今期構造改革費用10億円の減益要因が含まれており、実質23億円の増益です。黒字転換は、2期に渡る構造改革の効果とコンピュータ用データストレージテープ等の注力事業が一部、軌道に乗って来たことによります。

最下段、「地域別売上高」をご覧下さい。
「日本国内の売上高」は前年同期比5.3%アップの430億円となりました。
記録メディア・システムズ製品部門の売上高減少はありましたが、HDD用ヘッドのマーケットシェア回復による売上高の増加等で、当地域の売上高は増加しました。「米州地域の売上高」は前年同期比△1.4%ダウンの281億円です。電子素材部品部門、記録メディア・システムズ部門ともに微減となりました。「欧州地域の売上高」は前年同期比2.9%アップの220億円でした。全般的に低調で、売上高増加の主因は前年同期比ユーロ高、円安にあります。「アジア他の地域の売上高」は、前年同期比19.6%アップの685億円となりました。ほとんど全事業分野に渡って堅調に推移し、売上高の増加となりましたが、やはり記録デバイス(HDD用ヘッド)のマーケットシェア回復によるところが大きいです。

この結果、「海外売上高」の合計は1,186億円、前年同期比10.7%のアップとなり、「売上高に占める海外売上高の比率」は72.4%から73.4%へ1.0ポイントの増加となりました。

なお、中段にあります「所在地別セグメント情報」における営業利益の前年同期比増減の動きは、「地域別売上高」の動きに連動していると言えます。
欧州が悪化しているのは為替影響のところでも申し上げましたが、構造改革費用(△15億円)が発生し、円安がマイナスに働いた結果です。日本の営業利益が大幅に改善しているのは、前期第3四半期は日本の子会社を中心にリストラを実施した為、構造改革費用が昨年対比減少したこととその効果の相乗によるものです。

事業体質を強める為、TVAとNPVを用いてクリティカルビジネスユニット約670億円(計画ベース)を洗い出し、この一年、収益改善計画をフォローし、選択と集中を進めてまいりました。結果は次のとおりです。

  1. 上期中に生産終息する製品 : 62億円
  2. 更に今期、終息すると決めた製品 : 55億円
  3. 計画通り改善が進み継続する製品 : 144億円
  4. 将来育成の見地・来期改善期待から継続する製品 : 141億円
  5. 今期の更なる構造改革で来期の収益改善が期待でき継続する製品 : 268億円

継続すると決めたビジネスユニットも、来期も引き続きクリティカルビジネスとしてフォローしてまいりますし、新たなビジネスユニットも対象に加わって来ると思われますが、継続して選択と集中を進めます。

最後に、6ページにあります「2003年3月期の連結業績見通し」をご覧下さい。昨年中間期10月に発表した見通しを以下のように修正いたします。

今回の見通し作成に当たっては、次の点を考慮しております。継続すると決めたビジネスユニットも、来期も引き続きクリティカルビジネスとしてフォローしてまいりますし、新たなビジネスユニットも対象に加わって来ると思われますが、継続して選択と集中を進めます。

最後に、6ページにあります「2003年3月期の連結業績見通し」をご覧下さい。昨年中間期10月に発表した見通しを以下のように修正いたします。

今回の見通し作成に当たっては、次の点を考慮しております。

  1. 前提となる対米ドルレートは、前回120円で見ましたが、今回も 第4四半期120円と見ております。
  2. 部品業界を取り巻く景況については、昨年10月の発表以後も米国を中心とした世界経済の先行きには不透明感が強く、需要の回復に力強さは感じられず、引き続き能力過剰。したがって、第4四半期も依然として経営環境は厳しい、との認識です。
  3. 記録デバイス製品のHDD用ヘッドは得意先の評価も高く、足元の受注も堅調であることから第4四半期の売上高は第3四半期の売上高並とみております。
  4. 売上高が増えておりますが、売価値引きで営業利益の上乗せには至りません。
  5. 税前利益の微減は、為替の影響です。
第4四半期 通 期
今回 先回 今回 先回
売上高 1,500 1,379 6,081 5,850
営業利益 40 40 202 200
税前利益 40 45 177 183
税後利益 34 36 126 130

以上を持ちまして「2003年3月期 第3四半期連結決算概要」並びに「今期見通し」の説明を終わらせて頂きます。
有難う御座いました。