[ 2009年3月期 第1四半期 連結決算説明会 ]連結業績概要
取締役 専務執行役員 江南 清司
こんにちは、江南でございます。よろしくお願い申し上げます。本日はご多忙のところ、かつ暑さ厳しい中、多数お集まりいただきましてありがとうございます。また、日ごろのご支援に感謝申し上げます。
2009年3月期第1四半期の連結業績の報告と2009年3月期通期見込みについて、ご報告申し上げます。今日は日経新聞さんにスクープされてしまい、非常にご迷惑をお掛けしましたが、そういった案件もありまして、従来と比べて若干端折る部分があると思いますが、ご容赦いただきたいと思います。
売上高は1,906億2,300万円、前年同期比△160億7,600万円、約7.8%の減収です。営業利益53億9,300万円、前年同期比△107億3,600万円、約66.6%の減益です。税引前利益は55億7,700万円、前年同期比△146億400万円、72.4%の減益です。税後利益は44億4,600万円、前年同期比△115億7,600万円、72.3%の減益です。売上高減収、営業利益、税引前利益、純利益が大幅な減益になりました。その結果、1株当たりの純利益は34円48銭、1株当たりの株主資本は5,693円10銭となっています。
第1四半期の為替の動向ですが、USドルは104円56銭、13.5%の円高です。ユーロは163円44銭、0.4%の円安となりました。ドルのウエイトが高いため、売上高で215億円の減収、営業利益で66億円の減益と、マイナス要因になりました。
第1四半期がこれだけ悪くなった決算の特徴は何かというと、マイナス要因は事業によって若干デコボコはありますが、価格下落、円高は、ほぼ想定の範囲内であったと理解しています。ただ、サブプライム問題が単に金融市場の混乱にとどまらず、実態経済にまで波及してきたことによる消費の低迷。加えて、高機能機種の需要の鈍化により、そこに搭載される我々の部品が減ったことによって、数量の伸び、つまりは操業度が期待値まで届かなかった。このことが、価格下落や円高のマイナス要因を吸収しきれなかった構図であると理解しています。
まず、記録デバイス製品です。先期第1四半期比較で出荷数量は増加していますが、お得意先の生産調整もあり、主としてウエハー工程の操業面で期待値まで届かなかった。そのことによって、価格下落や円高影響を吸収しきれませんでした。
次に、記録デバイス以外の電子部品関係です。コンデンサは非常に厳しくて、想定以上の価格下落と円高影響に加えて、新工場の建設に伴う固定費増。ラインの立ち上げをやっていますが、これが生産に寄与しないということの結果、固定費が重たい負担になりました。我々が第3の柱と考えているインダクティブデバイスは、製品によって需要のプラスマイナスはありますが、トータル的にはほぼ横ばい。また、半導体が冷え込んでいる中で、半導体向けの電源事業に大きな影響が及んでいます。それから、資材価格の高騰で、金属磁石、フェライトマグネット等にその影響が特に及びました。これがマイナス要因です。そんな中で、エナジーデバイス(電池関係)だけは、引き続き増収増益を確保しています。
なお、従来はセグメントを区別していましたが、昨年コンシューマー事業を譲渡したことで、記録メディア製品の残りの大半がB2Bビジネスになりました。金額的にも重要性が小さくなったので、記録デバイス製品と電子素材部品部門の区分をなくして、全社1セグメントにしたい。1セグメントにしたあと、今まで「その他の電子部品」と言っていた部分を、単に「その他」と名称を変更して、この中に記録メディアを組み入れることにさせていただきました。
次に、製品売上高について申し上げます。当社グループの業績に影響を与えるエレクトロニクス市場ですが、薄型テレビ、ゲーム機、パソコン、HDD、携帯電話等、主要製品の生産は、前年同期比較では増加しています。したがって、電子部品の需要も拡大しています。ただ、北京オリンピック等、特需期待の需要拡大はなく、一方で、電子部品の価格下落が進みました。
こういう状況の中で、電子材料は8.1%の減収です。これはコンデンサに起因します。電子デバイスは2.6%の減収。パワーその他が減収になったことが影響しています。記録デバイスは2.9%増収ですが、HDDヘッドは減収。昨年、HDDサスペンションの会社、マグネコンポを買収しましたが、この第1四半期は、昨年はなくて今年はあるということで、トータル的には2.9%の増収になりました。その他は34.9%と大きく売上を落としています。記録メディアをここに入れたということで、昨年は第1四半期がありましたが今期はない。これが大きなマイナス要因です。従来のその他の部分は増収になっています。
連結損益計算書ですが、冒頭言いましたように、営業利益ベースで107億円の減少となりました。加えて、営業外で39億円悪化しています。この要因は、1つは為替換算差損益。先期から比べると23億円の悪化。もう1つは受取利息及び配当ですが、金利率の低下と、昨年買収等を行ったことで資金が減ったことに伴う運用資金減。この両方の原因で受取利息が減り、営業外は39億円の悪化となっています。
営業利益107億円の内訳ですが、プラス要因として、操業度、品種構成を含んだ売上高の増加によるプラスが12億円、合理化・コストダウン・原材料値下げが46億円、販売費及び一般管理費の減少が2億円で、利益合計が60億円。マイナス要因は、為替変動で66億円、売価値引きで101億円、合計167億円。差し引き107億円のマイナスです。決定的に不足しているのが、冒頭申し上げました、操業度、品種構成を含んだ売上高の増加。値引きや為替の影響がこれだけある中で、わずか12億円ということが、今回大幅減益になった最大の要因です。
構造改革費用ということで従来捉えている部分がありますが、前期第1四半期は2億円でしたが、当期は13億円。それから、107億円の大きな減益となりましたが、製品区分別で申し上げますと、まず、電子材料。コンデンサの想定以上の価格下落と、新規投資負担が大きかった。このコンデンサと、資材高騰の影響をもろに受けたフェライトマグネットがここに入っています。これが電子材料減益の大きな要因で、大半を占めています。
次に、記録デバイス。アルプス電気さんから設備、ノウハウ、特許等々を購入しましたが、お得意先の生産調整もあり、操業が期待値まで届かなかった。もう1つは、ノウハウを購入しましたが、未だそのノウハウを工程に導入している状況で、使い切るところまで至っていない。こうしたことで、HDDヘッドが減益になりました。電子デバイスは、半導体不振が電源事業に影響して若干の減益。その他ですが、記録メディアの改善、エナジーデバイス、電池の好調で、この分野は増益でした。
第1四半期が大幅な減益になったことを受けて、第2四半期以降はどうなっていくかということですが、まず、コンデンサです。そういう意味では大幅減益になった最大の要因ですが、7月から新工場の新ラインも立ち上がり、固定費の軽減や、お陰様で各品質が非常にいいということでの歩留まり改善。また、このラインを使うことによって新製品の導入が可能になってくる。お盆明けからいよいよ本格生産ができるということで、我々の認識では、第1四半期が底であったと考えています。
HDDヘッドは、第2四半期、第3四半期の受注量が、少なくとも第1四半期と比較した場合に拡大傾向にある中で、操業は回復してくる。アルプス電気さんから取得した合理化・省力化のノウハウは、工程に導入・実用化されていく段階に入ってきます。したがって、先日新聞でも報道されたような、大幅な生産効率の改善や消耗品等の費用減が期待されると考えています。
電源事業については、デンセイラムダさんと一緒になったわけですが、この10月1月から完全統合します。TDK側にあった電源事業をすべてデンセイラムダさん側に移し、1本で電源事業をやっていきます。その中で、デンセイラムダさんは「TDKラムダ」に名前を変えるということで、下期以降は実質的なシナジーが発揮できるのではないかと期待しています。
フェライトマグネットは資材高騰に対応すべく、歩留まり改善、工程短縮、製法見直しの努力を日々やっております。一方、お客様に無理を言って価格転嫁を進めているところです。
これは全事業共通ですが、ここまでくると不採算製品や不採算事業の整理を果敢にやらないわけにはいかない。それから、製造拠点の整理統合等、M&A等をやって、たくさんの拠点や子会社がくっついた分がありますので、これを整理統合していく。それから、設備投資、経費等の見直しをやっていく。いずれにしましても、急な景気回復はないという認識に立って、体質改善に努めて対応していきたいと考えています。
次に、前期第4四半期との比較をしてみました。売上高が172億円減少しています。それに伴って、営業利益が79億円と大幅減益になっています。この間、為替はほとんど変わりません。したがって、原因は為替以外ということになります。
記録デバイスは、155億円と売上高が大きく落ち込んでいます。買収したサスペンションの会社、マグネコンプですが、11月に買収して、11月と12月の売上を第4四半期に取り込みました。第4四半期が5カ月分になったことによって、大きく下がっている部分もあります。したがって、4Q比の減収3分の1強が、実質HDDヘッドの減収ということになります。お得意先の生産調整によりますが、ヘッドの持つ収益性からも、ここが第4四半期比較では最も大きい利益減になっています。
電子材料ですが、売上高はほぼ横ばい。そういう状況の中で、価格下落、円高、新工場の完成による新ラインの導入による固定費増で、ここも負担が重くて減益になっています。電子デバイスは、半導体関係の不振ということで、電源事業で売上高は減っていますが、その他とともに利益ベースでは増益を確保しています。
最後になりますが、連結業績見通しについて申し上げます。まず、上半期です。サブプライムローン問題に端を発した金融不安が、単に金融市場の混乱だけでなく、実態経済にも影響し、消費に陰りが見られます。この状況は第2四半期も同様で、急激な好転はない、当初期待ほどの需要増はないとの認識に立っています。その中で、第1四半期は悪いことがすべて重なったような状況になりましたが、第2四半期にはコンデンサの新ラインの本格稼働が始まるということで、若干ながらも寄与してくるだろう。HDDヘッドの数量は回復が期待できる。その他追加諸施策もあって、第2四半期はまだまだ不十分ですが、第1四半期比較では回復できるのではないかということから、上半期は売上高4,020億円、営業利益220億円、税引前利益230億円、当期純利益175億円とさせていただきました。当初の期首見通しからは大幅な減収減益になっていますが、第1四半期で比較すると、55億円の営業利益が220億円ですから、165億円という数字が第2四半期に入っているということで、このあたりで改善が見られるのではないかと考えています。
次に通期ですが、売上高8,620億円、営業利益690億円、税引前利益735億円、当期純利益555億円と、通期見通しが下方に変更されていますが、上期の変更のみを通期見通しに反映させています。つまり、下期は期首のままです。どうしようかということでしたが、非常に不安定な中、予測が難しく、見通しを変更するとかえって投資家の皆様を混乱させるのではないかということで、今回は中間期まで待って、上期実績を見ながら下期見通しの見直しをさせていただきたいと考えています。
以上で2009年3月期第1四半期連結決算概況と業績見通しについてご報告を終わります。ありがとうございました。