「成長戦略としての多様性の尊重」を考える
実施日:2015年4月17日
約9割の海外従業員比率を持つグローバル企業として、TDKの喫緊の課題となるのが、人材の多様性をいかに強みに変えていくか。新たに策定した行動指針においても「多様性の尊重」を重視する中、2015年4月、TDKでは有識者を迎え、多様性の尊重について本質への理解を深める勉強会を開催しました。
勉強会では、多様な人材活用などについてコンサルティング支援を行うアパショナータ代表のパク・スックチャ氏に講演をいただいたのち、6 名のTDK 出席者を交えたディスカッションを実施。「TDK が多様性をどう定義し、どこに重点を置くかを明確にすべき」「実践を通して絶えず考え、必要な見直しを進めることが大切」などの声が上がりました。特に、「ただ単純に多様な人材が集まればよいのではなく、異なる意見や価値観を活かし成果につなげていくための評価軸を明確にする」という点では議論が活発化。パク氏からも「多様性を尊重することが重要なのは、それが組織の成果を向上させるものであるからこそ」という大前提が強調されました。
パク氏の主な意見・提言
「違い」を活かし、市場での競争力強化へ
アパショナータ代表
パク・スックチャ 氏
一般に「多様性の尊重」といえば女性や海外人材の活用ばかりが注目されがちですが、まったく同じ属性の人間が存在しない以上、「人が2人以上いれば多様性」であり、自分事として捉えていくことが非常に重要です。多様化推進のためには人事制度の整備などはもちろん、企業トップや管理職のリーダーシップのもと、全従業員が多様性を尊重する態度や行動をとる企業風土を醸成していかなければなりません。また、多様な人材すべてが組織活動に公平に参画し、能力を最大限に発揮することを目指す「ダイバーシティ&インクルージョン」の視点が不可欠です。
現在、グローバル化や人口構造の変化を背景に、企業で働く人の層が多様化する一方で、顧客ニーズもまた多方向に広がり続けています。つまりは、「雇用」と「市場」の両面から多様性へのニーズが起きているということ。職場で多様性が適切に尊重されれば、異なる意見がぶつかり合う中で革新性や創造性が生まれます。そしてそれこそが、変化し続けるビジネス環境への対応を迅速にし、市場競争力を高める土台となります。多様化を推進する過程ではさまざまなあつれきや摩擦も予想されますが、そうしたコストを踏まえても多様性から組織が得るベネフィットは測り知れません。中長期視点に立ち、一歩一歩進めていくことが大切です。
勉強会を終えて
人材の多様性を力に変え、企業価値の向上を目指します
TDK株式会社
常務執行役員
戦略本部長
齋藤 昇
企業のDNA である理念やビジョンを実現するためには、人材の多様性を尊重することが欠かせません。8 万人以上のグループ従業員の多様性を尊重し、認め合う企業風土づくりと、その全員が一つの方向を向いて歩んでいけるような強いマネジメントが両輪で必要であると再認識しました。一朝一夕にできることではありませんが、多様化し続ける市場ニーズに応えるため、多様な人材がそれぞれ最大限の能力を発揮することで、革新的な創造を生み出し続ける組織づくりに着実に取り組んでまいります。