- Q1. 2024年3月期の通期連結業績見通し、第3四半期以降の為替レート(1ドル=130円)は前回の発表値(8月)を据え置かれましたが、セグメント別の見通しは変化していますか。
- A1. 前回発表時の2024年3月期の通期連結業績見通しを据え置きましたが、セグメントごとに見ると増減があります。為替前提を1ドル=130円とした場合の売上高は、前回発表時と比較すると、受動部品セグメントではマイナスになると見ています。自動車市場向けは緩やかな回復が見込まれるものの、産業機器市場向け、代理店向けの在庫調整が長引くためです。センサ応用製品セグメントは、ほぼ横ばいと見ています。磁気応用製品セグメントは、HDD関連の総需要の減少に伴い、HDD向けヘッド及びサスペンションの出荷数量の減少が見込まれるため、マイナスになると見ています。一方、エナジー応用製品セグメントは、特に中国市場向けの小型二次電池等が好調に推移しているためプラスになると見込んでいます。これらの状況を鑑み、前回発表時の見通しを据え置きました。営業利益については、総じて売上高の増減に応じた増減を見込んでいます。受動部品セグメントはマイナス、センサ応用製品セグメントはほぼ横ばい、磁気応用製品セグメントはマイナスとなり、これらのマイナスをエナジー応用製品セグメントのプラスが補うと見込まれることから、売上高と同様に、前回発表時の見通しを据え置きました。
- Q2. 2024年3月期通期のフリーキャッシュフロー見通しを800億円と据え置き、下期もさらなる改善を目指すとの説明でしたが、上期だけで1,060億円となっています。通期のフリーキャッシュフローをどのように見込んでいますか。また、改善したキャッシュフローは何に使う予定なのか教えてください。
- A2. 上期に引き続き下期も在庫適正化を行う事で営業キャッシュフローは増加すると見込んでいます。投資については、上期より下期の方が若干増えると見ていますが、それほど大きな増加とは見ていません。
キャッシュフローの使い道については、今期はまず有利子負債の返済に充てる予定です。来期以降も同様にフリーキャッシュフローの最大化を進めていき、成長投資や更なる株主還元について検討を進めてまいります。
- Q3. 小型二次電池は、負極材料にシリコンを使用した電池の投入等によりシェアアップを図っていると思いますが、この第2四半期の収益の向上はシェアアップによるものでしょうか。
- A3. シリコン負極を使用した製品が全体に占める割合はまだ少ない状況です。第2四半期の増加要因としては、季節要因による需要増が挙げられます。シェア自体は第1四半期と比べ若干上昇した程度です。収益性についてもシリコン負極による影響はまだ限定的であり、足元での収益性の向上は主にコスト改善に起因するものです。来期に向けて、シリコン負極のような新技術でさらなるシェアアップに努めたいと考えています。
- Q4. 中型二次電池のCATLとのJVについて、TDKの連結売上高目標は2027年3月期に1,000億円半ば、2030年に4,000~5,000億円とのことですが、売上高と利益の見通しについて詳しく教えてください。
- A4. 中型二次電池の中期的な収益率は、最低でも2桁(%)を目指します。中型二次電池においては、再生可能エネルギー、蓄電システム(ESS:Energy Storage System)や電動二輪車がトレンドとなる方向性は大きく変わっておりません。2027年3月期に売上高1,000億円半ばを目指し、実績を積み上げていきたいと考えています。
来期業績見通しについては現在精査中ですが、例えば家庭用ESSにおいては来年から日本と欧州で新規大手顧客に販売を開始する予定です。これにより、日本と欧州市場でのシェアアップと販売額の増加を図ることができると考えています。また、先日中国、米国で開催された展示会において15,000サイクル、20~25年の長寿命化を実現した新製品を発表しました。家庭用ESSだけでなく、商業用・産業用ESSのお客様からも多くの問合せをいただいています。このような製品が今後の大きな柱になると考えています。
- Q5. 中型二次電池においてCATLとのJVへの移管の進捗はどのような状況ですか。
- A5. 今期より厦門新工場での生産を開始し、顧客のアカウント移管も計画より早く進んでいます。2023年中には全ての移管が完了する見通しです。
- Q6. 中型二次電池は、ESS向けで長寿命の新製品を発表したということですが、技術的なポイントはどのようなものでしょうか。
- A6. ESS向けで必要とされる要素は安全性、長寿命性です。この要件を満たすために2点重要なことがあります。まず、セルの製造において材料やプロセスの作り込みをきちんと行うことです。また、そのセルをバッテリーマネジメントシステム(BMS)でコントロールしていくことです。
- Q7. HDD用ヘッドについては、どのように収益性を改善するのでしょうか。黒字転換の時期や条件についても教えてください。
- A7. 短期的にはChat GPT、生成AIに一時的に投資が振り向けられ、HDD用ヘッド及びサスペンションの需要が低迷しておりますが、中長期的なデータ増加の傾向は変わらず、データセンター向けの需要も増えると見込んでいます。このような状況を踏まえ、構造改革を実施し、直近の需要にあった体制に整えているところです。市場全体の回復は、来期の下期頃と見ています。
ヘッドについては上期から下期にかけて1.8倍程度の数量増加を前提に下期での黒字化を目指してきましたが、第3四半期から第2四半期への前倒し受注や一部量産化の遅れ等があったことから、下期での実現は難しい状況ですが、第4四半期でのブレイクイーブンを目指しています。
- Q8. 受動部品について、車載向けは引き続き好調とのことですが、値下げ圧力はないのでしょうか。
- A8. 当社のMLCCの主な販売先は自動車メーカーですが、車載向けにおいては、様々なグレードの製品があり、値下げ圧力にはそれぞれ濃淡があります。当社が注力している高信頼製品は比較的価格が高い製品ですが、直近で大きく値崩れしているという状況にはありません。今後も製品グレード別に濃淡が出る傾向は続いていくと考えられます。また、xEV用途ではお客様から更なる高信頼性製品の要求をいただいています。ここは当社の材料技術やプロセス技術により競争力を発揮できる領域であるため、来期から増産も実施し、競争優位性を維持していきたいと考えています。
- Q9. 受動部品セグメントについて、品種、分野別の動向を教えてください。
- A9. 品種別の動きとしては、MLCCは車載向けが多いため基本的には成長基調にあり、増産も実施していきます。インダクティブデバイスも車載向けの比率が高いですが、産業機器、ICTも含めより幅広い市場向けに販売しているため、減速する市場の影響を一部受けています。特に、産業機器市場向けの受注が低迷しています。アルミ・フィルムコンデンサは産業機器市場向けが多いため、下期にかけて減速すると見ています。バリスタ等の回路保護部品は、ICT、産業機器、自動車市場向けとバランス良く販売しているため、インダクティブデバイスと同様の傾向となります。