サステナビリティ | 社会人財の育成
基本的な考え方
TDKでは、次世代リーダーの育成、リーダー職における多様性の促進、後継者計画の推進によるビジネスニーズへの対応を目的として、グローバルマネジメント人財開発プログラムを継続的に実施・改良しています。今後も、さまざまな手段を活用して教育施策を改善し続け、多くの優れたチームメンバー（従業員）の潜在能力を引き出すことを目指します。人財とビジネスの両軸からのアプローチにより、変化し続ける未来のニーズに対応できる能力を備えた人財を育成します。
グローバルマネジメント人財開発プログラム 概要
ガバナンス
グローバル・エグゼクティブ・マネジメントプログラム（Global Executive Management Program/GEMP）
本プログラムは新任執行役員およびその候補者を対象とし、参加者は社長とChief People and Sustainability Officer（CPSO）によって選ばれます。参加者は、研修の最後に自分が考えたビジョンと戦略をTDKの取締役会に発表し、取締役会のメンバーは、TDKの企業戦略に最終的に取り入れるかどうかを念頭におきながら、フィードバックとアドバイスを行います。
グローバル・アドバンスド・マネジメントプログラム（Global Advanced Management Program/Global AMP）
本プログラムの参加者はビジネスカンパニーのCEOと本社機能によって選定され、本プログラムがTDKの課題解決につながるよう、社長執行役員CEO、戦略本部長、CPSOから事前に情報が提供されます。それを受けて参加者は、プログラムの最後に社長執行役員CEOと執行役員に向けて成果発表を行い、社長と執行役員はさらなる展開や改善のためのフィードバックやアドバイスを行います。
グローバル・マネジメントプログラム（Global Management Program/GMP）
本プログラムは、多種多様なビジネスカンパニーやグローバル本社機能の幹部や事業リーダーによって運営されており、実際の事業の知見に基づいた、プログラム設計の検証や、参加者の選定、研修内のコーチングなどが行われています。
地域別キャリア開発プログラム（Territorial Career Development Program/TCDP）
各地域の事業リーダーや経営幹部が本プログラムの運営を行い、参加者の選定やプログラム内容の確認を行うほか、最終日のセッション参加を通じて、リーダーシップについての知見共有やアドバイスを行います。
戦略
TDKのチームメンバーの継続的な成長の実現
チームメンバーが、各々の気づきや自己成長によってその価値を最大限に発揮できるよう、グローバル人財育成部が総合的でインクルーシブな学習の機会を提供しています。これにより、TDKとして現在および将来の事業ニーズに応えられる人財を持続的に育成していきます。
- グループ横断の人事機能の強みを活かした、優秀な人財の獲得と育成
- 優れたチームメンバーへの権限委譲と、事業における成功体験
- 経営層の期待と信頼に応えうる優秀な人財の育成と、継続的な事業貢献
- 上記取り組みのグローバルな展開による、TDKのグループ各社での変化適応力の強化と継続的な事業の成功
リスク管理
プログラム内容の質の確保
TDKのリーダーにとってより効果的な教育施策を提供できるよう、TDKのチームメンバー、マネージャー、幹部からのフィードバックをもとに各プログラムの評価を行っており、その評価結果は、各ステークホルダーに毎年報告されます。
多様性の確保
グローバル人財育成部は各プログラムの参加者を選定するにあたり、異なる地域、ジェンダー、担当職務や文化的背景といった多様なバックグラウンドを持つチームメンバーから、将来性のある人財を見極めています。
候補者プロフィールの精査
グローバルレベルでのリーダー育成に向けて、各プログラムの運営メンバーおよび関係部門が精度の高い候補者プロフィールを準備し、高い潜在能力を持った人財を見極め選出しています。
指標と目標
中長期目標
グローバル人財育成部は、チームメンバーの価値と能力のさらなる向上に向け、統合的でインクルーシブな学習機会を提供しています。
グローバルマネジメント人財開発
将来のリーダーを育成し、重要ポジションの後継者計画を整備することで、適時・適材・適所の人財配置を実現します。
TDKが描くのは“範を示し導く”リーダーです。メンバーに対し明確な目標を掲げ、自由闊達に語らい、価値創造に貢献できる、そして変革と企業文化を自ら作り出すリーダーを育成していきます。
2023年度の目標と実績
| 2023年度目標 | 実績 |
|---|---|
| TCDP：プログラムを継続。一方、TDKの戦略および変化し続けるビジネス環境を反映した、プログラム構成の改良。一部地域での参加枠を拡大（世界全体で100～130名が参加）。 | 対面とオンラインの組み合わせにより、すべての地域でTCDPを実施。 世界中から130名が参加。 |
| GMP：グループ横断施策における効果的なシナジーを生み出し、TDKの体制に関し理解を深められるようなプログラムの実施（年間50名が参加）。 | 求められるリーダーシップスキルが複雑化する中、TDK Unitedの強みを活かし、参加者のインクルーシブリーダーシップとマネジメントのスキルを育成。29名が参加。 |
| Advanced Management Program/Global AMP：経営人財およびその能力を育成するプログラムの継続的な実施 | プログラムを通じて参加者はTDK Unitedの精神を学び、強い絆とグループ内ネットワークを構築。学習効果向上のため、変化し続けるビジネス環境に合わせてプログラム内容を改良。 |
| Global Executive Management Program/GEMP：新任執行役員または執行役員候補者を対象とした第2回目の研修の実施 | 変化し続けるビジネス環境に適応し、TDKの将来の課題に対処するためのプログラムを設計。 参加者が将来のビジョンと戦略を策定する上で有用なプログラムを提供。 |
評価と今後の取り組み
| 2024年度目標 |
|---|
| TCDP：プログラムを継続して実施する一方、プログラムの効果を向上させるため、TDKのビジネスと戦略に関するトレーニングを改良。多様なチームメンバーの育成に注力することによりTDKの競争力を高め、企業文化の変化を促進。参加希望者の増加に対応するため、一部地域でのプログラム参加枠を拡大（世界全体で100～130名が参加）。 |
| GMP：TDK Unitedにおけるシナジーを生み出し、TDKの体制に関し理解を深められるようなプログラムの実施。積極的なインクルーシブリーダーシップ教育の導入（最大50名が参加）。 |
| Global AMP：2023年度と同様のプログラムの実施。変わり続ける未来の事業ニーズに応え、変革を推し進められるような、影響力のある経営人財の育成（1年あたり25名までの参加者で、累計参加者は100名以上）。 |
| GEMP：プログラムのさらなる発展と長期戦略への統合。 |
取り組み
TCDP（地域別キャリア開発プログラム）
地域別キャリア開発プログラム（Territorial Career Development Program : TCDP）は、次世代リーダーを育成するためのプログラムです。もともと中華圏の主要子会社で考案されたこのプログラムは、2018年以降、グローバル人事機能によって、中華圏、日本含むアジア、米州、欧州の地域ごとに実施されています。対象となるのは管理・監督者の経験があり、かつ将来の成長が期待されるチームメンバーで、すべてのプログラムは英語で実施されます。
このプログラムでは、「リーダーシップの本質」「ピープルマネジメント」「変革の推進」「人の心を動かすコミュニケーションとプレゼンテーション」「価値創造」をテーマとしたトレーニングを提供しています。
TCDPの目標は、優れたチームメンバーのパフォーマンス、モチベーション、専門性を強化し、リーダーシップとマネジメント能力を開発することです。また、TDKグループにおけるネットワークの拡大とメンバー間の協力関係を構築することも目的としています。
参加者は、プログラムを通じてチーム単位でのプロジェクトに取り組む中で、学んだ内容を実践する機会が与えられ、最終的に地域の運営メンバーに対してその成果を発表し、フィードバックを得ます。この実践的な学習がTCDPの肝となっています。
プログラムは、10カ月以上に及ぶ5つのトレーニングセッションで構成されています。開催地域によっては対面とオンラインを組み合わせて実施され、対面では参加者はさまざまなTDKの企業や拠点に集まり、ローカルな事業についての知識を深めます。
オンラインでは、eラーニングやWEB会議システムを通じた独自コンテンツにより、プログラムを補完します。
ビジネス上のメリット：
- 人財の育成：TDKグループの次世代リーダー候補となりうる、潜在能力の高い人財の発掘
- 人的能力の変革：企業経営の土台となる知識の習得、リーダーシップスキルおよびTDKに対するエンゲージメントの向上、チームメンバー同士のコミュニケーションの活性化など、個々のマネジメント力の底上げ
- インクルーシブリーダーシップの育成：マネジメントの方法と原理に対する理解の促進、リーダーシップに関するスキルの育成、チームメンバーのエンゲージメントと自己意識の向上
- TDK Unitedの推進：TDKグループにおけるネットワークの拡大とメンバー間の協力関係の構築
GMP（グローバル・マネジメントプログラム）
GMPは、数年の管理職経験を持ち、グループ内でのさらなる成長が期待できる優秀かつ意欲的なチームメンバーを対象とした専門的なマネジメント開発プログラムです。
このプログラムは、自身の職務範囲を超えて視野を広げ、リーダーシップスキルやTDKの組織構造とマネジメントに対する課題意識を高めるように構成されています。また、さまざまな組織や機能、文化、経験の中で、メンバー間のより強力なつながりと協力関係を構築する機会を提供しています。
プログラムは2年間にわたって実施され、毎年参加者の半数が入れ替わります。プログラムは6つの対面型プログラム（各回2～3日）で構成されており、さまざまな拠点で行われます。1回のプログラムにおける参加者は最大50名で、プログラム参加開始のタイミングに基づいて半数ずつの2つのグループに分かれ、グループごとのセッションと、2グループ合同のセッションを行います。
各プログラムの主な内容は「リーダーシップと異文化トレーニング」「TDKのDNA」などです。さらに、TDKのデジタル学習プラットフォーム WeconnectからアクセスできるGMP専用のコンテンツも提供し、学習を補完しています。
ビジネス上のメリット：
- 多様性とグローバルな連携の推進：参加者間のネットワーク構築、TDKの組織構造と課題への理解促進
- 人財の育成：後継者育成計画のサポート、インクルーシブリーダーシップの実践
- 価値の創造：自身の職務範囲を超え、経営全体を視野に入れた学習機会の提供
Global AMP（グローバル・アドバンスド・マネジメントプログラム）
Global AMPは、事業責任者もしくはそれに準ずる者を対象として、リーダーシップの向上を目指して2019年度にスタートしました。目的は、リーダーシップ、戦略立案、イノベーションおよびチェンジマネジメントに関する能力の向上を図ることと、参加者同士の人脈形成の場として、TDKグループ全体のネットワークを強化することです。
Global AMPの特徴は、TDKの課題に結び付いた学習アプローチであるため、プログラム終了後にも各現場で応用することができ、得た知識を自身のチームメンバーへ共有することが可能なことです。プログラムの最後には、参加者から経営層への発表を行います。
研修期間は8カ月間で、3回の対面型プログラムと1回のオンラインプログラムの合計約14日間で構成されています。さらに、プログラムを補完するために、短いセッションがオンラインで開催されます。なお、Global AMPは毎年実施されており、参加者は毎年20～25名で、累計参加者は2023年で100名近くになりました。
ビジネス上のメリット：
- ビジネスの変革：TDKの企業価値、文化、および中期計画に基づいたプログラムの提供
- 多様性のある企業文化の醸成：グローバルな後継者育成計画への寄与
- イノベーションの推進と複雑なビジネス環境への対応：戦略的なビジョンと思考、イノベーション、実行能力の強化
- TDK Unitedの実践：TDK Unitedに向けたTDKグループにおける人脈形成およびメンバー間の協力関係の構築
GEMP（グローバル・エグゼクティブ・マネジメントプログラム）
GEMPは、新任の執行役員や将来その役割が期待される人財を対象に、2020年にスタートしたプログラムです。ダイバーシティを最大限に活かせる「変革のトップマネジャー」を目指すとともに、ビジネス開発戦略につながるイノベーションを発掘・実現することを目的としています。
GEMPの目標は、TDKのグループ会社とグローバル本社機能の間でより強い結束と連携を生み出し、グループ会社の最上層にTDK Unitedを浸透させることです。人を鼓舞できるトップクラスのリーダーを、国境や文化を超えて配置することで、より強固なレジリエンスを生み出すというTDKのミッションの実現をサポートします。
GEMPは東洋と西洋のリーダーシップ哲学を融合させたプログラムにより、TDKグループの次世代幹部の育成および後継者育成計画に貢献しています。プログラム内で取り扱われる課題は中長期計画の基盤となるもので、プログラムの最後には経営層への提案の機会があります。また、個別のコーチングセッションは、参加者が人を鼓舞できるグローバルリーダーに成長することをサポートする内容となっています。
合計8カ月に及ぶプログラムは、4〜5日間の対面式セッション3回で構成されています。社内の状況やGEMPのプログラムの主旨に応じて、開催地は毎回変わります。
各回の参加者は10〜15名で、プログラムの開始以来累計で23名が参加しています。
なお、このプログラムは、中期経営計画の策定に向けて実施されているため、開催されない年や、逆に参加者のビジョンの実現をサポートするため1年を超えて延長することもあります。
ビジネス上のメリット：
- 模範となるリーダーの育成：参加者や関連グループ企業、グローバル本社機能における、TDKの持続可能な戦略、スピード感、価値創造へのアプローチの強化
- 変革の推進：メガトレンドと主要な変革に関するより高いレベルの認識を参加者にもたらすことによる、TDKのビジネスやコスト効率、レジリエンス向上などの相乗効果
- 持続可能な未来の創造：「TDKの持続可能な成長と世界への貢献」を想定した次期（およびそれ以降の）中期経営計画への準備
世界規模のコミュニケーションと英語のトレーニング
グローバルなコミュニケーションと英語のトレーニング
Global Communication & English（GCE）は、TDKのチームメンバーを対象に、英語でのコミュニケーション力を高めてもらうためのプログラムです。TDKは今や30以上の国・地域に事業を拡大しており、その中でスムーズに業務を進め、またキャリアを広げていくためには、異文化において認められる実力はもちろんのこと、英語による明快なコミュニケーションは極めて重要です。
TDKでは、スピーキングテストによる英語力の測定を実施し、その結果を踏まえた第6回年次英語トレーニングを世界規模で実施しました。本プログラムの特徴として、GCEの運営チームと別にGCEアドミニストレーターが設定されていることが挙げられます。GCEの運営チームがよりよい学習方法の共有、質の高い言語指導プログラムの提供、文化に対する理解を促進させるコミュニケーショントレーニングを実施するのに対し、約100名のGCEアドミニストレーターは、学習者を直接サポートしコミュニケーションをとることで、学習者のエンゲージメントを促す重要な役割を担っています。
GCEの運営チームは、円滑な業務運営に向けて英語力向上を必要としているメンバーを正確に把握しており、そういったメンバーには、グローバルリーダーとして活躍することを期待し、海外赴任やマネジメントプログラムへの参加の機会が与えられます。
