次期環境ビジョンの策定に向けて
実施日:2015年5月11日
「TDK 環境活動2020」において2020年度を目標年に掲げたカーボンニュートラルを、2014 年度に前倒しで達成したTDK。
次の活動目標を定めるべき局面を迎え、日本の環境金融の第一人者である(株)日本政策投資銀行 環境・CSR 部長・竹ケ原啓介氏を迎え、生産本部安全環境グループ・桑島哲哉および横山亮との対談を行いました。
国際標準の規格づくりに業界を挙げて取り組む
対談でまず確認されたのが、CO2 排出量の削減と、環境貢献量の増大を両軸で進めるには、社内の理解と協力が欠かせないという点です。「徐々に活動が浸透し、各事業部の削減量・貢献量を「算出」していた段階から、積極的に現場に働きかけ、それらを「創出」する段階へとシフトしてきている」と桑島は手応えを語ります。社内がこれらの環境貢献の価値を理解し、自分たちの取り組みの意義を実感するためにも、貢献に対して外部から評価を受け、現場へのフィードバックを重視する姿勢を伝えました。
また、TDK では適切な評価を受けるためにも、拠り所となる合理性ある基準が業界として不可欠と判断。「業界各社がバラバラの基準で環境配慮をうたっても混乱を招くだけで、標準化は欠かせません。日本の電機・電子業界が主導して策定を進めてきた国際規格が発行され、それを基にJEITA※と連携して作成した電子部品向けのガイダンスがようやく形となり、今後はそれを広く世界に発信していければと考えます」と横山は気概を見せます。竹ケ原氏からも、環境負荷・環境貢献をグローバルに通用する基準で算出し公開している点には大きな評価をいただきました。
- 一般社団法人 電子情報技術産業協会
( Japan Electronics and Information Technology Industries Association)
カーボンニュートラルを超え、より高い価値の創出へ
竹ケ原氏は「TDK の環境活動は極めて先進的で、他に例を見ないほど。カーボンニュートラルを実現した今、次のポイントとなるのは、環境だけでなく、社会的側面でもいかに価値を生み出していくかでしょう」と指摘。桑島はウェアラブル機器などを例に、「全重量の大部分を占める電子部品を軽量・小型化すれば、その分を別の役立つ機能の搭載に割り当てることができ、最終製品の利便性が向上します。そうしたところに、社会的貢献量の定量化の余地があると思います」と可能性を示します。
今後に向けて、桑島は「『TDK 環境活動2020』で掲げた目標は、当初は社内からも本当に達成できるのか? と言われるほど思いきったものでした。次の環境ビジョンでも、同様のインパクトある目標策定とその実行で、TDKらしさを発揮していきたいです」と意気込みを語りました。
竹ケ原氏の主な意見・提言
株式会社 日本政策投資銀行
環境・CSR 部長
竹ケ原 啓介 氏
1989年、日本開発銀行(現日本政策投資銀行)へ入行。フランクフルトに計6年駐在し、「DBJ環境格付融資」を開発するなど日本の環境金融の第一人者として知られる。
一般的に「カーボンニュートラル」は個々の製品や個別の取り組みなど各論で論じられがちですが、TDKは国際的に通用するフ
レームワークを構築した上で「真のカーボンニュートラル」を達成しており、非常に優れています。言い換えれば、TDK製品が社会に広がりTDKの売上が伸びるのに比例して、環境面で社会へのプラスの影響が増大するということ。これは投資家に対しても、社会に対しても強力なメッセージとなります。
また、TDKではM&Aを展開されています。TDKグループ傘下になれば、その企業でもTDK水準の環境対策が行われ、ひいては世界に与える環境負荷を抑えることにつながっていくでしょう。そうした貢献の形も意識して社会に打ち出していけるとよいのではと思います。