[ 2021年3月期 通期 決算説明会 ]Q & A
- Q1. 2022年3月期の売上と営業利益の見通しについて、内訳をセグメントごとに教えてください。
- A1. 2021年3月期第4四半期に構造改革費用等の一時発生費用を176億円計上したため、この一時費用を除くと営業利益は約200億円の増加を見込んでいます。セグメントごとに見ますと、受動部品の売上が約4~7%増加し、増収に応じた増益を実質ベースで予想しています。センサ応用製品の売上は約22~25%の増加、赤字だった2021年3月期から大幅な改善を見込んでいます。磁気応用製品の売上は約9~12%増加し、増収に見合った増益の見込みです。エナジー応用製品の売上は約8~11%の増加と見ており、増収に伴う増益を見込んでいますが、特にパワーセルの開発を加速して売上を倍増させる計画があるため、開発費、販売管理費が増える見込みです。
- Q2. 2022年3月期の売上と営業利益の見込みについて、上期と下期の割合を教えてください。
- A2. 第4四半期にシーズナリティの影響を見込んでおりますので、売上は上期が約53~54%、営業利益は売上に見合った程度と見ています。
- Q3. 2021年3月期第4四半期から2022年3月期第1四半期にかけ、セグメントごとの売上はどのように変化する見通しですか。
- A3. 全体の売上は約5~8%の増加を見込んでいます。セグメント別では、受動部品が約1~4%の増収の見込みです。センサ応用製品は四半期ベースで最高を計上した第4四半期の売上水準が継続し、ほぼ横ばいと考えています。磁気応用製品は若干の販売数量減を織り込み、約4~7%の減収と見ています。エナジー応用製品はPC、タブレット需要の堅調な推移やパワーセルの売上増加により、約13~16%の増収と見込んでいます。
- Q4. MLCCの生産能力は今期どの程度増やす計画ですか。また、TDKのMLCCは車載向けの比率が非常に高いですが、その市場環境を教えてください。
- A4. 車載向けMLCCの生産能力増強は2桁増を目指しています。コモディティ製品よりも車載向け製品の生産能力を増強する考えです。
お客様からの受注は引き続き強い傾向にあり、特にADASやxEV向けの特殊な製品については需給が逼迫していると認識しています。 - Q5. センサ応用製品セグメントは、売上増加の見込みに対して利益改善が明確に出るのでしょうか。
- A5. 2022年3月期は約22~25%の売上増加に加え、2021年3月期に構造改革費用等を計上したことも踏まえ、大幅な利益改善を見込んでいます。マクロ需要の回復も見込んでいますが、拡販施策の成果がより大きいと考えています。
- Q6. 2022年3月期はHDDヘッド全体の数量が増加する見通しとのことですが、どの程度の増加を見込んでいますか。
- A6. 2021年3月期は、第1四半期に主要顧客の工場閉鎖等があったため、非常に低い水準となりました。2022年3月期は2割以上の数量増加を見込んでいます。
- Q7. 電池事業の増収に寄与する要因を用途別に教えてください。また、パワーセルの収益性をどのように見ていますか。
- A7. まず、パワーセルの売上が倍増する見込みですが、その要因として家庭用蓄電システム、電動二輪車向けの販売増加が挙げられます。また、スマートフォン向けの需要が微増、PC、タブレット向けの需要がほぼ横ばいと予想しています。
パワーセルは開発費の発生が先行していることが収益性に影響していますが、改善したいと考えています。 - Q8. 電池事業の利益率は保守的に予想しているのでしょうか。
- A8. TDKの電池事業は過去10年の間にICT市場向けで急拡大しましたが、スマートフォン市場の飽和状態やTDKのマーケットシェアの高さにより、単純に成長を追い求めることが難しくなっています。現在は投資の成果の刈り取りにより20%を超える高い収益性を保っていますが、次の段階に移るために、特に来期と再来期に投資を行う予定です。技術の磨き上げや生産能力拡大に加え、インド市場に対する先行投資も織り込んでいます。
- Q9. 部品の在庫調整の可能性をどのように見ていますか。
- A9. 地政学的リスクや半導体で見られている供給の課題を背景に、在庫を厚くする流れがあると考えています。例年ですと第1四半期と第4四半期の売上はあまり大きくはありませんが、2021年3月期第4四半期の連結売上高は3,922億円と同第3四半期(3,957億円)並みの高水準となりました。2022年3月期第1四半期にさらに増加する見込みですので、下期に在庫調整が入るリスクはあると想定しています。受注状況を見ながら、在庫調整がいつどのように入るのか注視していきます。
- Q10. 2022年3月期の設備投資見通しの内訳を教えてください。
- A10. 2021年3月期と同様に、2022年3月期も設備投資全体の約60%を電池事業に充てる計画です。特にパワーセルやミニセルの技術革新、開発投資、インド市場の拡充を予定しています。残りの40%のうち、受動部品と磁気応用製品が約15%ずつ、センサ応用製品とその他が約10%となります。
- Q11. CATLと合弁会社を設立する背景を教えてください。
- A11. CATLとの合弁会社の設立を含む業務提携により、中型二次電池においても、リスクを低減しながら市場規模の拡大に合わせて事業を拡大できるのではないかと検討を続けていたことが背景にあります。
TDKの子会社であるATLは、スマートフォンを中心とした民生用ICT市場向けの小型二次電池を対象に事業を急速に成長させてきました。今後も精力的に市場の開拓を続け、より多くのワイヤレスデバイスに製品を提供し、便利で快適な社会の実現に貢献したいと考えています。一方、EX(エネルギートランスフォーメーション)の分野でも社会貢献を果たすべく、家庭用蓄電システム、電動二輪車等の事業拡大に前期から本格的に取り組んできました。パワーセルの市場は3~4年後にICT市場を大きく上回る規模になると見込まれていますが、アプリケーションによって必要となる技術も特殊であるため、ATL単独で事業を進めていくか検討を重ねていました。 - Q12. CATLとの業務提携に関し、パワーセルでどのようなモノづくりを考えているか教えてください。電池の新しい技術は、スモールセルで試してからパワーセルに応用するのが一般的だと思いますので、TDKには新しい技術を試す余地が大いにあり、このことがCATL側にとってもメリットになると考えています。
- A12. 電池は品質の信頼性や安定性が大きな武器になることが経験上分かっており、特に2017~2018年頃から品質安定化のための投資を進めてきました。TDKの電池の多くは持ち運びをするデバイスに搭載されることを前提としているため、信頼性に対する製品設計や技術は、CATLとの協業や合弁会社でも大いに活かせると考えています。一方、マルチセルのバッテリーマネジメントシステムはミニセルより複雑になりますが、このノウハウはCATL側にあります。今回の提携では、両社が得意とする領域を共有することにより、リスクを低減してお客様に安全な製品を提供することが主眼となります。