サステナビリティ | サステナビリティ経営ステークホルダーエンゲージメント

ステークホルダーエンゲージメントの目的

TDKグループは、グローバルに事業活動を展開している企業として、社会課題を正しく認識し、サステナビリティに関する国際的な行動規範やガイドラインを尊重するとともに、ステークホルダーの関心事項に事業活動を通じて応えていくことで、社会からの信頼を得られるよう努めています。そのためにも、日ごろから各ステークホルダーと対話の機会を積極的に設けています。
TDKグループは、ステークホルダーエンゲージメントの目的を以下のとおりと考えています。

  • ステークホルダーの意見をTDKグループの事業活動に活かして、企業価値および創出する社会価値の向上につなげること
  • ステークホルダーと価値観を共有するとともに、TDKグループの考え、活動内容を知っていただくことで、独りよがりではない本質的な活動へと発展させること。またサステナブルな社会を目指すため協働していくこと

ステークホルダー別 理想の姿・考え方・エンゲージメント手法

株主・投資家

考え方 TDKグループは、株主・投資家等のステークホルダーに対して、適時、適切な情報開示を行うことで、経営の公正と透明性を維持します。
理想の関係性 将来の社会ニーズに沿ったソリューションを提供することで、持続的に成長できる企業として、株主・投資家から信頼を得ている。
エンゲージメント手法
  • 決算説明会
  • 株主総会
  • IRミーティング

お客様

考え方 TDKグループは、事業環境の変化や社会ニーズに対応し、高いレベルでのQDCおよびFirst-to-Marketを実現することでお客様に高付加価値製品を提供します。
理想の関係性 イノベーションや環境配慮をリードしていくことによって、常にお客様の期待を超えるパートナー企業として認識されている。
エンゲージメント手法
  • 日常の営業活動
  • CS調査
  • お客様からの監査

取引先

考え方 TDKグループは、RBA行動規範をもとに、社会・環境課題にサプライチェーン全体で取り組み、ともに持続可能な社会を実現します。
理想の関係性 取引先とTDKが長期的に共に発展するwin-winの関係を築き、多岐にわたる事業分野でTDKと取引先の技術・ノウハウがコラボレーションしている。
エンゲージメント手法
  • 日常の取引先対応
  • 取引先説明会
  • 取引先への監査実施

従業員

考え方 TDKグループは、企業の永遠の繁栄の源泉は人の育成にあると考え、企業倫理綱領(企業行動基準)記載の関係を築いていきます。
≫企業倫理綱領(企業行動基準)はこちらをご覧ください。
理想の関係性 対等で幸せな職場をつくり、従業員と会社が互いを尊重している。
エンゲージメント手法
  • 労使対話
  • 社内報へのフィードバック
  • 職場コミュニケーション
  • 各種表彰制度
  • エンゲージメント調査

地域社会

考え方 TDKグループは、地域社会、行政、業界、国際機関、NPO・NGO等のステークホルダーや潜在的パートナーとの連携と協調を図り、良好な関係を維持します。また、経営理念等を踏まえつつ、優先的に取り組む社会的課題領域を特定し、スポーツ、文化、芸術活動やボランティア活動などの社会貢献活動を通じて「良き企業市民」たることを目指していきます。
理想の関係性 TDKブランドが地域に浸透し、質の高い雇用を地域に提供している。また革新的な技術で環境負荷低減に貢献している。
エンゲージメント手法
  • 各地域の懇談会
  • 社会貢献活動
  • ホームページアンサーサービス

行政

考え方 TDKグループは、地域社会、行政、業界、国際機関等のステークホルダーや潜在的パートナーとの連携と協調を図り、良好な関係を維持します。
理想の関係性 法令順守や税金の納付といった義務を果たし、社会的問題解決のための政策への協力を通じ、社会の公器としての企業の役割を果たしている。
エンゲージメント手法
  • 経済団体や業界団体を通じての意見交換
  • 調査・アンケートへの回答
  • 主務官庁への相談
  • パブリックコメント

消費者

考え方 TDKグループ製品および搭載される最終製品を通じて、すべての人々のQOL向上に貢献します。
理想の関係性 多くの消費者から創造的で、革新的な技術で社会に貢献している企業と認知されている。
エンゲージメント手法
  • 営業を通じた情報の入手
  • 開発へのフィードバック

ステークホルダーダイアログ

新長期ビジョン、重要課題(マテリアリティ)特定

■強いコミットメントと具体的な指標・管理手法に基づいた、着実な取り組みに期待

水口 剛 氏 高崎経済大学経済学部経営学科 教授

水口 剛 氏 
高崎経済大学経済学部経営学科 教授

TDKの新しいマテリアリティは、財務およびインパクトの要素を統合して14のマテリアリティテーマが導かれており、精緻な分析による整理がなされていると感じました。長期的な競争力の維持を主眼としてこうしたマテリアリティを設定することに異存はありません。一方で、最先端の投資家の観点は“Investing for sustainability impact”であり、企業価値を生み出す源泉となる地球・社会というフィールドそのものに投資しなければ結局は企業の財務価値を守れない、という考え方もあります。新マテリアリティには、気候変動・人権の要素等も含まれていますが、それらに対してTDKのコミットメントを示せるとなおよいでしょう。
人的資本・DE&I・ウェルビーイングは経営の基盤であると同時に社会課題としても重要なテーマです。個々の企業の努力が社会にインパクトを与え、それが企業に跳ね返ってくる性質のものだからです。特に、DE&Iをマテリアリティに掲げて取り組んでいくには、どのような指標を掲げ、どんな方法で管理していくのかが重要となります。少子化が進む背景には女性の働きやすさや子どもの持ちやすさ等の課題が潜んでいるため、TDKグループ全体でジェンダー・ペイ・ギャップを縮小させる必要があるでしょう。性別関係なく同じペースで昇進し、女性の管理職比率が高まれば、ギャップは発生しなくなるはずです。
事業の面では、CO2削減に貢献できる製品を他社に先駆け供出できることが、TDKの競争力の源泉と捉えています。日本で市場が拡大しているGX分野や、中国企業が強さを発揮している太陽電池事業などにも参入できる可能性が高いため、定性的なストーリーを打ち出して社会的にアピールするとともに、サプライチェーン上の人権課題などに対しても積極的な取り組みを期待しています。

■優れたフレームワークが構築できたが、実践を踏まえて臨機応変に見直すことも重要

日戸 興史氏 日戸興史事務所

日戸 興史 氏
日戸興史事務所

従来のTDKのマテリアリティは、CSR重視の観点で設定されていました。今回の見直しを通じて、TDKグループの中長期での企業価値向上に資するものとするために、社是・社訓を体現した長期ビジョンの実現に向けた重要領域としてマテアリティを明確に位置付けたことで、TDKが目指すものがステークホルダーにとってより理解しやすくなりました。策定プロセスにおいても、社内外のさまざまなステークホルダーの観点を網羅的に捉えた上でTDKがこだわるものを絞り込んでおり、見習うべきことが多いと感じます。
マテリアリティで掲げた課題は、ありたい姿と現実のギャップといえます。今後は、「課題を解決することで本当に長期ビジョンが実現できるのか?長期ビジョン達成のために十分な内容になっているか?」「課題をすべて実行する必要はあるのか?」とった問いを常に持ち続け、ビジョン達成のために必要十分な取り組みに進化させていくことが求められます。取り組みを進める中で、不足があればマテリアリティを追加したり、あえて優先順位付けをするなど、変化対応することも必要になるかもしれません。また、今後は現場での実践が重要になりますが、現場ではこれまでも多くの課題解決に懸命に取り組んできていますから、新マテリアリティへの対応が加わると混乱が生じることも想定されます。従来の活動の中から“Not to do”を明確にし、現場目線で実行可能なものに整理をすることで、新マテリアリティへの取り組みに集中できるようにするのもマネジメントの役割といえます。
TDKが企業価値経営への進化を始めたという点で、今回の体系整備は評価に値します。ぜひ他社の規範となるレベルまで昇華させ、成果に結び付けてほしいと願っています。

■KPIと「持続的に稼ぐ力」を結び付け、長期戦略実現の実行力としてほしい

松原 稔 氏 りそなアセットマネジメント株式会社 常務執行役員 責任投資部担当

松原 稔 氏
りそなアセットマネジメント株式会社 常務執行役員 責任投資部担当

新マテリアリティの全体構成は、上段にバックキャスト的発想による価値協創の領域として「事業活動による価値創造と競争力優位の確立」を置き、下段に事業を支えるものとして「未来を構想し実現する経営基盤の強化」を配する形で、わかりやすく整理されていると感じました。TDKのDNAを起点に、これから目指すものや大切にすべきものが枠組みに組み込まれ、そこから新たな事業領域を展開しようという姿勢には納得感があります。また、マテリアリティが長期戦略にも接続されている点にも投資家として好印象を持ちました。
この先重要になるのは、どのようにKPIを設定するかです。投資家は、将来のキャッシュフローをマテリアリティを通じてどう生み出していくのかという観点で、TDKの今後を注視していくはずです。ですからKPIの設定にあたっては、TDKらしさを盛り込むことはもちろん、全体戦略の中でのKPIの位置付けを明確にした上で「企業の持続的に稼ぐ力」にどう生かされるのかという点を明確に説明することが重要となります。さらに、もしKPIが稼ぐ力につながらなかった場合、何がボトルネックになったのかを検証し、それを次のプランにどう生かすのかを示すことも求められます。KPIを的確に設定することにより、TDKのマテリアリティが「神棚に飾って終わり」という象徴的なものに留まらず、実効性をともなうものとして機能するようになると期待しています。
また近年、経営者はダブルマテリアリティかつコーポレートバリューの観点を強くしていますが、資本市場や投資家はシングルマテリアリティかつエンタープライズバリューの考え方を有しています。ですから、双方のギャップを埋められるよう、インパクトマテリアリティをうまく融合した形での説明をしながら、適切なコミュニケーションを図ることも必要となるでしょう。

過去のステークホルダーダイアログ

TDKは、各ステークホルダーとの対話の機会を積極的に設けています。
特に、事業活動へのインパクトが大きい内容については、ステークホルダーダイアログを開催しています。外部有識者との直接対話を通じ、社会と企業の双方のサステナビリティに貢献できる事業活動に活かしています。

※各テーマをクリックするとダイアログの記事にリンクします。