[ 2018年3月期 第1四半期 決算説明会 ]Q&A
- Q1. センサ応用製品事業の営業損失から買収関連費用を除いた中で、インベンセンスの影響はどのくらいでしょうか。また、第1四半期の実質損失から、第2四半期以降どのように変化していく見通しでしょうか。
- A1. センサ応用製品の赤字に含まれるインベンセンス本体の実業の損益は、若干赤字はあるものの、ほぼ影響がない程度です。第1四半期のセンサ応用製品は、買収関連一時費用として35億円程度含まれており、第2四半期に若干減りますが、ほぼ同じくらいの金額が発生します。在庫の評価に関わる償却、インセンティブなどの費用が、第1四半期とほぼ同程度発生する前提ですが、アドバイザリー費用は発生しません。
- Q2. のれんが3月末の610億円から6月末で1,886億円に増えていますが、インベンセンスの買収金額と、そこに占めるのれんの金額を教えてください。また、償却が今後発生するのであれば、その金額についてもお願いします。
- A2. 最終的な買収金額は1,400億円強です。のれんの残高が3月末から6月末で増加しておりますが、ほぼインベンセンスに関わるのれんです。のれんの評価が最終的に完了するのは今年末頃と見ておりますので、今回増えている分はあくまで仮です。買収金額が無形資産など、さまざまな資産、負債にアロケーションされ、最終的なのれんが固まるとご理解ください。
- Q3. 償却が必要な部分は未確定なため、償却は発生していないという理解でよろしいでしょうか。
- A3. 今回在庫に関わるパーチェス・プライス・アロケーションの償却が35億円の中に入っており、第2四半期も同じくらい入る見込みです。無形資産など、特許や無形資産を評価したときの償却費が今期より発生するとお考えください。
- Q4. 設備投資および今後の拡張計画についてです。今回は計画を変えていないと思いますが、需給が逼迫する中で追加して設備投資をしないのか、現時点の考えを教えてください。
- A4. 基本的には、計画の構成は大きく変わっておりません。ただ、前回もお話しましたように、特に受動部品関係については、非常にタイトな需給状況にどう対応していくかが課題となっております。秋田の新工場など、スペース的な手当ては前期までで終わっております。設備については、期初に立てた予算内で見ております。
- Q5. インベンセンス関連は、5月の本決算時より、打ち手が見えてきている感覚はあるのでしょうか。
- A5. インベンセンスはクロージングから2か月少々ですが、直後から共同での拡販は始まっています。売上増加面のみならず、コスト面でも、ファブとファブレスの融合や、パッケージング、テスティングのプロセスの融合もすでに始まっていますので、前回より見えてきていると考えています。
- Q6. 今期インベンセンスの買収を反映させたということですが、買収コストや一過性の費用を除いた場合、オーガニックなビジネスとして通期の売上と利益をどのように見ているのでしょうか。
- A6. インベンセンスを含めたセンサ応用製品全体の通期の見通しは、前年実績の1.7~2倍程度とご説明しましたが、429億の1.7~2倍のうち、8割程度はインベンセンスの貢献とお考えください。また、先程申し上げたとおり、第1四半期において、センサ応用製品の利益に対してインベンセンスの損益の影響はほとんどありません。
- Q7. 受動部品の売上予想を修正していますが、どのような製品、どのような分野で修正しているのかを教えてください。また、昨年10月に竣工した新工場で生産性改善に取り組んでいると思いますが、その手応えや今後の見通しについても教えてください。
- A7. まず、鉄道を含むインフラ関連、風力発電関連を中心とした産業機器関係での拡大が挙げられます。エアコンの一部では、特にフィルム電解コンデンサと一部のセラミック製品が拡大する傾向にあります。車載関係では、コイル、MLCCを中心にますます受注が旺盛になってきています。ICTは北米顧客の立ち上がりも来ていますので、産業機器、車載、ICTと、計画以上に成長が見込まれる状況です。
秋田の新工場では、生産性を改善した設備の移管を進めております。また、顧客の4M変更にも対応しております。MLCCと高周波フィルタについては、前にもご報告したとおり、あるべき姿の品質を達成するためのモデルライン構築がほぼ計画どおりに進んでいます。新製品をいかに早く投入・立ち上げできるかというテーマで進めている段階です。 - Q8. 受動部品では高圧系の部品がかなり強く、材料系のキャパシティが足りない状況になっていると思います。材料のキャパシティを増やしていくには、相当の費用が必要となり、収益を上げていかないと積極的な投資ができないと思われます。顧客の需要がかなり強い中で、業界として部品の価格を適正化し、投資をしていくというプロセスをとる考えはあるのでしょうか。また、TDKの場合、フェライトの材料の工場にすでに投資しているため、新製品のキャパシティ増強は他社より早くできると思いますが、そのアドバンテージをどう生かすのでしょうか。業界全体での材料系のキャパシティ不足とこれまでの経験とを、どのように事業につなげていくのかを教えてください。
- A8. おっしゃるように、中圧、高圧、MLCCの需要拡大は、特に車載関係でかなり顕著になってきていると思います。フェライト系の工場としては、稲倉工場を昨年にかほ市に新築しましたが、韓国やアモイにも持っています。フェライト系については、EV関係のトランス、コイルでの対応は十分かと考えております。ただし、セラミック系の対応は現在検討しておりますが、今の状況からすると、能力増強を図る必要があります。特徴のあるものを作るには、自前の材料がないと製品としての競争力が保てませんので、特にセラミック系など、TDKが得意とする分野で拡大できる投資をしていきたいと考えております。
- Q9. セラミックは、メガキャップなど高圧系によりシフトしていくイメージですか。
- A9. おっしゃるとおりです。二端子としての技術を追求した上で、商品としてはまだ競争できると思います。特にこれからは基板が小さくなる関係上、端子の高信頼性化は非常に重要になってきます。そういった意味で、メガキャップや樹脂電極がキーになると思いますので、これらの製品の拡大に注力していきたいと考えています。
- Q10. 磁気応用製品の売上高の見通しも、前回の発表から変更していますが、ハードディスク関連製品の市場前提を変更していましたら、その内容について教えてください。
- A10. ハードディスクのTAMについては、期初想定どおり約4億台と見ており、今回は変更しておりません。ヘッドの数量についても、基本的には期初で見た水準から大きく変わっておりません。
マグネットおよび電源は、特に産業機器関係の需要増加への対応で、磁気応用製品の通期見通しの減少幅が若干縮小しています。 - Q11. 電源の新しい事業としてエネルギーユニットを掲げていますが、今後の市場の動きをどのように見ているのでしょうか。
- A11. まずエネルギーユニットをセンサに次ぐ成長の柱にしていくということですが、産機用電源およびEV用電源、DC-DCコンバータ、バッテリーなども含めて来期以降伸ばしていきます。次の中期戦略の中で明確に示していけたらと思います。電源製品は、新製品の開発スピードを上げることが売上拡大のキーになっていると認識しています。
- Q12. モバイルから産業機器、パワー系にシフトするロボットや、ESSなどに使われるパワー系の電池の需要はかなり強いと思いますが、現在の状況を教えてください。
- A12. 日本でモデルラインを立ち上げ、試作開発を進めている段階です。基本的にはパウチセルで対応していくことを目指しておりますが、今までのような民生、ICT向けの電池を単に拡大すればいいという話ではございませんので、必要な技術を補完しながら進めている最中です。
- Q13. 電池の上振れの要因として、北米得意先向けの好調な販売や、中国得意先での幅広い機種への採用、ドローンやゲーム機など新規アプリケーション向けの販売拡大が挙げられるとの説明がありました。当初の想定に対して、どれくらい上振れているのでしょうか。
- A13. 第1四半期が想定よりかなり上振れているという点についてです。現在、電池における北米の構成比があまり高くない状況になってきており、上振れてはおりますが、全体に対する影響はスマートフォン向けとしてはそれほどありません。ただ、タブレットなども含めてスマートフォン以外では、当初よりかなり上振れているイメージです。中国スマートフォン向けは当初の見立てより相当大きく上振れています。スマートフォン全体の生産状況から見ると、受動部品関係の動きとは少し違う動きとなっています。その理由の一つは、ハイエンドからローエンドまで、採用機種が拡大したことです。ミッドエンドからローエンドは、新興国向けに増加してきています。また、バッテリー全体のマーケットの需給関係で、第1四半期については当社への受注が強かったという見立てをしています。第2四半期については、北米向けは、新機種の生産台数の伸びに見合った程度で、生産台数の伸びと同じくらい期初想定よりも伸びると見ています。中国向けは第1四半期がかなり強かったと見ていますので、逆に大きく伸びるという見立てはしていません。よって、全体としては第1四半期から第2四半期の伸びは7~9%程度となるイメージです。ゲームやドローンの影響は比較的大きいですが、全体に占める金額自体の比率は、まだそれほど大きくはありません。個別の伸びだけに着目しますと、第1四半期から第2四半期にかけて大きく伸びていく想定です。
- Q14. MLCCを含め、需給がタイトになっていると思いますが、受動部品とフィルム応用製品の価格動向について教えてください。コバルト、ニッケルの価格が上がっていますので、二次電池の価格が上昇しているのではないでしょうか。
- A14. 特にMLCCでは、用途や製品により価格下落が相当進み、これからある程度の是正は各社で進むと見ています。二次電池への影響についてですが、主要な材料であるコバルトは昨秋から高騰を続けており、産業全体としてその分はある程度売価に転嫁させていただいております。営業利益増減分析で、売価値引きが149億の減益要因とお伝えしましたが、これは基本的に通常ベースの値引き影響も含めております。材料価格高騰は、合理化コストダウンの項目で相殺して表記しておりますので、売価への転嫁とコスト改善で吸収していると見ていただければと思います。