
サステナビリティ | 社会責任ある鉱物調達
TDKのアプローチ
コンゴ民主共和国(Democratic Republic of the Congo:以下、DRC)および隣接国産の鉱物が、武装勢力の資金源となることへの懸念から、2010年7月に成立した米国金融規制改革法に紛争鉱物条項が盛り込まれました。最終規則が2012年8月に採択されたことを踏まえ、TDKは、2013年4月に、TDKグループの「紛争鉱物」に関するポリシーを制定し、OECDデュー・ディリジェンス・ガイダンスに沿った取り組みを行ってきました。 近年、紛争のみならず、深刻な人権侵害または環境汚染への加担を抑制するため、紛争地域および高リスク地域原産の鉱物など責任ある鉱物調達の対象が広がっていることを受け、2019年1月には、TDKグループの「責任ある鉱物調達」に関するポリシーに改定。紛争だけでなく、OECD Annex IIリスクを含む人権侵害や環境破壊などのリスクや不正に関わるタンタル、錫、タングステン、金、コバルト、マイカなどの鉱物問題に対し、サプライチェーン全体で責任ある鉱物調達を推進することを定めました。
関連情報
体制
お取引先様への調査を本社資材機能、お客様への回答を本社品質保証機能がそれぞれ主管し、グループ各社にて調査回答体制を構築して対応しています。
2021年度目標と実績、評価と今後の取り組み
2021年度目標 | 実績 |
---|---|
3TG(タンタル、錫、タングステン、金)に関してRMAP※適合製錬所からの調達が確認されたサプライヤー比率92%以上 | 93.6% |
お客様回答件数のモニタリング | モニタリング実施 |
※Responsible Minerals Assurance Process の略称で、製錬所/精製所の管理システムと調達慣行を独立した第三者機関の評価を使用して、責任ある鉱物調達への適合性を検証するプログラム。
評価と今後の取り組み
2021年度も、お取引先様に対して、RMAP適合製錬所からの調達を引き続き要請し、確認できていないお取引先様に対しては、最大限の努力をお願いしました。その結果、ロシアによるウクライナ侵攻等社会情勢の急激な変化があったものの、RMAP適合製錬所からの調達が確認されたサプライヤー比率は93.6%と目標を達成しました。
2022年度も、グループ共通のKPIとして「3TGに関してRMAP適合製錬所からの調達が確認されたサプライヤー比率92%以上」と「お客様回答件数のモニタリング」を設定し、グループ一体となった取り組みを継続して進めていきます。具体的には、お取引先様に対する要請を継続するとともに、お客様からの問い合わせ対しては、適宜回答していきます。また、拡大する責任ある鉱物調達の課題解決には、業界団体との連携が不可欠であるため、引き続き参画していきます。
2022年度目標 |
---|
3TGに関してRMAP適合製錬所からの調達が確認されたサプライヤー比率92%以上 |
活動事例紹介
■リスク特定のプロセス
-グループ各社における、調査の実施とConflict-free化推進
リスク特定措置では、OECDデュー・ディリジェンス・ガイダンスに沿った取り組みを行ってきました。調査では、回答の合理性を担保するため、責任ある鉱物調達イニシアチブ※(Responsible Minerals Initiative:RMI)が発行している紛争鉱物報告テンプレート(Conflict Minerals Reporting Template:CMRT)を使用し、3TG含有の有無、製錬所の特定の確認を行います。CMRT回収後、RMIのSmelters & Refiners Listsと照合し、生産材に含まれる紛争鉱物が、武装勢力の資金源となるリスクや児童労働を含む人権侵害となるリスクの評価を行います。
2021年度もグループ各社にて調査を実施し、Conflict-freeが確認されたサプライヤー比率は93.6%となり、目標の92%以上を達成しました。
また、お客様からの要請に対し、適宜対応し、回答件数のモニタリングを実施しています。
- 世界で400以上の企業や団体が加盟する、責任ある鉱物調達に関する取り組みを主導している団体。
関連情報
-コバルト/マイカ調査
コバルト調査:
2019年よりRMIが発行したコバルト報告テンプレート(Cobalt Reporting Template:CRT)を使用して、製錬所の特定を進めています。
マイカ調査:
2021年10月に発行された拡張報告テンプレート(Extended Metals Reporting Template:EMRT)を使用し、マイカのプロセッサーの特定を開始しました。
■是正プロセス
-特定されたリスクへの対処
調査依頼時には、RMIのコンフォーマントスメルター(Conformant Smelter & Refiner Listsにある製錬所)を採用いただくよう、お取引先様に自社の方針を表明しています。調査の過程で、リスクが発見された場合は、お取引先様に当該製錬業者をサプライチェーンから外していただくよう要請します。
■業界団体と連携した課題解決の推進
責任ある鉱物調達の問題解決には、サプライチェーン全体で取り組む必要があります。TDKは、2020年2月よりRMIに参加するとともに、JEITA(電子情報技術産業協会)「責任ある鉱物調達検討会」に発足当初から参加しています。
2021年度は以下の取り組みに参画しました。
- 「啓発・広報チーム」に参画し、二次サプライヤー以降の方への責任ある鉱物調達の問題への認識と調査方法の理解を目的に、責任ある鉱物調達調査説明会をオンラインで実施し、運営に協力。
- 自動車企業との共同ワーキンググループ(コンフリクトフリー・ソーシング・ワーキンググループ)に参画し、調査マニュアルおよびツールへのフィードバック実施。
- RMIのCMRT改定検討に関する意見募集への提案実施。
- 「データ転送標準化対応チーム」のリーダーとして、マイカへの対象鉱物拡大を踏まえた関連業者ヒアリング、責任ある鉱物調達のデータ交換規格、「IPC-1755」改定案作成およびこの規格を反映した、EMRTの作成支援を実施。加えて、今後の多鉱物化対応を踏まえた、JEITA内意見とりまとめおよびRMIへの意見出しを実施。