[ 2022年3月期 第1四半期 決算説明会 ]Q & A
- Q1. 受動部品とセンサの流通在庫の状況をどのように見ていますか。
- A1. 受動部品の流通在庫は、あまり大きく増えていないと思っています。ただ、自動車関係で半導体不足により生産が停滞しているため、TDKが出荷した製品の一部が流通在庫として市場に滞留している可能性はあると見ています。現時点で受注は大きく落ち込んでおらず、上期は旺盛な需要が続く見込みです。センサについてもほぼ同じ状況で、流通在庫は大きくは増えていないと見ています。受注も旺盛な状況が続いています。
- Q2. センサ応用製品の収益が想定以上に改善するような動きはあるのでしょうか。
- A2. 第1四半期は、想定を上回る勢いでTMRセンサの販売が伸びました。MEMSモーションセンサも、タブレットやPC向けだけでなく、VR向けも好調に推移しています。特にレスポンスタイムが短いハイエンド向けのモーションセンサが非常に伸びています。このような製品ミックスの改善のほか、歩留まりの改善やメリハリを付けた開発費の配分等により、引き続きセグメント全体の収益改善を図っていきます。
- Q3. 第1四半期におけるセンサ応用製品と磁気応用製品の需要はかなり強かったと思いますが、通期でどのように見ていますか。
- A3. センサ応用製品に関しては、下期における環境の不透明さがあるものの、通期の売上は期初に示した目標の達成確度が非常に高まったと見ています。この第1四半期の実績等を踏まえ、通期で営業損失半減を視野に入れています。
磁気応用製品に関しては、HDDのTAMが期初想定より約8%増加すると見ています。さらにニアラインHDDが増えていき、ヘッドのTAMも期初想定に対し約10%増加すると見ています。ヘッドの数量は第1四半期に想定を大きく上回り、第2四半期以降もやや上振れて推移することが見込まれるため、通期で期初想定より増えると見ています。 - Q4. エナジー応用製品の売上について、為替影響を除くと第1四半期対比で第2四半期は28~31%の増収予想と示していますが、下期に減速しない限り、8~11%の増収という期初想定を上回るのではないでしょうか。
- A4. 第2四半期の売上見込みには、材料費上昇を価格転嫁するサーチャージの分も入っています。この影響も含めると期初想定より売上が増加しますが、影響を除いた実態の数量ベースで見ると、期初に示した売上レベルと予想しています。なお、第1四半期に下振れたスマートフォンの生産台数が下期に向けてある程度回復すると見て、全セグメントの売上計画を見直しましたが、全社売上と営業利益は期初想定のまま据え置きました。
- Q5. 期初にはエナジー応用製品の通期での売上が8~11%増加する一方、利益率が若干落ちるとの説明がありましたが、現時点ではどのように見ていますか。
- A5. 通期の売上は、第1四半期の為替影響や、材料費上昇の価格転嫁による売上増加を除くと、期初に想定していた水準で着地すると見ています。一方、材料費上昇の影響がある程度残ることが見込まれ、期初想定の利益水準より若干下振れすると見ています。
- Q6. 電池事業の収益は2022年3月期第2四半期以降どのように推移すると考えていますか。第1四半期に低下した稼働が戻るのか、材料費上昇を価格転嫁するサーチャージによりマイナス影響が解消できるのか、見通しを教えてください。
- A6. 2022年3月期第1四半期から第2四半期にかけては、スマートフォンの生産台数が増えることに伴い売上が増加すると見ています。また、第1四半期に低下した稼働率は大分回復してきています。材料費上昇の影響は、第2四半期以降に順次解消される見込みです。なお、第2四半期以降の材料相場は、第1四半期と同水準で推移すると予想しています。第2四半期は、第1四半期から500億円強売上が伸びると想定していますが、パワーセルとスマートフォン向け電池のパック品の売上の伸びは、この500億円強の約4割と見ています。売上増加に対する利益水準については、パワーセルやパック品の収益性がセル単体より低い点を考慮していただければと思います。
- Q7. 中国のスマートフォン生産台数は期初想定を下回ったと思いますが、今後の推移をどのように見ていますか。
- A7. 第1四半期における中国のスマートフォン生産台数は、期初想定に対し十数%程度落ち込んだと認識しています。第2四半期以降は第1四半期から若干増加、第4四半期には期初想定以上に回復すると見ています。ただし、通期で見ると期初想定より若干の下振れで着地すると予想しています。
- Q8. 電池に関して、材料費上昇を価格転嫁するサーチャージの価格の決め方に変化はありますか。
- A8. サーチャージの価格の決め方には、お客様ごとに多少違いはあるものの一定の式があり、相場の変動に応じて負担いただいております。従来から大きく変わってはいません。
- Q9. パワーセルの立ち上げに関する費用は2021年3月期第4四半期から2022年3月期第1四半期にかけ変化がありましたか。また、2022年3月期第2四半期以降は、CATLへのライセンスフィーを除くとどのように変化する見通しですか。
- A9. パワーセルの立ち上げに関する費用は、2021年3月期第4四半期から2022年3月期第1四半期はほぼ横ばいでした。この第1四半期は前年同期比で費用が増えましたが、通期で見ると期初想定ベースで推移する見込みです。
- Q10. パワーセルの需要は、想定に対し現在どのように動いていますか。
また、CATLとの業務提携で具体的な取り組みが進んでいたら教えてください。 - A10. パワーセルについては、4月に示した通り今期は電池事業全体の1割程度の売上を目指しており、売上高はほぼ計画通り進んでいます。電動二輪車向けのパワーセルの販売計画が主に中国において当初の見込みより若干遅れている一方、家庭用蓄電システム向けのパワーセルは期初想定よりやや強含みで受注しており、全体で見ると期初想定通りと考えています。
CATLとの協業については、合弁会社の設立にあたり現在協議を進めているところです。 - Q11. CATLに対して支払うライセンスフィーはどのように計上されますか。
- A11. すでにキャッシュアウトしていますが、この第1四半期における計上はありません。費用計上については現在監査法人と検討しており、第2四半期以降に折り込んでいます。開発費という位置付けになれば、その分期初想定と比べ開発費が増加します。
- Q12. スマートフォンの生産台数が下振れても上期で売上が高水準となりますが、電池の生産能力増強の計画からのかい離はないのでしょうか。
また、生産能力の増強に向け、CATLとの合弁会社を活用する考えはありますか。 - A12. 上期の売上には材料費上昇を価格転嫁するサーチャージ分が含まれるため、数量ベースではそこまで増加しません。通期では数量ベースで10%前後の増加を見込んでいます。ただ、これは標準の操業における見込みですので、市況により非常に強い需要があった場合は、工場の稼働を調整し対応できるようにしています。
CATLとの合弁会社は、パワーセルの領域と位置付けています。ICT市場向けの電池の生産能力増強は、従来通りTDKにおける投資として実施します。CATLとの合弁会社はパワーセルに特化した形でキャパシティを増やしていく予定です。 - Q13. 売上による利益変動で325億円の増益と示していますが、この中に材料費上昇によるマイナス影響がどの程度含まれているか教えてください。
- A13. 材料単価の値上がり影響は全セグメントで出ていますが、最も大きいのは電池への影響です。エナジー応用製品の営業利益は前年同期比で79億円の減益となりましたが、為替や材料費上昇等を除けば、ほぼ前年同期並みです。
- Q14. 第1四半期の研究開発費は377億円と、期初計画1,400億円に対してやや多いように見えます。開発プロジェクトの増加等があれば教えてください。
- A14. 第1四半期の研究開発費が増えた要因には為替の影響があります。研究開発活動は新型コロナウイルス感染症の感染拡大下でも活発に行っていますが、追加的なテーマでの開発は現時点で予定していません。通期では期初計画並みか、為替影響の分若干増える可能性があると見ています。
- Q15. 棚卸資産が前期末から454億円増えた要因を教えてください。
- A15. 為替影響を除くと在庫は前期末から約400億円増えており、このうち約8割が電池で、受動部品、センサ、ヘッドにおいても若干増加しました。電池の在庫増加の要因としては、第2四半期以降の新製品の立ち上がりに向けての在庫の積み上げがまず挙げられます。また、原材料の単価が上昇している状況においても十分に量を確保することが重要ですので、在庫を戦略的に増やしていることも要因です。