株主・投資家情報

[ 2022年3月期 第3四半期 決算説明会 ]Q & A

Q1. 2022年3月期第3四半期から第4四半期にかけての売上高の変化をセグメント別に教えてください。第4四半期に構造改革費用等の一時費用が約90億円、税金関連の一時費用が約170億円発生するリスクを見込むとしていますが、利益にどう影響しますか。
A1. 第3四半期から第4四半期にかけての売上高の変化をセグメント別に見ると、受動部品が約4~7%の減少、センサ応用製品が約13~16%の減少、磁気応用製品が約8~11%の減少、エナジー応用製品も約8~11%の減少、全体で9%弱の減少と予想しています。第4四半期の平均為替レートを対ドル110円(第3四半期113.67円)と想定しており、それに伴う若干の減少を各セグメントで見込んでいます。約90億円の一時費用が利益に及ぼす影響は、セグメントごとにそれぞれ約20億円の見込みです。受動部品は、売上減少に伴う減益のほか、中国の生産拠点が多いため旧正月の稼働損が影響します。センサ応用製品は、売上大幅減に伴う減益に加え、第3四半期に好調だったTMRセンサ等がシーズナリティにより大きく減少し、製品ミックスの変化が利益に影響すると見込んでいます。磁気応用製品も、旧正月の稼働損が相応に発生し、数量が減少する分利益も減少する見込みです。エナジー応用製品は、旧正月の稼働損により数量が減少する分利益も減少する見込みです。また、材料相場が第3四半期から急騰しており、価格転嫁による調整を見込んでいますが、第4四半期に影響を全て吸収することはできません。その分がコスト増となり、第3四半期からの落ち込みに大きく影響すると考えています。税金関連の一時費用約170億円は税後利益に影響します。
Q2. 電子部品全般について、流通在庫、顧客在庫の現在の状況を教えてください。第2四半期までサプライチェーン全体で安全在庫を積み上げる動きがありましたが、第3四半期以降も続いていますか。第4四半期以降も同様に安全在庫の積み上げが続くのでしょうか。
A2. 現時点で流通在庫、顧客在庫のレベルは正常と見ています。自動車向け等で積み増しされているような動きがこの第3四半期まではあり、実需以上に在庫が若干積み上がっていると見ていましたが、その後受注状況は大きく落ち込んではおりません。自動車の生産台数は引き続き堅調に推移しており、現在ではお客様も実需に応じて発注をしていると見ています。
Q3. 自動車の生産台数が増えるのに合わせて、電子部品の自動車向けの出荷も増えていく見通しですか。
A3. EV化の進展やADAS導入の動きが加速するほど部品搭載点数が増加するため、自動車の生産台数の伸び以上に電子部品の受注や需要が伸びると考えています。
Q4. MLCCの受注状況を教えてください。また、来期に向けての設備投資の考え方についても教えてください。
A4. 引き続き受注が出荷を上回っており、堅調な需要があると見ています。受注は昨年の夏頃のピークから緩やかに減少し、10、11月頃から横ばい状態にあります。また、現在設備投資を強化することで能力増強に努めており、来期も二桁増を目指します。
Q5. センサは特定の顧客に向けた特定の製品のみが大きく貢献していると思われますが、来期の利益水準はそれ次第でしょうか。また、自動車向け需要の回復等、これまでとは違う要素で黒字化が安定するとの見込みはありますか。
A5. 民生用については、TMRセンサの販売が拡大しており、MEMSモーションセンサの顧客基盤やアプリケーション基盤も継続的に拡大しています。これらのセンサの顧客基盤をアジアのお客様全てに拡大したいと考えています。また、アプリケーション基盤をゲーム機、ドローン、VR機器等に引き続き拡大していきます。
自動車向けについては今期よりも需要が伸びると見ており、TMRセンサ、ホールセンサといった磁気センサや温度センサ等、コンベンショナルな製品の売上も伸びる見込みです。
今期は買収関連費用を除き黒字を見込んでおりますが、来期は売上をもう一段高水準なものとし、買収関連費用を含めた完全黒字化を目指します。
Q6. TDKはICメーカーのIoT機器の開発パートナーと思われますが、ICメーカーと提携している事業についてどのように期待していますか。また、自動車向けの製品についてもICメーカーとの提携が明確なメリットになるのでしょうか。
A6. ICメーカーとは技術的なシナジー効果を出すべく動いています。スマートフォンにおいて、コンベンショナルなセンサ製品のリファレンスデザインの話が出ていますし、それ以外のIoT機器でも様々な用途が出てきています。自動車向けでも、ICメーカーとのリファレンスは軽視してはならないと考えていますので、しっかりと提携関係を深めていきます。
Q7. 今期の電池の売上高は、材料費上昇の価格転嫁、円安の影響を除くと、前期からどの程度増える見通しですか。また、来期はどの程度増加する見込みですか。
A7. 今期の売上高は、価格転嫁、為替の影響を除くと、エナジー応用製品全体で前期から約10%弱の増加と見込んでいます。スマートフォンのTAM自体は前期から約3%減少していると見ていますが、その中である程度数量を伸ばしているところです。
来期は半導体はじめ部品の供給不足が継続するという見込みの下、ICT市場の伸び率は一桁前半程度と見ています。現在のシェアを確保しつつ、新たな市場への拡大を進めたいと考えています。Non-ICT市場向けのパワーセルは、TDKの電池全体の売上構成比約1割を今期ほぼ達成する見通しですが、来期は今期の売上の50%増を目指します。来期はICT市場向けの成長があまり見込めませんが、電池全体で二桁の成長を目指したいと考えています。
Q8. 今期は中国の電動二輪車市場が伸びなかったと思いますが、来期は需要が大幅に拡大すると見込んでいます。来期はパワーセルの売上50%増を目指すということですが、中国の電動二輪車市場の見通しと、TDKがこの市場をどうとらえているかを教えてください。
A8. 中国の電動二輪車市場は、今期の上期と下期でかなり動向が変わっており、下期に少しずつ動き始めています。特にシェアリングバイクの需要が広がる動きが出てきたと感じており、来期はTDKの事業としても拡大できるのではないかと見込んでいます。中国以外の地域ではまだ事業化していませんが、何社かと話を進めている状況です。中国で培った事業経験を活かし、中国以外の市場でも展開していきたいと考えています。
Q9. 電池に関する価格、材料調達戦略について教えてください。調達に関しては、TDKは材料メーカーとともにプロジェクトに投資し一部の買い取り権を購入しているかと思います。調達力によって電池メーカーの状況に優劣が付くことが起こり得ると考えられますか。
A9. まず価格については、市場の材料価格上昇に合わせ、価格転嫁を図っています。透明性を保ちながら、材料価格が上昇したときは価格を上げ、下落したときにはその分下げていくことによって、お客様と信頼関係を結んでいくことが大事だと考えています。次に材料調達戦略についてですが、今後EV用電池の需要が高まると、材料調達が経営を左右する一つのポイントになると見ています。主要な材料は、デポジット等を活用しながら中長期的な視点である程度の物量を確保するようにしていきます。
Q10. CATLとの合弁会社設立について進捗があれば教えてください。
A10. CATLとの合弁会社設立については、1月下旬に全ての独占禁止法の審査で承認が下りました。CATLと協議を進めなるべく早く合弁会社を立ち上げたいと考えています。
Q11. モビリティ分野とそれ以外の分野で電池に求められる要素が異なると思われます。CATLとの合弁会社設立によって注力する分野について、どのように計画していますか。
A11. CATLとの合弁会社においては、モビリティ分野だけでなくそれ以外の分野も考えています。モビリティは動くものという定義で見ると様々な用途がありますし、特に小型のものでは、ロボット型等の用途を考えるお客様もいらっしゃいます。また用途によってタイプの異なる電池が必要になる場合もあります。TDKは従来からパウチ型の電池を手がけていますが、角型や円筒型といった電池を使いたいという要望もあります。CATLとの合弁会社によって製品ラインアップを拡大する中で、より多くの事業機会を持てると考えています。