- Q1. 受動部品セグメントは、MLCCの代理店在庫が充足したことにより、第3四半期に売上高が若干減るとの説明がありましたが、在庫調整のリスクをどのように考えていますか。
- A1. 自動車向けでの在庫調整は若干あるかもしれませんが、中長期的には市場は引き続き堅調に推移すると考えており、大きな減速要因になるとは見ていません。大幅な価格の下落もないと考えています。
- Q2. センサ応用製品セグメントは四半期ベースで2022年3月期第2四半期に黒字転換となりましたが、特定の顧客への売上が予想以上に収益に影響した結果でしょうか。
- A2. センサ応用製品セグメントの第2四半期の売上高は、2021年7月に示した第1四半期比11~14%の増加という予想(為替影響除く)に対し、21.8%増の実績となりました。これまで進めてきた拡販が想定以上の結果に結びついたと考えています。まず、TMRセンサの採用機種が大手スマートフォンメーカー向けで拡大し、員数も増加しました。また、新しい機能にもTMRセンサが採用されました。MEMSセンサも、顧客基盤やアプリケーションの拡大により、モーションセンサ、MEMSマイクロフォンの販売が想定以上に伸びました。第4四半期にはまだ不透明感があり、受注次第とはなるものの、今回四半期ベースで黒字化を達成したことを踏まえ、通期ではM&A関連費用を除いた実質ベースでブレークイーブンを目指したいと考えています。売上、営業利益ともに第2四半期がピークで、第3、第4四半期は第2四半期から減少するものの、利益を生み出せる体質になってきたと考えています。
- Q3. センサにおいて、自動車やスマートフォン向け以外で販売増加が見込める分野があれば教えてください。
- A3. 製品ラインアップの拡充として、TMRセンサ、民生用のホールセンサ、MEMSマイクロフォンの新製品の投入を見込んでいます。また、アプリケーション拡大としては、MEMSマイクロフォンにおいてTWSへの採用を、MEMSモーションセンサにおいてロボット掃除機等ロボティクス系への採用を見据えています。
- Q4. 対第2四半期で見た第3四半期の売上高は、エナジー応用製品セグメント以外は微減の見通しとのことですが、第2四半期がピークとなる見込みでしょうか。
- A4. 受動部品セグメントは主に代理店向け、特に汎用品を中心とした代理店向けが第2四半期よりも減少すると見ています。センサ応用製品セグメントは、シーズナリティにより第2四半期をピークに第3四半期は数量が若干減少すると見ています。磁気応用製品セグメントについては、大きな需要の変化はない見込みです。
- Q5. エナジー応用製品セグメントの営業利益率が前年上期比で9%ポイント低下した理由を教えてください。
- A5. 前年上期と比較すると、今期は第1四半期における材料価格上昇、第2四半期に計上したライセンス費用等の影響により、収益性が若干落ちました。スマートフォン向け電池等の収益性は、それほど大きく変わっていないと見ています。
- Q6. エナジー応用製品セグメントは第3四半期において増収ながら営業利益はフラットとの説明がありました。原材料費高騰やプロダクトミックスの変化など、第3四半期の営業利益に与える影響をどう見ているか教えてください。
- A6. 第2四半期からまたコバルト相場が若干上昇しており、その分が第3四半期の営業利益に影響する見込みです。売上増に見合う利益増が材料価格上昇の影響と相殺し、第2四半期からほぼ横ばいと見ています。為替の影響はほとんど見込んでいません。
- Q7. パワーセルの中期ビジネスモデルに対する懸念により、この数か月間で株価が下がったと考えています。エナジー応用製品セグメントの今後の収益性について教えてください。
- A7. パワーセルの収益性がどの程度になるかという点が懸念されていると認識しています。パワーセルのビジネスが拡大しても、現中期経営計画期間の最終年度でエナジー応用製品セグメントの営業利益率は15%強を達成できると考えています。売上はさらに伸びていきますので、利益の絶対額は十分に確保できるようになると見ています。
- Q8. 電動二輪車や家庭用蓄電システム向けのパワーセルは、ATL単独でもラインアップが充実していると思いますが、CATLとの合弁会社を通じて行うことはATL単独ではできないことなのでしょうか。
- A8. 電動二輪車や家庭用蓄電システムの市場がICT市場の4~5倍といった非常に大きな規模になったときに、ATL単独で生産能力を増強し、かつ開発投資を続けていくことが本当に正しいのかと考えてきました。これまでの中国を中心としたモビリティのチャネルでできることも多いと思いますが、資本や生産能力、技術の知見が十分にある企業と協業していくべきだと考えています。
- Q9. 市場の在庫は増えているものの、過剰というレベルではないとの説明がありましたが、主要アプリケーション別の状況を教えてください。
- A9. 自動車向けの在庫は、これまでよりもパイプラインにあると認識しています。特に第2四半期における自動車メーカーとTier1(一次サプライヤー)の在庫は相当少なかったため、それと比較すると在庫があると感じています。ただ、Tier1メーカーにはいまだにVMI倉庫から在庫を調達する動きもあるため、過剰というレベルではないと考えています。TDKは特に受動部品で自動車市場向けの割合が高いため、Tier1、OEMの在庫を注視していますが、すぐに急ブレーキがかかるとは懸念していません。スマートフォン向けでは電池のビジネスが大きいですが、電池自体は在庫化に適していないため、過剰な在庫を積み上げている印象はありません。スマートフォンメーカーは都度在庫調整をしているため、その他の部材や半導体が不足した影響で減産した分が在庫となっていることは局所的にあるかと思いますが、全体としては過剰という感覚はありません。産業機器向けについては、半導体の供給不足の影響が多少あるかもしれませんが、引きが強い状況が続いていると認識しています。
- Q10. 固定資産のその他の資産が322億円の増加となった背景を教えてください。
- A10. 将来的に材料を入手する権利を買っていることが増加の要因です。物量確保を中長期的なリスクと判断し、長期的な契約も含め電池の材料を手当したことで、その支払いに見合う資産が計上されています。今後の原材料の物量確保に向けた、サプライヤーに対するデポジットや、サプライヤー側で生産能力を増強するための前払費用等が含まれています。今後その原材料をTDKが購入することで、その分の資産が減っていくという仕組みです。
- Q11. 通期の売上高予想を前回予想から2,000億円上方修正した要因を教えてください。
- A11. 前回予想を上方修正した要因の1つは、為替の上期実績が期初発表よりも円安に振れたことです。対ドルで下期105円の想定を今回109円に見直しました。さらに、エナジー応用製品セグメントにおいて上期、下期ともに原材料価格の高騰分を価格転嫁することで通期の売上が増加、為替と売価転嫁を除けば前期より若干マイナスの水準と見込んでいます。受動部品、センサ応用製品、磁気応用製品セグメントにおいては、為替影響を除いても大きく増加すると見込んでいます。全社では、為替と価格転嫁の影響を除けば若干の増加と見ています。
- Q12. 研究開発費を前回予想から200億円増額した背景を教えてください。CATLへのライセンス費用が研究開発費として確定したためでしょうか。
- A12. CATLへのライセンス費用は、期初時点で営業利益の中に織り込んでいましたが、開発費とはしていませんでした。今回開発費として確定したため、その分を追加しています。この第2四半期だけでなく、第3四半期と第4四半期にもライセンス費用を計上します。
- Q13. 半導体不足によりスマートフォンメーカーの生産が滞り、その影響で電池の売上が伸びない状況かと思われます。このような現状を踏まえ、中期経営計画で示した7,500億円の設備投資計画に変更はありますか。
- A13. スマートフォン市場が期初想定より伸びておらず、スマートフォン向け電池の生産能力増強がそれほど大きく必要ではなくなったため、設備投資を見直しています。まず全体の金額を見直し、より高性能で高充電の製品を製造するためにどのような技術をさらに伸ばす必要があるかという観点から、プロダクトミックスの改善や製品開発に資金を重点的に配分します。特に限られたメーカーしか製造できない電池の大容量化や形状の自由度の向上に資金を配分すべきと考えています。
一方、MLCCやインダクティブデバイスを中心に、自動車向けの電子部品の需要が想定よりも高水準で推移しているため、それらの設備投資にも資金を配分していきます。また、データセンターにおいてHDD需要の拡大が進んでおり、さらには容量を拡大してMAMRやTAMRにシフトしていく必要があることが明確になってきました。MAMRの採用が現実味を帯びてきたため、ウエハーの工数が掛かる点でも投資を振り向けなければいけません。3年間累計7,500億円、もしくは今期3,000億円弱という見通しを大きくは変更しませんが、投資の内訳を変えていきます。
- Q14. 上期の実効税率が20%程度まで低下していますが、通期見通しを見ると下期にまた税率が少し上がる前提と見受けられます。このような税率とする背景を教えてください。
- A14. 一番の要因は赤字会社の赤字が減ってきたことです。近年は税率が30%を若干超えるくらいまで上昇してきましたが、上期は20%程度まで下がりました。TDK単体が赤字で課税所得もマイナスとなる状況が続き、税効果会計というやり方を取れなかったため、税率を引き上げていましたが、急速な収益の改善が連結の税率を引き下げる要因になっています。他方、通期では税率30%弱と想定しています。一部子会社において繰延税金資産の回収可能性が懸念材料として挙がっており、そのリスクを見込んでいます。