サステナビリティ | ガバナンス品質保証
基本的な考え方
TDKは、電子部品の製造・提供を通じて社会へ貢献することが使命であると考えています。
そのために、「品質」を重要な経営基軸として位置付け、「品質」を最優先に考え活動することで高品質の製品を実現し、お客様の期待に応え続けられるよう活動を進めています。
基本理念
『ゼロディフェクトの追求』
TDKは基本理念として「ゼロディフェクトの追求」を掲げています。
出荷段階はもちろん、流通段階、セットメーカー様の組立段階、最終ユーザー様のご使用段階、そして廃棄にいたるまで、製品のライフサイクルを通じて「ゼロディフェクト(欠陥ゼロ)」を追求していきます。
品質方針
『最終検査で品質は保証できない!』
TDKは品質方針として「最終検査で品質は保証できない!」を掲げています。
最終工程の検査で不具合品を取り除くことにより製品品質を保証するのではなく、各プロセスで品質のつくり込みを行い、100%良品を作ることにより製品品質を保証する、という品質思想を定着させるために定めました。
製品設計・工程設計・設備開発などの源流段階から品質向上に努め、不具合品を撲滅することで、お客様の満足と信頼を得られる高品質の製品を実現します。
品質目標
『不良のゼロ化』『業界トップの品質リーディングカンパニーを実現』
お客様にTDK製品を満足してお使いいただくためには、高品質の製品を、常に提供し続けることが必要です。「人」、「技術」、「仕組み」の3つのQualityをテーマとして品質保証活動を展開し、「不良のゼロ化」「業界トップの品質リーディングカンパニー」を目指していきます。
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Technological Quality
技術のQuality品質技術の向上と、予防処置に重点を置いた継続的な品質保証活動
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Systematic Quality
仕組みのQualityTDK固有のモノづくりノウハウと国際標準規格を融合させた品質マネジメントシステムによる継続的な品質向上活動
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Human Resource Quality
人のQuality品質意識と実務能力アップによる、継続的な品質向上活動
体制
本社品質保証機能長が、グループ全体の品質保証活動を統括し、理念や方針の共有・展開を図り、その実現に向け全社一丸となり活動を進めています。また、各事業部門に品質保証機能を設け、その責任者が事業部門の品質保証活動を統括し遂行しています。
目標と実績
2022年度目標 | 実績 |
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DXを活用した品質教育のグローバル展開 | 品質教育のオンラインコンテンツの作成と展開 |
評価と今後の取り組み
TDKのデジタル学習プラットフォーム(Weconnect)で新たなコンテンツを引き続き検討していきます。
2023年度目標 |
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品質教育のためのオンラインコンテンツの拡充 |
取り組み
ゼロディフェクト追求における重点施策
TDKでは、基本理念である「ゼロディフェクトの追求」に向けて次の活動を進めています。
(1)設計開発プロセスの強化
ゼロディフェクトを追求するためには、設計活動の中で100%良品を作り出すための製品・生産システムの構築が必要と考えています。このために、各プロセスにおいて発生し得るリスクを早期に抽出し、その問題を設計段階で封じ込める源流管理型の品質保証体制を構築・適用することで設計品質を確保していきます。
(2)製品製造プロセスの強化
ゼロディフェクトを追求するためには、ばらつき無く再現できる製造プロセスを実現するための現場力も必要です。
ばらつきの発生要因としては主に「設備」「作業」が挙げられます。「設備」に起因するばらつきに対しては、設備設計時の要件定義をより深く実施するとともに、メンテナンスの手順を明確にする等で低減を図っています。「作業」に起因するばらつきに対しては、小集団活動をベースとした改善活動を展開することで低減しています。
また、小集団活動を通した品質意識の向上や品質教育を継続することで、品質第一の組織・風土の構築・維持を進めています。
TDKでは、設計開発プロセス・製品製造プロセスの強化を進めることで技術力とモノづくり力を高め、より高品質な製品をお客様にタイムリーに提供できるよう努めていきます。
(3)品質に関するコンプライアンス遵守
当社は法令・社会的規範等に沿って企業活動を行うと同時に、高い倫理観を持って社会的責任を果たすよう努めています。そのために、ゼロディフェクトの追求による製品品質向上活動とあわせて、品質を最優先に考え活動する意識の醸成や、品質に関するコンプライアンスの監査によるチェックなどに継続して取り組んでいきます。
(4)製品セキュリティへの対応
近年、ネットワークにつながるIoT関連製品における新たなトラブルとして、ネットワークを介しこれらの脆弱性をついたサイバー攻撃により、不具合や取り扱うデータの漏えい・データ改ざんによる被害だけでなく、攻撃者の踏み台にされて加害者になるケースも発生しています。
このような状況を踏まえ、当社が提供するIoT製品への対応として、その機能や特長、販売形態などに応じた対策を取っています。たとえば、納入部品、生産工程から設計段階におけるセキュア開発方法や機能の安全の仕組み、さらには販売後のファームウェアアップデートなどのメンテナンス方法や、利用者の端末にインストールされるアプリケーションにいたる運用・保守まで、さまざまな段階でのセキュリティを考慮する必要があります。
IoT製品に対するセキュリティ対策は、来たるデジタルトランスフォーメーション時代には必要不可欠な技術であり、当社ではIoT製品セキュリティを製品品質の一つとして位置づけています。関連各機能と協力し、TDKのIoT製品のインシデント対応を含むサイバーセキュリティに対応する推進体制とルールを構築し、お客様からの信頼、安心を得られる製品を提供できるよう進めています。
(5)従業員への継続的なTDK品質教育の実施
TDKでは、加湿器事故を教訓とし、製品の安全性や品質を最優先に位置付ける意識付けの教育を、TDKグループ全従業員を対象に定期的に実施しています。この教育では、市場で発生している事象や要求事項を鑑み定期的に、映像での教育資料の更新を行っています。
また、多言語化や提供方法の拡充を行い、グローバルでの教育を実施しています。
関連情報
製品由来の有害物質ばく露の予防と管理
当社では、人間の健康と環境を脅かす、製品由来の有害物質ばく露を予防・管理する仕組みとして、2004年に「環境製品品質マネジメント」を導入し、品質マネジメントシステム(QMS)の中で運用しています。
製品への含有を禁止または把握すべき化学物質を明確にするために、TDKはIEC(International Electrotechnical Commission)が作成したIEC 62474(Material Declaration for Products of and for the Electrotechnical Industry)の報告すべき物質リストおよびGASG(Global Automotive Stakeholder Group)が作成したGADSL(Global Automotive Declarable Substance List)という関連業界基準に基づき、当社基準を策定しています。
サプライチェーンの川中に位置する部品メーカーとして、「買う」「創る」「売る」の段階で予防と管理を徹底する仕組みを整えています。
買う(1)−グリーン調達
当社では、製品に規制化学物質が含まれないように「TDK製品含有化学物質基準書」を定め、購入先・発注先各社には「TDKグリーン調達基準書」で規制化学物質を含まない化学物質・部品・包装材料の納入を依頼しています。
また、REACH規則のSVHC含有情報の伝達をはじめ、含有把握すべき化学物質の報告をお願いしています。
関連情報
買う(2)−受入検査
当社では、購入先・発注先各社からご提供いただいた化学物質・部品・包装材料の含有化学物質情報を精査し、「TDK製品含有化学物質基準書」を満足する調達が可能であることを確認しています。
さらに、ヒューマン・エラーなどが原因で規制化学物質を含有してしまうといった事故を防ぐため、リスクレベルに応じて、調達品の受入時に分析試験による特定の化学物質の含有量を測定し、規制化学物質の工程への混入を防止しています。なお、「リスクレベル」の定義、測定の頻度等は、実績を基に継続的に見直しています。
創る(1)−環境配慮設計(エコデザイン)・製品アセスメント
生産企業における環境政策の基本は、設計/開発の開発構想段階での環境配慮設計・製品アセスメントにあり、この段階で製品由来の持続可能な発展目標や循環型社会への貢献となる環境負荷低減効果が決定されると考えています。
また、環境配慮は品質向上のキーワードの一つであり、環境配慮設計・製品アセスメントは“クレーム発生”の予防処置と考えています。製品の部材調達・製造・流通・使用・廃棄の全ライフサイクルを通じて、最も環境負荷の大きな要素を特定し、新たな技術開発・革新で改善を推進しています。
創る(2)−誤使用・混入・汚染防止
当社では、製造工程、保管スペース、倉庫など、量産の現場におけるTDK禁止物質の不使用と、誤使用・混入・(接触による移行性などを含む)汚染防止を徹底しており、その手段としては、識別管理、隔離、手順と基準の確立、先入れ先出し、入出庫管理などがあります。
また、はんだ槽のように汚染の可能性のある工程については、はんだメーカーと共同で実用レベルの簡易測定法を開発し、鉛の含有率管理を行っています。
売る(1)−流出防止
当社の電子部品は、RoHS指令が適用される電気・電子機器の業界だけでなく、自動車、医療機器など、多岐にわたる業界のお客様に納入しており、各種法的や顧客要求を満たさなければなりません。RoHS指令の場合、同指令の適合製品を希望されるお客様や、EU市場に上市しない高度な信頼性の確保などの目的でRoHS指令非対応製品を希望されるお客様もいます。
当社は、人的ミスによる非対応製品の誤出荷を防止するため、販売管理のコンピュータシステムに、すべての製品のRoHS指令適合有無を登録しました。このシステムでは、受注および出荷指示の段階で自動的に照合が行われます。RoHS指令非対応製品を出荷する場合には、電子申請にて「お客様の確認が得られていること」を入力し、承認手続きを経てないと出荷できない仕組みとなっています。
売る(2)−情報の開示
当社は、製品に含有するTDK禁止化学物質の全廃化の過程を通じて、製品含有化学物質の情報開示体制を整えました。
お客様からの製品含有化学物質に関するお問い合わせについて、営業部門における受付から技術部門における回答までグループウェアを利用して一元管理し、迅速かつ正確に回答する体制をとっています。