サステナビリティ | ガバナンスリスクマネジメント

ガバナンス

TDKはグループの事業活動における重要なリスクを的確に把握するとともに、万一リスクが顕在化した際にはグループ事業への影響の低減に向けて適正に対応する体制を構築しています。持続的成長を目指す上で、組織目標の達成を阻害する要因(リスク)に対し、全社的に対策を推進し、適切に管理する全社的リスクマネジメント(ERM)活動を実施するため、社長執行役員CEOが指名した執行役員を委員長とする経営会議直接管理の委員会であるERM委員会を設置しています。同じく、経営会議直接管理の委員会としてサステナビリティ委員会(2025年4月新設)、コンプライアンス委員会、危機管理委員会、情報セキュリティ委員会、情報開示委員会を設け、各課題の対策・対応を行っています。いずれも委員長は、執行役員が務めています。(個別リスクのリスク管理の組織体制については、「リスク管理」欄を参照ください。)
ERM委員会は、有価証券報告書にて開示している事業等のリスク(2025年3月期は19リスク)を含む、ERM活動により評価・特定した重要なリスクについて取締役会へ報告しています。ERM委員会、コンプライアンス委員会はそれぞれ年2回その活動について取締役会に報告することで、取締役会の監督を受けています。また、内部監査部門である経営監査グループは、委員会の会議にオブザーバー出席し、委員会の活動をモニタリングしています。さらに、委員会委員長へのインタビューを含む常勤監査役による監査も実施されています。

教育と啓発

リスクマネジメントへの意識を高め、より正しい理解を深めるために、外部有識者の講演会を含む取締役、経営陣およびチームメンバー(従業員)向け教育を継続的に行っています。

  • 地政学リスクに関する外部有識者講演会(全取締役、監査役向け)
  • eラーニング

ERM(Enterprise Risk Management)委員会

ERM委員会では、全社のリスクの分析・評価を行い、対策が必要なリスクを特定するとともに、リスク対策を主導するリスクオーナー部門の割当等、全社的リスクマネジメントを推進しています。個々のリスクに対しては、割り当てられたリスクオーナー部門がリスク対策の実施を主導し、その対策状況については、委員会にてモニタリングを行います。委員会によるリスク評価結果や重要なリスクの対策状況については、経営会議において審議し、取締役会に報告しています。
企業の社会的責任に関するリスクや、気候変動に関するリスク、人財獲得と人財育成に関するリスクなど、サステナビリティに関連するリスクについても、リスクオーナー部門の割当および担当執行役員の任命を行っています。

リスクマネジメント活動の詳細および主要なリスクについては、こちらをご覧ください。


なお、米国の中国製品以外を対象とした関税引き上げ検討のリスクを直近の新興リスクとして認識しています。(対象国、対象製品が予測できないため、TDKグループへのインパクトは評価できません。TDK製品に対する米国輸入関税の引き上げに対しては、物流の変更や、顧客への売価への転嫁を行うことで、インパクトの低減を図ります。)

コンプライアンス委員会

コンプライアンスに関するリスクマネジメントの統括と、取り組みの高度化を目的としたコンプライアンス委員会を通じて、法令違反等の未然防止や再発防止の強化を推進しています。コンプライアンス委員会は、全社的なコンプライアンス活動方針および計画の承認、コンプライアンスに関してTDKグループが重点的に取り組むリスクの選定、個別のリスクのリスクオーナー部門への割当、リスクオーナー部門に対する指示およびモニタリングを行っています。

危機管理委員会

企業の存続や発展を阻害するような重大な災害・事故・事件(自然災害・火災等事故・感染症等)への事前の対策の実施と、事後の損害の軽減や拡大防止を目的に危機管理委員会を設置、活動しています。有事の際には迅速に全社危機対策本部を立ち上げ、まずはチームメンバーの安全確保を最優先に取り組みつつ、事業継続計画(BCP)に基づき、一刻も早い事業再開を実現してお客様への供給責任を果たしています。

情報セキュリティ委員会

顧客預り情報や個人情報等の重要情報を法令遵守のもと適正に管理し、サイバー攻撃に対する施策や内部からの情報漏えい対策を実施するとともに、TDKグループにおけるセキュリティ状況を監視し、攻撃を未然に防ぐよう努めています。また、攻撃を受けた場合は迅速に状況を把握、復旧し、対策を講じています。

情報開示委員会

証券取引に関する諸法およびTDKが株式上場する証券取引所規則に基づき、網羅性・的確性・適時性・公平性をもって適切な情報開示が行われるよう、株主および投資家の投資判断に係る重要な会社情報・開示書類を審議し精査しています。

戦略

TDKグループの長期ビジョン実現に向けて取り組む重要課題(マテリアリティ)の一つとして、「グループガバナンスの高度化」を挙げ、その一つのテーマとして“Empowerment&Transparency”を設定しています。
リスクマネジメントにおいて、この“Empowerment&Transparency”の考えに基づき、適切なリスクテイクの奨励(Value Creation)と、企業価値の棄損の防止(Value Protection)を行っています。

リスク管理

経営会議直接管理の委員会であるERM委員会が、リスクマネジメント活動における各組織の役割を明確化(下表参照)し、リスクの識別~評価、対策の検討~実行~モニタリング、改善までの一連のリスク管理活動のPDCAサイクルの推進を行っています。
リスクの評価として、毎期、これまでにとられている対策によるコントロール後の残余リスクについて、経営リソースの三要素(ヒト、モノ、カネ)、内部・外部ステークホルダーとの関係、レピュテーション、およびBCPの観点からTDKグループに対するインパクトの大きさを算定し、さらにリスクの顕在化する可能性との組み合わせにより、残余リスクヒートマップを作成し、リスクの対策優先度を可視化・評価しています。また、重要リスクの評価結果や対策状況については、経営会議において審議し、取締役会に報告しています。また、期中においても、ヒートマップの妥当性について1回以上検証し、必要な場合は残余リスクの評価の見直しを行っています。

リスクマネジメント活動における各組織の役割

業務執行部門
(ビジネスグループや子会社など)
リスク管理の第1線として、日々の業務におけるリスクの特定と必要なリスク管理を実施
グループの本社機能を担う部門 リスク管理の第2線として、担当するリスクに関するグループ全体でのリスク管理活動を行うリスクオーナーの役割を担い、第1線におけるリスク管理が適切に行われているかをモニタリングするとともに、必要な支援、指導、協働を実施
内部監査を担う経営監査グループ 業務執行部門(第1線)、本社機能(第2線)およびERM委員会によるリスク管理活動についての内部監査を実施

取り組み

上の「リスク管理」の欄に記載した活動を実施するため、ERM委員会の事務局は、毎期TDKグループが直面しうるリスクとそのリスクシナリオを更新し、これまで実施された施策より残余リスクを評価しています。残余リスクの高いリスクについては、それぞれのリスクについてのグループレベルでのリスクオーナーである本社部門(各事業に特有の一部のリスクについては、ビジネスグループ)が、リスク発生の可能性やリスクの発現時の影響の低減への取り組み体制における脆弱性を自己評価し、その結果をERM委員会事務局と協議の上、脆弱性解消の施策を立案・実行しています。それ以外のリスクについても、各リスクオーナーがリスク発生の可能性やリスクの発現時の影響の低減の対策を立案・実施しています。

事業継続(BC:Business Continuity)

TDKは有事発生時のチームメンバーの安全確保と二次災害の防止、そしてお客様への供給責任を果たすための事業継続を目的とした危機管理体制を構築しています。グローバル災害の種類や原因事象によらない事業継続計画(BCP)を定め、有事においても優先業務を中断させず、仮に中断した場合にもできる限り速やかに再開できるよう、実効性を高める事業継続マネジメント(BCM)活動に注力しています。
具体的には、各事業部門における事業継続上の課題を抽出し進捗管理するBCM定例会の定期開催に加え、各事業や工場単位でさまざまなシナリオを想定した年間30回以上の定期的な演習・訓練を実施し、事業責任者によるマネジメントレビューを通じて、随時、BCPおよびBCM活動を見直し・改善しています。さらに重大有事を想定して社長執行役員CEOが陣頭指揮をとる全社危機対策本部の立ち上げ・設置・運営に関する演習を毎年継続的に実施しています。TDKは演習・訓練をBCM活動の中心的な施策と位置付け、今後も有事におけるレジリエンスを日々向上させていきます。

(実施例)2024年10月 全社危機対策本部 立ち上げ・設置演習

対策本部長(社長執行役員CEO)および代行者(副社長執行役員CFO)による課題認識の共有
対策本部の各班メンバーによる課題抽出と議論