サステナビリティトップコミットメント

テクノロジーですべての人を幸福に

TDKは技術力を高めて製品を提供し、
お客様を通して社会課題に挑戦し続けます

代表取締役 社長執行役員CEO 齋藤 昇

TDKは、磁性技術で世界をリードする総合電子部品メーカーですが、社是に掲げる「創造によって文化、産業に貢献する」を実践することで、これまで社会にとって価値のある数多くの製品を提供し続けてきました。
社会課題解決のために企業が取り組むことへの要請がますます高まっている現在、自動車、ICT、産業機器といった幅広い分野のお客様とともに、私たちはサステナブルな社会の構築に最大限貢献したいと考えています。

激動の経営環境での舵取り

今日、私たちを取り巻く経営環境は「激動」の一言に尽きます。2022年度、世界ではコロナ禍の影響が残る中、ウクライナ情勢の変化などにより地政学的リスクが急速に高まりました。また、サプライチェーンの混乱やエネルギー価格の高騰、世界的な金融不安とそれに伴う金利上昇、景気停滞など、さまざまな問題が一挙に噴出し、国際社会の分断への懸念も強まっています。
急速に変化する世界で、迅速かつ的確にオポチュニティをとらえ、リスクにしなやかに対応するため、TDKは日本・ヨーロッパ・アメリカ・中国それぞれの地域本社の機能強化を進めています。積極的なM&Aを通じて成長してきたTDKは、多様な個性を持つ会社が集まる融合体“TDK United”です。各社の文化を尊重しながら、透明性を確保した上で権限を委譲するという、「エンパワーメント&トランスペアレンシー」を基本スタンスとして、これまで各地域で経営管理的な機能を主に担っていた地域本社が、地域の独自性を活かした成長戦略をダイナミックに立案していけるよう体制を整えました。同時に、各地域での情報収集力を強め、地政学的リスクに備えながら新たな価値創造に挑んでいます。

また、このような激動の時代にあって複雑化するサステナビリティのテーマに、推進力をもって柔軟に取り組むことができるように、2023年4月には、CPSO(Chief People and Sustainability Officer) を新たに設置し、人財本部長であるAndreas Keller常務執行役員が着任しました。サステナビリティはTDKの戦略において極めて重要な構成要素です。社会課題の解決に向けて、物事を有機的につなげ、たゆまぬ努力を継続することで社会価値を創出する。それをドライブしていくのは、すべて「人財」です。だからこそ、人財の責任者が先頭に立つのは自然なことだと考えます。

何よりも大切な「人財」のクオリティ

わたしが以前から強調しているのが「人財」の重要性です。テクノロジーの会社であるTDKですが、技術を開発するのも、製品化するのも、マーケティングを行い、販売するのもすべてはTDKのチームメンバー。人財がすべてなのです。
その人財のクオリティを高めるために重要なのが、制度や設備などの外部環境の整備のほか、一人ひとりのマインドセットだと考えています。わたしは社長就任以来、各地を回り、チームメンバーである従業員との対話を続けています。そこで感じたことは「自分の携わる仕事は、世の中でこのように役立っている」という従業員の理解が、一人ひとりのモチベーションに大きく影響を与え、ひいては人財のクオリティ向上に大きく寄与するということです。高いクオリティを持つ世界10万人超の従業員一人ひとりが生み出す価値の総和こそ、TDKの価値そのものなのです。
また、人財のクオリティを支えるためには、従業員の健康も極めて重要なテーマです。2023年4月に発表した「TDK健康宣言」では、従業員の健康に対して積極的に関与していく姿勢を明確にし、日本においては健康経営の型づくりとソリューションの共創を目的とする「健康経営アライアンス」にも参画しました。従業員の心身の健康を重要な経営課題の一つととらえ、真摯に取り組んでいきます。

気候変動への取り組み

同様に経営課題の一つとして掲げているのが、気候変動に対する取り組みです。TDKは
「2050年CO₂ネットゼロ実現」を掲げており、LE(Lower Energy:エネルギー使用量低減)とRE(Renewable Energy:再生可能エネルギー)の両面から取り組んでいます。この目標達成の一歩として、2023年7月からは、国内すべての製造拠点の電力の100%を再生可能エネルギー由来に転換しました。これまで出遅れていた日本でのRE活用が進むことで、グループ全体でのRE化が速まり、「2025年度における再生可能エネルギー電力導入率50%達成」としていた目標を、2024年度中に達成できる見込みとなりました。エネルギー使用量の低減(LE)についても、すでに国内外いくつかの生産拠点で太陽光発電を活用して生産に必要な電力を補いつつ、発電・蓄電技術を集結したエネルギーマネジメントシステムによってCO₂排出量を削減しています。

目指すのは「社会になくてはならないTDK」

創業100周年を迎える2035年に向けて私たちが目指すのは、「社会になくてはならないTDK」です。私たちの技術が生み出す製品が直接一般消費者の皆様の目に触れることは少ないですが、これまで、幅広い分野の多様な製品のコアとなる電子部品を提供してきました。
世界で普及率が高まる電気自動車には、当社のコンデンサやマグネティクス製品が多数使われているほか、スマートフォンやスマートウォッチ、ワイヤレスイヤホン、太陽光発電や風力発電など、例をあげればきりがないほど、当社の製品は日々の生活の中や社会インフラに組み込まれ、世の中に広がっています。また、数年前は思いもつかなかった用途で技術や製品が活かされるなど、無限の可能性を秘めているのです。TDKの技術や製品がなければお客様の製品が機能しない、社会が成り立たない、TDKがあるからこそ楽しく充実した生活が送れる、そのような確固たる存在になりたいと考えています。

今後はさまざまな先進技術によってより便利で効率化が進んだ社会となり、時間や距離による制約も少なくなるでしょう。一方で、そうした技術発展の恩恵が受けられない人々や、気候変動の影響が特に大きい地域など、経済的格差が広がる可能性も否めません。そこに対して、TDKに何ができるかが問われています。サステナビリティビジョンで掲げる「テクノロジーですべての人を幸福に」ですが、私にとって「幸福」とは、あらゆる人々が笑顔でイキイキと暮らし、前向きなチャレンジを重ねられる状態のことです。そして一人ひとりが明るい将来を思い描いていくことが重要です。

論語に、『君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る』という言葉があります。徳のある人物はまず正義か否かを考えて行動するのに対し、そうでない人物は損得を先に考えるという意味です。義を追い求めればその後に利もついてくるのであって、その逆ではないということだと、私なりに解釈を深めています。TDKにあてはめると、まずサステナブルな社会に貢献する技術力を磨き、製品を提供することに尽力する。その結果として、社会課題が解決に向かい、経済や社会が発展するとともに、TDKの成長にもつながり、社会になくてはならない存在になり得るということです。これがTDKとして社会のすべての人々の幸福を追求していくということであり、そうした挑戦をTDK Unitedとして一丸となって続けていきたいと考えています。