[ 2002年3月期 第1四半期 連結決算説明会 ]決算概要説明
経理部長 江南 清司
2002年3月期第1四半期の決算概要についてご報告申し上げます。これからの説明は、連結決算についてのご報告ということになります。
売上高は前年同期比19.6%減の1,410億円。営業利益は86.5%減の25億8,900万円。税引前利益は86.6%減の25億6,400万円。当期純利益は90.6%減の12億700万円と、大幅な減収減益となりました。なお、税引前利益と当期純利益の間にあるこの税金の部分が前期から比べて高くなっていますが、これは赤字を計上した一部海外子会社において税制上の制約から税効果がとれないことに起因しています。そのために、相対的に高い税金になったということです。
後ほど第2四半期の業績見通しをご説明させていただきますが、前期と打って変わって非常に厳しい市場環境にあり、市場環境が大きく変わったと認識しています。今後、市場環境の変化を見極めながら、早急に収益の改善を図っていきたいと考えており、現在すでに検討に入っているところでございます。
では、短信に沿いまして、重要な点についてご説明申し上げます。6ページの連結損益計算書をご覧ください。
営業利益は対前年比約166億円減益となっています。要因の第1は、受注減に伴う操業度ダウン。それから、品種構成の変化を含んだ売上の減少に伴う減益ということで、その影響額が約143億円。第2には、売価ダウンによる減益が約105億円で、電子素材部品で約5%弱、記録メディア・システムズ関係で約14%の売価ダウンとなっています。ただ、オーディオ、ビデオ、CD-R等の従来メディアについては、1年前と比較しますと14%ダウンですが、前期第4四半期と比較しますと、売価レベルはほぼ横這いで、むしろビデオ等は値上げに努力しているところにあります。
当期間における、対米ドルおよびユーロの期中平均レートはそれぞれ123円、107円と、前期と比べてそれぞれ15%、7%の円安で推移しています。これは円換算後の業績を押し上げる役割を果たしており、売上高で約103億円、営業利益で約27億円のプラス効果となっています。加えて、原材料値引き、コストダウン、あるいは販売管理費の削減等に努めて約55億円を捻出しましたが、マイナス要因をカバーしきれず、その結果、大幅な減収減益になったということです。
営業外損益につきましては、前期と比べて変化はありませんが、強いて言えば円安に推移したということで、為替換算損が比較的少なかったこと。もう一つは、日米等で利率が下がっていることと、手持ち現金が若干減少している結果、受取利息が減少した。そういったことが特長かと思います。
次に同じページの下段、連結貸借対照表を見ていただきます。この部分については、前期3月末との比較となります。
総資産額は約7,909億円で、292億円ほど減っています。前期3月末日レートと6月末日レートを比較すると、米ドルでは123円90銭が124円60銭と、わずかながら円安に動いています。ただし、ユーロは109円33銭が105円20銭と、むしろ円高になっており、海外資産の円換算影響額がそれぞれ相殺されて、ほぼイーブン、約6億円の減少にとどまっています。したがって、この減少は実質的な減少と言えると思います。
まず、現金および有価証券では、約211億円減少しています。これは、賞与、配当、納税等の決算資金で約216億円。それから、在庫を減らそうと努力しましたが、残念ながら在庫は増え、それが約71億円。設備資金が約226億円。こうした資金需要により、現金および同等分が減少しています。
在庫増につきましては、5月の前期決算説明会でも、急速にきた受注減への若干の対応遅れが在庫を増やす結果になったため、在庫減を図って適正水準にするとご説明申し上げました。そして、在庫を減らすために操業ダウンを各工場において実施して努力してきましたが、突然の受注キャンセルや納期の先送りが発生し、受注の減少は予想以上に厳しく、この結果、在庫が減らなかったということです。
設備投資につきましては、コンデンサの北上工場関連や、その他電子素材部品の合理化投資、および開発投資が主なものです。売上債権、支払債務はともに大幅に減少していますが、これは受注減からくる操業ダウンと、それに伴う売掛、買掛の減少ということです。
次に、5ページの製品別売上高の内訳を見ていただきます。
製品別売上高に従い、業績概況と売上高の構成割合、ならびに売上高対前年比伸び率を申し上げます。大きくは電子素材部品と記録メディア・システムズに区分してあります。
まず、電子素材部門ですが、売上高は1,104億円、全社に占める構成割合は78%、売上高の対前年比伸び高は24%ダウンとなりました。
その中の電子材料製品の部分は、前期第4四半期ごろから始まった米国経済の景気減速を受けて、得意先の在庫調整が、PCや携帯だけではなく幅広い分野で進んだということです。その影響は残念ながら、この第1四半期にも及びました。中でも積層チップコンデンサは、特に携帯電話、PC関連で非常に影響を受けました。フェライトコアはPC、AV関連で売上が大きく減少。ただ、マグネットは同様に売上が減りましたが、自動車向けは電子化に伴って若干売上高を伸ばしている状況にあります。
これらの結果、電子材料製品の売上高は439億円で、全社に占める構成割合は31%、対前年比で17%ダウンとなりました。電子材料製品に占めるコンデンサの構成割合は61%で、対前年比16%のダウンとなっています。フェライトおよびマグネットが残り39%で、17%のダウンとなっています。
次に、電子デバイス製品ですが、これも電子材料製品とほぼ同様の市場状況から、景気減速の影響が第1四半期にも及んでいます。
そのうち、高周波部品は携帯電話市場向けの比率が非常に高いことから、携帯電話市場の冷え込みによって、在庫調整の影響をもろに受け、売上高を大幅に落としています。インダクティブ・デバイスは、AV、PC、携帯電話関連で売上が大きく減少しました。ただ、自動車向けはマグネットと同様、電子化が進んでいることもあり、構成比は低いのですが、若干売上高を伸ばすことができました。パワーシステムズは、AV、アミューズメント(ゲーム)向けが比較的堅調で、若干売上高を伸ばしています。
これらの結果、電子デバイス製品の売上高は286億円で、全社に占める構成割合は20%、対前年比21%のダウン。電子デバイスに占めるインダクティブ・デバイスの構成割合は56%、対前年比22%のダウン。高周波部品の構成割合は17%、対前年比39%の大幅ダウン。残りその他が27%で、対前年比2%のダウンとなっています。
次に、記録デバイス製品ですが、記録デバイス製品は当初、他社に遅れをとった30GBの製品がこの第1四半期において主流であったということで、シェアを低下させました。さらに、PC需要の減退によってハードディスクメーカーが生産調整に走った結果、HDD用ヘッドの需要が低下しました。これらが相まって、売上高は328億円、全社に占める構成割合は23%で、対前年比34%の大幅ダウンとなりました。記録デバイス製品に占めるHDD用ヘッドの構成割合は86%、対前年比36%のダウンです。その他の部分が対前年比12%のダウンとなっています。
IC関連その他製品は、昨年の半導体需要を牽引した通信インフラ機器の需要減退を中心に、半導体市場が減速を続けているため、半導体の売上は大幅な減少を余儀なくされました。ただ、電波測定システムは売上が増加したこともあり、この分野としては売上高51億円、全社に占める構成割合4%で、対前年比21%のダウンとなりました。その中のIC関連の構成割合は38%、対前年比48%のダウンと半減。その他が対前年比16%の増加となっています。
次に記録メディア・システムズ製品部門ですが、売上高306億円、全社に占める構成割合22%、対前年比は為替の助けもあり、ほぼ横這いとなりました。基本的にはオーディオ、ビデオの総需要の減少により売上高が減少したわけですが、CD-Rの売上増、新規に立ち上げようとしているレコーディング機器の売上が寄与して、全体としては横這いということになります。
前期実施したリストラの効果は、従来メディアについては効果が比較的顕著に現れていますが、目論んでいた新規事業の分野が必ずしも予定どおりにはいっておらず、若干遅れ気味というのが現状です。
オーディオテープの構成割合は14%で、対前年比17%ダウン。ビデオテープは構成比33%、対前年比8%ダウンです。オプティカルディスクは構成割合24%、対前年比9%の増加となっていますが、これは価格が大幅に下落したものの、数量がそれ以上に伸びたことの結果です。その他の構成割合は29%、対前年比15%の増加となりました。これはデータテープ、レコーディング機器の売上増によるものです。
ここに資料はありませんが、当社では記録・通信の分野を中期計画の中で重点分野と位置づけています。
売上をこの観点から申し上げますと、記録分野の構成割合は39%、対前年比27%のダウンとなりました。通信の構成割合は11%、対前年比37%のダウンとなりました。記録分野の落ち込みの中心はHDD用ヘッドであり、製品別でもご説明しましたが、得意先の生産調整と30GBの製品のシェアダウンに起因しています。一方、通信分野は、携帯電話向けの高周波部品、積層チップコンデンサあるいはインダクタ、WAN/LAN向け半導体の売上高減少が中心です。
次に、電子素材部品部門の売上高1,104億円を100としたときの分野別構成割合と、対前年比伸び率を申し上げます。
情報機器(PC)関連は構成割合が43%、対前年比32%のダウン。通信関連は構成割合13%で対前年比37%のダウンです。AV関連が構成割合17%、対前年比11%のダウン。自動車分野は構成割合9%、対前年比11%増で、増加した数少ない分野となっています。部品分野が構成割合6%、対前年比売上高伸び率で16%のダウン。家電分野が構成割合3%、対前年比1%の増加です。
次に、7ページをご覧ください。地域別売上高です。
まず、国内においては、各分野の製品にわたって売上が全体的に減少しました。中でも、記録デバイス製品の売上高の減少が大きく、その結果、国内では前年同期比で23%減の435億円となっています。
欧州地域は、携帯電話市場の冷え込みの影響を大きく受け、携帯電話向けの高周波部品が低調でした。一方のCD-Rが比較的好調に推移しましたが、それではカバーしきれず、前年同期比9%減の198億円となっています。
アジア他の地域につきましては国内同様、ほとんどの製品にわたって、全体的に売上高が減少しました。中でも、国内と同様、記録デバイス製品の売上高減少が大きく、その結果、前年同期比で24%減の500億円となりました。
米州地域は、電子材料製品ならびに電子デバイス製品が低調でした。記録メディア・システムズ製品部門で昨年秋から販売を開始したレコーディング機器の売上が寄与しましたが、それではカバーしきれず、前年同期比11%減の276億円となっています。
この結果、海外売上高の合計は前年同期比で18%減の975億円となり、連結売上高に対する海外売上高の比率は、前年同期の67.6%から1.5ポイント高くなって69.1%となっています。以上が第1四半期の内容です。
最後に、通期の業績見通しについてご説明します。4ページをご覧ください。
現時点では5月に発表した数字がありますが、通期業績見通しに対して下期回復のシナリオの実現が極めて厳しいものになるだろうと考えています。ただ、現時点で今下期の業績見通しについては不透明で、携帯電話がどうなるかなど、なかなか読み切れない部分があり、正確な見直しを行いきれていないのが実状です。
ミスリードをしないためにも、今回は5月に発表させていただいた通期業績見通しのうち、主に第2四半期の業績見通しについてのみ、見直しを行いました。当該見直しの限度で通期業績見通しを修正させていただいたとご理解いただきたいと思います。つまり、下期については5月10日にご説明した内容を変更しておらず、第1四半期実績と第2四半期だけ業績見通しを変更したということです。
その結果、通期では売上高6,450億円で前年同期比6.5%減、営業利益は46.7%減の300億円、純利益は52.3%減の210億円となりました。この数字から逆算していただくと自然とわかるのですが、上期は売上高が2,800億円で、営業利益、純利益ともにプラスマイナスゼロとなって、第2四半期は第1四半期よりもさらに悪化すると予想されているというのが今の状況でございます。
第2四半期の具体的な数字としては、売上高が1,390億円。第1四半期が1,410億円でしたからほぼ横這い、もしくは若干減。営業利益はマイナス26億円、税引後利益がマイナス12億円で、上期ということで見ますと、営業利益および税引後利益がプラスマイナスゼロと考えております。
これは、電子素材部品部門の対象となっているPC、携帯電話、AV等、市場全般の回復について5月10日にご説明したときは、第1四半期が底だと考え、第2四半期以降は徐々に回復してくると予想したシナリオであったためです。ところが現状では、第2四半期にすでに入っていますが、回復の兆しがまだ現れてきていません。そのため、5月時点での見通しを大きく下回るだろうということで、このような結果になりました。
また、収益面でも、受注が減るということと、在庫を減らしていかなければいけないということの両方から、操業ダウンが避けられず、しかも得意先からの値引き要求なども強まってくることから、第1四半期よりも悪化すると見た次第です。
以上で、第1四半期の連結決算概要ならびに通期業績見通しの説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。