[ 2017年3月期 第3四半期 決算説明会 ]Q&A
- Q1. 高周波部品事業の一部がカーブアウトされたあと、今期から来期にかけて利益面でどのような影響があるのか教えてください。
- A1. 今回の業務提携に基づき、カーブアウト後に年間数十億円のフィルターフィーが入ってくる見込みです。またJVに移管されない高周波部品事業も利益率の高い事業ですので、高周波部品利益のすべてがなくなるわけではありません。また、売却による穴を埋めるために、いくつか戦略的なアクションを取ってきております。来期以降どれくらいの収益が見込めるかについては現在試算中ですが、このアクションの1つは、センサ事業における戦略です。また、Qualcommとの業務提携におけるシナジー効果が想定されますが、これはレファレンスの増加等によって増える収益です。また、今まで増産を続けてきた二次電池事業は来期も堅調な推移をする見込みです。今期想定より上振れて推移しているHDDヘッド事業については、来期以降どれくらいの数量が見込めるかを慎重に見積もっております。
- Q2. 高周波部品事業のカーブアウトにより、4Qに譲渡益1,490億円の計上を見込んでいるとのことですが、それを除くと、4Qの営業利益が約100億円前後になると算出されます。実質的な営業利益が3Qの325億円から減少すると計算されますが、この点についてご説明をお願いします。
- A2. 通常3Q、4Qの時期は、特にスマホ市場における売上に大きく影響が出てきます。中国の旧正月の稼働減の影響も受けます。ただ、通常の4Qと比べて極端に利益が落ちるわけではなく、特別大きな要因はないと認識しています。
- Q3. 3Q、4Qの200億の減損を除いたベースで760億円を860億円に上方修正されたと思いますが、為替と実質的な要因に分けた場合の内訳を教えてください。
- A3. 100億円の上振れ分ですが、為替で60億円強の上振れ影響があると見ています。残りの40億円が実質の上振れです。この実質の上振れ分は主に3Qに出ており、その要因は、主にHDDヘッドの数量が当初見通しよりも増えている影響です。さらに、Hutchinsonの連結取り込みに関連する費用が、想定より3Qは若干少なかったことが記録デバイスの上振れ要因です。また、二次電池についても、今期の売上自体は実質ベースでほぼ見通し通りで着地していますが、利益は稼働の部分で多少上振れた状況で、通期の上振れ分がこの3Qで大体出ているイメージです。4Qは、為替を除けば見通しよりも売上は若干落ちますが、利益についても実質的には若干当初見込みよりも落ちるイメージです。3Qで上振れ、4Qで若干下振れ、結果的には通期で40億円上振れるというイメージです。
- Q4. 譲渡益1,490億円の計算根拠を教えてください。
- A4. 譲渡益の1,490億ですが、基本的に23.5億ドルが事業の対価です。今回の譲渡益のベースになるのは、100%の株式譲渡分に相当する利益ですが、キャッシュは51%しか譲渡しませんので、入ってくるキャッシュは12億ドル相当です。利益については、100%の売却に対して、売却する資産価値との差が1,490億円です。ただ、以前にも申し上げましたとおり、契約してからの設備投資についてはリカバーされることもあり、それらは売却収益に追加されるともに、現金の受け取りについてもその分がプラスアルファで入ってくるイメージです。
- Q5. 200億の減損の中身について教えてください。構造改革は既に完了しているという認識でいたのですが、改めてこういったものが出てきた背景や判断についてもう少し教えてください。
- A5. 200億円の減損についてですが、2年前には大きな減損はない前提で進んでおりました。ただ、戦略アクションとして、戦略成長製品に対して大きな成長投資をしている傍ら、既存製品に対しても大きな事業転換を進めています。まずHDDヘッドについては、かねてよりご説明していますように、ウェハーの拠点をアメリカに集約します。国内については、TMRセンサの工場に転換していく計画で進めております。ただ、国内拠点のHDDヘッドの生産が期初の想定より非常に速く進んでおり、国内で採用していたモデルが急速に収束しております。当初はソフトランディング的に転換していこうとしておりましたが、ここで急速に収束していることを考慮し、ここで一度HDDヘッドとしてのウェハー拠点の減損を行って、センサに切り替えるという会計処理を想定しております。さらに、金属磁石については2年ほど前に一度減損しましたが、HDD市場の落ち込みの影響が厳しいと認識しております。風力向けは、現在は量産承認が取れています。自動車の承認も取れ、これから事業は拡大していく方向ですが、ちょうど端境期でもあり、拠点の多さやプロセスが分断されているという既存の製造構造が原因で、なかなか収益が上がりません。今後、再生を図っていくことを見据えながら、既存の構造は一度減損を見込まざるを得ない状況であると判断しました。また、アルミコンデンサは自動車分野が非常に強く、収益性はありますが、インフラ系、特に原油の掘削機用のモーターや再生利用可能性エネルギー用のモーターなどは非常に景気に左右されております。現在の市場環境に対して、保有する生産能力が過剰になっており、その修正が今回発生している要因です。
- Q6. 200億円の構造改革の成果を、来期どれくらい見込まれているのかをお聞かせください。
- A6. 年間で約40億から50億円ほどの効果を見込んでおります。拠点の再編整理による償却費の減少です。
- Q7. 今回のQualcommの件で、来期一過性の費用はありますか?また、InvenSenseの償却費用は、来年の中盤以降、どれくらいのマイナス面として見ておくべきでしょうか?
- A7. まずQualcommの一過性の費用についてですが、来期以降営業利益では基本的にありません。JVの販売に応じたローヤルティ収入が中心です。InvenSenseについては、PPA(Purchase Price Adjustment)を算定した後に償却すべき費用が明確になりますので、厳密な数値はまだ分からない状況です。基本的には無形資産が一度償却対象の資産に上がると見ています。具体的なフェアバリューや無形資産の耐用年数の設定によって年間の償却費が決まりますので、ここでは回答を控えさせていただきます。
- Q8. InvenSenseの慣性センサの事業をどのように組み立てていくのでしょうか?
- A8. 慣性センサの競合他社はありますが、InvenSenseはその中でも6軸のコンボセンサ、9軸のコンボセンサを世界で最初に出した実績があります。このあたりの技術的な優位性を存分に発揮することによって、IoTにおいてはモバイル用途だけではなく、ドローンを中心とした分野へも進出し始めているところです。また、当社の自動車ビジネスの充実したネットワークに乗せることによって、非スマホ分野を拡大していきたいと考えております。マイクに関してはInvenSenseとTDK双方で進めております。マイクもモバイルだけではなく、車載向けやIoTなど様々な分野へ需要の展開が見られるので、両社のリソースを合わせることによって、それらの他分野でも事業を拡大させていく考えです。加えて、InvenSenseは現在ファブレスですが、当社はファブを持っております。ファブレスとファブを融合し、コスト的にも相乗効果を出すことによって、競争力のあるマイクでも市場にソリューションを提供していきたいと考えております。さらに、センサフュージョンも将来的には大きなポテンシャルと見ておりますので、そこにInvenSenseのソフトウェアの技術を乗せ、センサソリューションで中長期的にビジネスを拡大させる戦略を取ってまいります。また、当社は、買収したMicronasのホールセンサや既存の温度センサ、圧力センサ、TMRセンサなども保有しています。非光学式センサはすべてカバーすることになりますので、InvenSenseと融合させ、トータルで事業を展開していこうと思っております。
- Q9. InvenSenseのセンサでは、車載向けに着手し始めているということでしたが、自動車のどういったところにInvenSenseのセンサを組み込んでいくと考えていますか?
- A9. 車載では、まずジャイロセンサ、加速度センサが中心になっていくと見ております。スタビリティコントロール、ロールオーバーコントロールといった、車の安定化に関わるセンサです。安全用途に対して、このInvenSenseの慣性センサが大きなポテンシャルの1つと考えております。これらのアプリケーションにInvenSenseのセンサのみならず、当社のセンサも入れ込んでいきたいと考えております。
- Q10. TDKは国内でMEMSマイクを作っていますか?旧来のHDDヘッドの工場で作っていますでしょうか?MEMSのセンサはパッケージが重要と思います。パッケージのリソースについて教えてください。
- A10. 現在、マイクロホンの前工程は甲府で、後行程は中国で行っております。当社グループであるEPCOSがMEMSベースのセンサ用のパッケージ技術を持っています。今後もこれらの技術を総合的に活用し、競争力をつけていく所存です。
- Q11. 4Qのセグメントごとの売上イメージを教えてください。
- A11. 3Q、4Qにおいて受動部品セグメントが全体の約11%、磁気応用製品セグメントが約10%、フィルム応用製品セグメントが約40%で、全体で20%弱減のイメージです。為替は3Qが109円、4Qが110円の想定ですから、ほとんど影響はありません。
- Q12. 3Qから4Qの製品別の動きの中で、電池がマイナス40%、受動部品がカーブアウトを除いて11%と、受動部品の動きが想定より少し弱いという発言がありましたが、北米や中国がどういった状況になっているのかを教えてください。
- A12. 4Qについては、当初見ていたより北米は若干弱く入っており、韓国も若干弱めです。中国は、一部のお客様で、3Qが当初よりも部材等の影響で落ちましたが、そのリカバリーもあって、4Qは前回よりも若干プラスのイメージです。これは受動部品、二次電池でも同じような傾向です。
- Q13. 受動部品とフィルム応用製品の3Qから4Qにかけての売上ガイダンスですが、本当に先程の説明にあったような低下になるのでしょうか?特にフィルム応用製品の40%減が大きく見えますが、このマイナスを地域ごとにどのように組み立てていますか?また、その数字は保守的なスタンスで組み立てているのでしょうか?
- A13. 二次電池については、韓国は3Q、4Qでそれほど大きな変動はなく、その次に中国、一番大きい減少は北米と見込んでおります。多少、保守的に見ているところもありますが、通常4Qは入れ替わりの時期であるがゆえの減少がございます。
- Q14. Hutchinsonの統合に伴う下期営業利益への影響は、PPA含めて30億あるいは40億と見ている、と上期決算時におっしゃっていましたが、3Qの実績、4Qの見込を教えてください。
- A14. 上期決算時に、Hutchinsonの連結業績で下期に約10億の赤字を取り込むとお話ししたと思いますが、それはほぼ見込み通りです。また、リストラクチャリング関連費用で約10億とお話しましたが、リストラクチャリングを3Qに実施し、費用は約5億円でしたので、当初想定より減少しました。HutchinsonのPPA償却費についてはフェアバリュー算定中のため、まだ具体的には出ておりませんが、こちらも当初想定より減少する見込みです。
- Q15. HDDヘッドの前工程を北米に集約して、国内の工場でセンサを生産する取り組みを今期から始めていらっしゃいます。当初の予定ですと、約2年かけて来期末頃にHDDヘッドを収束するイメージでしたが、この見通しは変わっていますか?また、今期は移設費用や国内工場の稼働率が低いことに伴う費用が発生しましたが、国内の工場がセンサの工場として立ち上がって、収益に結びついてくるタイミングはいつ頃と想定していますか?この一過性の費用のマイナスがプラス側に変わっていく見通しがあれば教えてください。
- A15. HDDヘッド用ウェハーの生産はまだ続けており、来期も継続するという前提です。ただ、その先はお客様とのモデルの関係もありますので、2年後以降はその時の状況によると考えています。ただ、中期は国内工場の稼働が落ちて厳しいという状況は確かにありますので、それを見据えてセンサの自動車分野及びICT分野における承認活動を進めており、既に承認をいただいているものもございます。来期はまだ厳しい状況かと思いますが、再来期以降は収益を立て直していくと見ております。
- Q16. HDDヘッドは減損があるものの稼働するため、利益が出るということでしょうか?
- A16. そのとおりです。基本的にHDDヘッドのウェハー設備は、今回減損を見込んでおります。