
サステナビリティ | 社会ダイバーシティ&インクルージョン
- TDKのアプローチ/ダイバーシティ&インクルージョン方針
- 体制
- 2021度目標と実績、今後の取り組み
- 活動事例紹介
- 多様な働き方とワークライフバランス
- 一人ひとりのポテンシャルを最大限に引き出すための仕組み/人事諸制度【TDK株式会社】
TDKのアプローチ/ダイバーシティ&インクルージョン方針
TDKグループは、グローバルに事業展開する多数のグループ企業から形成されています。 多様な個性を持つ従業員が能力を発揮できる環境を整備することで、革新的な創造を生み出し続けていくことが、企業成長を実現していくためにも重要と考えています。2020年4 月には、TDKダイバーシティ&インクルージョン方針を策定しました。
TDK ダイバーシティ&インクルージョン方針
TDKが「創造によって文化、産業に貢献する」という社是を実践・実現していくためには、多様な個性を持った従業員の存在が必要不可欠です。エレクトロニクス、エネルギー、素材やセンサーなどTDKの製品やソリューションは多岐にわたり、世界中で日々の生活をより良くすることに役立っています。TDKの従業員がこれらの製品やソリューションを創造し、設計し、開発し、製造して、人々に届け、私たちがこれからも社是を実践・実現し続けていくためには、グローバルに広がる仲間の多様な文化や規範、視点、言語、アイデア、スキル、経験を受け入れ活かすことこそが鍵になると考えています。
TDKは、世界中に広がる個性溢れる従業員の力を最大限に活かし、会社と社会、双方にとって最大限の価値を生み出せるようTDKダイバーシティ&インクルージョン方針を制定しました。TDKグループの従業員同士のつながりを強固にし、考え方や経験の交流を活性化することで、個の能力を育みます。
TDKグループ企業倫理綱領の通り、TDKは従業員の個性を尊重することを宣言しており、合理的かつ公平な人事制度や処遇を整えています。文化、国籍、年齢、性別、社会的背景、宗教、信条、人種、性的指向、障がいの有無や性格など従業員の多様性はTDKの成功に欠かせない大きな原動力です。
現在までに、
- TDKは日本で創業し東京に本社を構えていますが、全従業員の大多数は日本以外で働いています。
- TDKはさまざまな国で働く多様な文化的背景を持つ従業員によって構成されています。
- TDKにはあらゆる年齢層の従業員が在籍しています。
- TDKでは女性が重要な役割を果たしています。
- TDKではコミュニケーションやコラボレーションをリードする能力を向上するためのプログラムを継続的に実施しています。
多様な個性を持つチームは、異なるアイデアや意見を受け入れ、お互いの意見に耳を傾けることで個の成長を後押しし、高品質な製品やソリューションを生み出します。私たちはあらゆる人々から成る多様性の溢れる組織を築き上げることをここに宣言します。
(2020年4月)
体制
人事教育機能が主管し、地域ごとの状況に応じた活動を推進しています。
ダイバーシティ推進部発足
2020年10月、人財本部国内人財開発統括部に「ダイバーシティ推進部」を創設しました。
TDKが社会から必要とされ、期待され続ける企業であるために、世界中の従業員が性別、世代、国籍、民族に関係なく、お互いを尊重し合い、自由闊達に意見をぶつけ合える風土の醸成にこれからも努めてまいります。その第一ステップとして、あらためて日本の女性の活躍推進に取り組みます。これまでも女性が働きやすくなるための環境整備は進めてきました。残る課題は、「働きやすさ」から「活躍」のステージへの移行です。日本の女性が持っている能力、価値観、可能性を会社がさらに引き出し、事業に取り入れ、TDKの成長につなげていきます。
また、そのマイルストーンとして、創業100年にあたる2035年に目指す女性の管理職比率を下記の通り設定し、活動を実行することとしました。
目標:2035年 女性管理職比率 15%
関連情報
2021度目標と実績、今後の取り組み
2021年度目標 | 実績 |
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ダイバーシティ推進の意義浸透のため、国内管理職への啓もう活動実施 | TDK株式会社 管理職全員を対象に活動意義を共有するワークショップを193回開催。対象者の98%が参加。 |
ハラスメント防止対策の実施 | ハラスメント防止のためのコミュニケーションセミナーを開催。秋田地区から実施し、対象者の98%受講。 |
女性社員へのキャリア開発教育の実施 | 女性係長職へのキャリア開発教育を展開。外部NPO法人への派遣、メンター制度の実施、女性係長職へのキャリア開発セミナー実施。 |
今後の取り組み
2022年度目標 |
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管理職を対象とするハラスメント防止のためのコミュニケーションセミナーを全社展開。一般社員向けにeラーニングを実施。 |
2021年度同様に女性係長職人材をNPO法人に派遣、メンター制度実施、キャリア開発セミナーを展開。さらに女性一般職へのキャリア開発セミナーも展開。 |
活動事例紹介
多様なバックグラウンドを活かして働く従業員の声
ユニークなキャリアを活かしてドイツとコワーク
私の経歴は少々変わっています。大学卒業後「男女関係なく働きたい」と、公務員として成田空港の入国審査官になりました。4年後コスタリカへ留学、南米で出会った夫との結婚を機に帰国したものの、出産、育児で6年間は専業主婦の経験も。育児が落ち着いたころ、語学力を活かせる仕事が当時住んでいた富山県にはなく、メーカーで品質管理の職を得ました。技術系でもない私に業務指導はほとんどない!(笑)でも元来の負けず嫌いの性格から、指導を仰いで品質管理のスキルを身につけました。
40歳を過ぎ、その会社では女性の昇格や職域拡大が難しいことに悩んでいたところ、故郷の秋田でTDKが品質保証での求人をしていることを知りました。チリ人のおおらかな夫も3人の子供も私を応援してくれ、家族で秋田へ。「不安はなかったのか?」と聞かれますが、品質保証の原理原則は同じ、「変化が好き」な性格も幸いし、思い切りました。入社数年は苦労もしましたが、「新人だから何でも聞ける!」と考え方をシフト、現場で人を捕まえては教わることを繰り返すうちに工場に馴染み、現在はにかほ工場南サイトでドイツのグループ会社に輸出する製造装置の開発・販売に携わっています。人が好き、変化が好きな私に、この仕事は大変魅力的です。子供も成長した今は長期間のドイツ出張もこなせます。手がけた装置の輸出は娘を嫁に出すような気持ちです(笑)。
こうした道を歩めたのも、今の上司をはじめ、TDKが私を成果で公平に評価してくれたから。男女関係なく能力を見てくれることは大きなやりがいとなりました。グローバルに事業展開するTDKなら、秋田の地でも海外と仕事ができることも魅力です。最近もドイツのグループ会社向けに開発した製造装置の搬入に立ち会いました。ドイツの社員たちともっとコミュニケーションができたら仕事も成果を上げられるし、何より楽しいだろうなと、ここ数年ドイツ語の勉強もしています。夢は自分の可能性をもっと広げること。TDKで得たチャンス、自分がどこまでできるかチャレンジしたいです。
TDK株式会社
生産技術本部
生産技術センター装置化推進部
政策推進1課
白木 洋子
多様な働き方とワークライフバランス
TDKでは、多様な個性を持つ従業員が能力を発揮できる環境を整備することが、革新的な創造を生み出し続け、企業成長を実現していくために重要だと考えています。多様で柔軟な働き方が選択できる環境や仕組みを整え、ワークライフバランスの実現を支援することもその環境整備の一つです。
多様な働き方とワークライフバランスを支援する制度の例(TDK株式会社)
在宅勤務制度・スーパーフレックスタイム制度
働く場所や時間に柔軟性を持たせ、従業員の多様で柔軟な働き方を実現する制度を整備しています。なお、スーパーフレックスは、コアタイムなしに従業員一人ひとりのニーズに合わせて、就業時間を自由に決められる制度です。
出産・育児支援制度
「産前産後休暇」「育児休業」「育児短時間勤務」など、仕事と家事・育児の両立を支援するための制度を整備しています。「育児休業」は原則、子どもが1歳になる誕生日前日までを期間としていますが、父母がともに育児休業を取得する場合は、子どもが1歳2ヶ月に達する日まで育児休業を取得することができます。(ただし、父母1人ずつが取得できる休業期間の上限は1年間)「育児短時間勤務」は原則、子どもが小学校3年生の学年末に達するまで利用可能で、複数の勤務時間パターンを用意しています。さらに、育児・介護関連サービス利用料の援助も行っています。
介護休業
勤続1年以上で継続就業の意志がある従業員を対象に、配偶者、実(養)子、実(養)父母、実(養)祖父母、兄弟姉妹、孫、および配偶者の実(養)父母の介護が必要になった時、対象家族1人につき、常時介護を必要とする状態に至るごとに3回の休業(通算して1年以内)を取得できる制度です。
再雇用制度
定年退職者を再雇用する従来のTDK再雇用制度を改正し、2017年4月から、新たにセカンドキャリア制度として運用を開始しています。この制度は、高齢者の方々が有している知識や経験を、より一層有効活用するとともに、高年齢者雇用安定法の改正への対応という、企業としての社会的責任を果たすことを目的としています。また、国内の関連子会社においても、同様の制度を導入し、定年退職者の再雇用を実施しています。
さらに、2017年10月より「ウェルカムバック制度」を導入し、出産や育児、家族の介護等やむを得ない事情で退職した従業員を再雇用する仕組みを整備しています。
配偶者転勤に伴う働き方の選択
2017年10月より、「配偶者国内転勤同行制度」、「配偶者海外転勤休業制度」を新たに導入しています。これらの制度では、配偶者の転勤に伴い現在の職場で働き続けることが困難になった場合でも、配偶者とともに転勤、あるいは休業を選択することが可能になり、従業員のさまざまなライフイベントに合わせた働き方の選択肢を用意し、TDKで安心して働き続けられることを目的としています。
出産・育児支援制度を利用した従業員の声
育児休業は成長休業
初めて子供が生まれたときに、近隣に身寄りがおらず、妻に初めての育児の不安や負担をかけることに悩んでいたところ、同期の男性が育児休業を取得したことを聞いて「ならば自分も!」と取得を決めました。 社会人になってから初めての長期休業。もちろん育児には取り組みますが、せっかくならもっとポジティブにこの休業を活用したいと考え、「100食料理をする」「X線回折基礎の学習」を自分に課してみました。社会人になって夢中になったことの一つが結晶学だったのですが、理解を深めるために基礎的な教科書を読みこみ、育休中に存分に勉強できる贅沢感を味わったのは、今ではいい思い出です。
一方で、「ママってすごい」と気づけたことも大きな収穫でした。抱っこ紐で赤ちゃんを背負って買い物し、大きな荷物を抱えて歩く姿、凄すぎます。夜泣きで毎晩起こされる妻が不憫だったので、自分が子供と一緒に寝るようになりました。妻の精神衛生が保たれたと思っています。
周囲から耳に届いたのは全て良い反応でした。先輩ママさん社員から「頑張って!楽しんで!」と言っていただいたり、同期からは子供用のおもちゃや絵本などを頂いたりなど。地域の赤ちゃんサロンに出掛けると、集まった方々からは「男性も育児休業を取得しやすいなんて、いい会社ですねー!!」とうらやましがられることしきりでした。
男性が取得を迷っているなら、私はもちろん勧めます。男性が長期休業を取得することについては「周囲に迷惑をかけるのでは」「キャリアに悪影響を及ぼすのでは」等の不安から、取得のハードルが高いことは良く知っていますが、取得してみた実感としては、デメリットはほとんどなかった、ということです。育児・家事の大変さを実感した一方で、日々成長するわが子と毎日向き合えた期間は他に代えがたいほどの幸せでした。それに勉強する贅沢な時間も作れ、今後の仕事にも好影響だったと考えています。自分がこんなに充実した育休を過ごせたのは部署の方々の理解あってのこと。個人的には、育休取得者を輩出した部署に何かしらのリターンがあってもいいのかな、と思います(自分もリターンできるよう頑張りますが)。
最近嬉しかったのは、元同僚の男性社員が私に育休の相談をしてくれ、実際に育休を取得したということです。今後も育休取得によって、子供にたくさんの愛情を注げる環境が増え、自分も会社もWIN-WINになれればいいなと思います。
TDK株式会社
技術・知財本部
評価解析部
素材解析室
永峰 佑起
人権尊重・機会均等への取り組み ~ダイバーシティ・アクション推進プラン~
TDKは、企業倫理綱領の中で人権の尊重と差別の禁止に関する項目を定めています。 具体的な人権尊重、機会均等への取り組みとしては、従業員への啓発教育の実施、ヘルプライン等の専用相談窓口の設置、育児・介護に関する諸制度(育児休業制度、介護休業制度、短時間勤務制度等)を整備しています。 こうした働きやすい環境の整備や、仕事と生活が両立できる働き方を推進した結果、当社は2014年度に、東京労働局長から次世代育成支援対策推進法に基づく「基準適合一般事業主」としての認定を受け、次世代認定マーク(愛称:くるみん)を取得しました。
今後も、従業員にとって利用しやすい制度となるように適宜、制度を見直していくとともに、社会動向を見極めながら、従業員のニーズに合った新たな制度の導入を進めていきます。
一人ひとりのポテンシャルを最大限に引き出すための仕組み/人事諸制度【TDK株式会社】
TDKは、従業員一人ひとりが意欲的にキャリア開発を行い、その能力を十分に発揮できるよう、さまざまな制度を整えています。
社内公募制度
人材募集の情報を社内掲示板に掲示し、希望者は上長を通さず、人事部門に直接応募が可能なアクティブ社内公募制度を2000年から導入しています。目的は「TDKグループにおける事業編成の変化や求める人材の変化にタイムリーに対応し、グループ全体での適材適所を促進すること」と「自分自身のキャリア開発に意欲的に取り組む意思と能力のある従業員に、キャリア形成のチャンスを提供すること」です。 2021年3月までに226 人が合格し、異動が実現しました。
キャリアオプション制度
2006年1月から、前述の社内公募制度に加え、従業員自らが希望する部門・職務に異動するチャンスを得られるキャリアオプション制度を導入しています。この制度は、従業員に自らのさらなる成長とTDKの発展に貢献したいという強い意欲を持ってもらい、さまざまな角度から自身のキャリアプランを見つめ直す場を提供することを目的としています。
自己申告制度
従業員一人ひとりのキャリア開発、能力開発のサポート、職務と人のベストマッチングを目的として、自己申告制度を実施しています。これは、年1回、自分の希望する職務や勤務地、現職務の満足度等を人事部門へ直接申告することができる制度です。また、面接を希望する従業員には、人事担当が面接を行い、申告内容を直接確認しています。
従業員と人事部門が定期的に対話を行うことで、従業員自身が自己のキャリアについて真剣に考えるとともに、希望する職場への配属や必要とする教育訓練の受講につなげるなど、従業員自身のキャリア形成に役立てています。
事業創造 提案制度
TDKは、東京工業大学電気化学科で発明された「フェライト」を工業化するための「ベンチャー企業」として設立されました。「新しい事業・製品・アイデアを創造して、その実現に向かって果敢に挑戦し、文化産業に貢献すること」は、TDKが継承していくべき理念と考えています。挑戦をサポートする仕組みとして、2015年4月から「事業創造 提案制度」を導入しました。この制度は、TDKの企業価値向上につながる新事業に対して、必要なリソースを提供し、社内ベンチャーの立ち上げを支援するものです。あわせて、事業プランの立案をサポートするための新事業創造研修も開講しました。