サステナビリティ | サステナビリティ経営 | SDGsへの取り組みTDKグループのSDGsへの考え方と活動
TDKグループのSDGsへの考え方
2015年9月に国連総会で、地球環境と人々の暮らしを持続可能なものとするため、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、その中ですべての国が2030年までに取り組むべき17の目標と169のターゲットからなる「持続可能な開発目標(SDGs)」が掲げられました。
2024年5月に策定した長期ビジョン「TDK Transformation 〜Accelerating transformation for a sustainable future〜」を通じ、TDKは独自の材料・プロセス・ソフトウェアを組み合わせた電子デバイスで、テクノロジーの進化と社会の変革を加速し、サステナブルな未来の実現に貢献するとともに、自己を変革し続け、世界の顧客とともに成長するNo.1パートナーになりたいと考えています。
TDKにとってSDGsは、価値創造の「起点」であり、いかに社会に価値を提供できたか、社会課題解決に貢献できたかを測る、事業の「成果」であると考えています。
SDGsに本業で取り組むための仕組みづくり
TDKグループは、SDGsで特定された世界的な課題に対して、どのような解決策があるか、自社の製品や技術力が活かせることは何かを特定して実行する取り組みを続けています。
活動の立ち上げ期には、当社グループの目指すサステナビリティの考え方とSDGsについて、一般的な社内啓発に加え、会社方針に沿って国内外の各ビジネスグループと社内ダイアログを実施。その後、SDGsで掲げられている課題の中から、中長期で自分たちの技術やソリューションが活かせる課題やターゲットは何か、また社会課題を起点に新たに生み出せる技術やソリューションが無いかについて各ビジネスグループで検討しました。結果を集約し、注力すべき重点領域や中長期戦略について、各ビジネスグループとサステナビリティ推進本部が議論を行いました。
その後は仕組みづくりとして活動の継続的な向上に取り組んでいます。各ビジネスグループでの検討結果のうち、短期に実現できるテーマの事業計画への落とし込みを2020年度から実施しています。実績集計後は、全ビジネスグループの結果の集約と振り返りを取締役会で報告するとともに、前年度の実行状況の振り返りと翌年度の活動をよりよくすることを目的として各ビジネスグループとのダイアログを実施しています。
今後も、上記の活動の結果を社内外で共有してコミュニケーションを図り、活動を推進していきます。
プロセス:
- SDGsへの理解を深める従業員啓発ダイアログの実施(2018年6月~)。
- SDGs3・7・9・11・12・13のゴールについて、各ビジネスグループが持つ技術や製品で貢献できることは何か、ヒアリングシートおよび面談で確認(2019年5月~11月)。
- 確認した内容を各ビジネスグループの2020年度の事業計画に落とし込み(2019年10月~2020年3月)。
- ビジネスグループ等関係者と対話を進め、社会課題をベースに、会社としての重点領域・戦略・戦術を検討(2020年4月~)。
- TDKグループのマテリアリティで特定したEX・DX「社会価値創造と自社の成長のためにTDKが注力する事業領域」とすり合わせ、統合した進捗管理の実施(2021年4月~2024年3月)。
- TDKの長期ビジョン「TDK Transformation」を踏まえて社会課題解決に資するTDKの事業活動の社会的インパクトの可視化を目指し、ヒアリングシートの内容を改訂。進捗管理を継続して実施(2024年4月~)。
SDGs達成への貢献
開示情報の客観性・正確性の向上
環境パフォーマンスデータについて、SGSジャパン株式会社による第三者検証および第三者レビューを実施
社会課題を起点としたビジネス創出
TDKグループの社会課題を起点としたビジネス創出の事例をご紹介します。
TDK Electronics
CO2排出量を3分の2削減
TDK Electronicsは社会と環境に対する責任を真摯に受け止めており、世界中の拠点でエネルギー効率の向上や省エネ、再生可能エネルギーからの電力の使用に取り組んでいます。これにより、売上高に対するCO2排出量を2015年比で3分の2削減することができました。
持続可能な生産と最小限のカーボンフットプリントのため、TDK Electronicsはさらなる電力の節減に注力しており、とりわけ100%再生可能なエネルギーからの電力の購入と、自社の太陽光発電システムによる自家発電に努めています。その結果、生産量に対するエネルギー消費量は2015年比で20%以上抑えられました。これは主に、生産におけるエネルギー効率のより高い機械やプロセスの導入によって達成されたものです。
また、再生可能エネルギーからの電力の購入も順調に進んでおり、アメリカでは以前からすでに100%を達成し、ヨーロッパでは96%以上となっています。これまで再生可能エネルギーからの電力の調達が困難だったアジアでは、中国の2つの製造拠点がグリーン電力に切り替わりました。
さらに、各拠点に設置されている太陽光発電システムの発電容量を現在の2倍にする計画もあります。現在、ヨーロッパとアジアの6つの製造拠点で太陽光発電を行っていますが、新たに6拠点で太陽光発電を開始する予定です。また、4拠点では既存の設備を大幅に増強することも計画しています。
TDK Micronas
先進的なセンサとアクチュエータにより新たなモビリティ社会に貢献
センサ、アクチュエータ・ソリューション用半導体製造において25年以上の経験と、自動車および産業用市場向けに60億個以上の製品を送り出してきた実績をもつTDK Micronasは、磁気センサ技術およびCMOSインテグレーションの中心的な役割を担っています。その中核は、車載および産業用アプリケーション向けのセンサ・ソリューションで、製品群には、ホールスイッチ、リニアセンサ、3D直角センサ、電流センサのほか、DCモータ、BLDCモータ、ステッピングモータ駆動用の組み込みモータコントローラが含まれます。
SDG7(エネルギーをみんなに そしてクリーンに)やSDG13(気候変動に具体的な対策を)にも掲げられているように、高いエネルギー効率とCO2削減への要求が社会全体で高まる中、電気自動車の普及はこれらの社会課題解決の重要なキーワードです。電気自動車が普及することで、化石燃料の消費が減り、地球規模でCO2の排出が削減され、地域における汚染物質や騒音の排出が最小限に抑制されます。天然資源の再生可能な範囲での使用の実現が、生態学的にも持続可能な社会の発展を促進するのです。
その中で当社には、最適化されたセンサやアクチュエータのソリューションが社会から期待されていると考えています。TDK Micronasは、バッテリーマネジメントや排気バルブからシフトレバー、ペダルポジションセンサーにいたるまで、自動車のあらゆるアプリケーションに対応するソリューションを提供することで、その期待に応えていくことを目標としています。
具体的な製品の例としては、ARM規格のマイクロコントローラーコアに、従来ディスクリート素子でしか実現できなかったパワードライバーなどの多数の付加機能・特徴を組み合わせたMicronas高電圧コントローラ(HVC)ファミリーが挙げられます。スマートアクチュエータ用の組み込みコントローラとして開発されたHVCファミリーは、車載アプリケーションなどで使用されるコンパクトでコスト効率のよいシステムコンセプトを実現するため、高度な統合化を実現しています。HVCファミリーのアプリケーションの一つに、アクティブ・グリル・シャッター(AGS)があります。AGSは空力性能を、非AGS車と比較して最大30%向上させることができ、あらゆる天候、車両、風速の条件下で、より高い作動トルクの信頼性を確保します。
近年の主要なトレンドは、内燃機関、電気自動車、ハイブリッド車にかかわらず、CO2排出量削減と自動車の電動化であり続けています。また、多くの消費者はフレキシブルで環境に優しいモビリティを利用したいと考えています。そのため大都市では、小型電気自動車や電動アシスト自転車など新しいタイプの車両を使用することや、電気自動車をカーシェアリングや公共交通機関に統合する新しいモビリティコンセプトが必要になってきています。
こういった新たな法的要件により厳しい管理が求められる社会の流れの中で、あらゆるタイプの車両に搭載されるセンサの需要も高まっています。TDK Micronasは、バリューチェーン全体において持続可能性を意識した開発・生産を行い、再生可能エネルギーの利用、最も効率のよい機械や設備の使用、排出物の削減などに取り組むとともに、先進のセンサとアクチュエータで社会に価値を提供していきます。
TDK株式会社
外部パートナーとの連携により持続可能な農業モデルの普及と地域社会の発展に貢献
日本の多くの地方都市では共通して、営農継承と環境、食の安全性など農業分野に関連する課題を抱えています。初代社長、齋藤憲三の「農業と工業をともに発展させて豊かな町へ」という農工一体思想を原点に持つTDKは、「地域の持続可能な豊かさを実現すること」を目的にアグリプロジェクトを2020年に発足。TDKの創業の地秋田県の主幹産業である農業に着目して、環境保全型スマート農業モデルの地域実装に取り組んでいます。
第一段階のテーマとして掲げたのが「安全・安心でおいしいお米づくりとそのブランディング」。お客様から選んでいただけるお米づくりのために、環境保全型スマート農法の工程デザインや、農業の6次化促進、食味評価方法の分析など、社内外との連携のもとさまざまな観点で活動しています。
その一つが、有機米デザイン株式会社が開発し、TDKがそれをサポートした自動抑草ロボット(通称:アイガモロボ)。このロボットは、減農薬・無農薬農法であるいわゆる合鴨農法で活躍するアイガモをロボットに替えて活用するもので、ソーラーパネルを動力としたアイガモロボが田んぼの中を動き回り、泥をかき混ぜることで雑草の光合成を妨げ、除草剤の使用を抑えます。2020年から試作品の改良を重ね、2022年モデルでついに量産体制整備の段階までこぎつけました。
2022年5月には、TDK、株式会社権右衛門、井関農機株式会社、有機米デザイン株式会社、にかほ市が、環境保全型スマート農業の連携推進に関する5者連携協定を締結しました。地域営農者の知識と経験の融合、環境と先端技術の掛け合わせによる地域の課題解決に取り組み、2025年をめどに官民連携による環境保全型スマート農業の構築を目指します。
これからも、地域が抱える課題解決に貢献することで、地域社会とともに将来世代にわたる持続可能な社会を構築していきます。
TDK株式会社
お客様とともに気候変動対策に挑む
全世界で取り組む喫緊の課題である気候変動。その解決のために急がれるカーボンニュートラル社会の実現に挑戦するTDKの取り組みを紹介します。
カーボンニュートラル社会実現の一つのソリューションに、ガソリン自動車からxEV化移行の促進が挙げられます。
TDKはxEVのエネルギー効率向上に寄与する製品を提供するため、製品開発、製造ラインの立ち上げ過程や量産開始後において、お客様や各工程の部門担当者と日々コミュニケーションを重ね、改善活動を継続的に行うことで、お客様である自動車メーカーが求める高い水準の品質基準をクリアしています。
xEVモータの温度を測るセンサであるフラットコイル一体型の小型モータサーミスタは、新規の小型構造体を開発することで、高い応答性と耐久性を持つ製品です。製品が使用される環境を考慮した寸法精度が高いフラットコイルの加工やフォーミングの設備導入、自動化は難易度が高いチャレンジでしたが、試行錯誤の末その壁を乗り越え、最終的には生産性が高く品質が安定した生産ラインを導入したほか、かかわったメンバーのスキルアップや連携力強化にもつながりました。
ATF油温センサには、リニア特性サーミスタ素子を新たに開発し、適用しています。これにより、ワイドレンジの温度領域(特に高温側)を精度よく温度制御することが可能となり、 xEVに搭載されているシステムのパフォーマンス向上とコストダウンを実現しました。
今後も、本プロジェクトで得た技術力を活かしてxEV市場での事業を拡大し、カーボンニュートラル社会実現の加速に貢献していきたいと考えています。