サステナビリティ | 環境水資源への取り組み
基本的な考え方
途上国における経済発展や人口増加などによって限りある資源である水の利用に変化が生じており、世界規模な影響を及ぼすリスクの一つとして水の危機が挙げられています。TDKにおいて、水は生産活動において必要不可欠な資源であるとともに、水資源の枯渇や洪水などの影響を受けるため、水リスクの適切な把握と管理は重要事項です。
TDKではサプライヤー行動規範を定め、サプライヤーに対しても排水管理や水の効率的な利用に取り組むことを要請しています。
TDKは、地域社会やステークホルダーと協働し、持続可能な水利用の促進を図っていきます。
TDKでは製品の原材料から廃棄にいたるサプライチェーン全体を通して、環境負荷の少ない操業に努めており、森林資源や水資源の保護も同様に進めています。TDK安全衛生・環境憲章に則り、「地球環境との共生」を目指し、従業員一人ひとりが、生産活動にともなう環境への影響や企業活動と環境との関わりを考え、豊かな地球環境の保全に努めていくとともに、生態系保全への寄与を常に考え、積極的に取り組んでいます。
また、TDKは、事業特性を考慮した形で、TDKが注力するSDGsを特定しており、本業の技術開発を通じ、水関連問題を含めた各課題を解決していくという方針を明らかにしています。水関連の例では、Goal12「つくる責任つかう責任」に沿って、各種センサ類の開発を進めています。また、製造工程における取水量の削減も行っています。
ガバナンス
水資源への取り組みは、社長執行役員CEOを最高責任者とした環境マネジメントシステム(Environmental Management System:EMS)のもと、経営と環境のマネジメントが一体となった体制で活動を推進しています。水資源への取り組みを含め環境活動の計画や進捗状況、リスクなどについては、半期ごとに取締役会に報告を行っており、必要な場合は審議も実施します。
戦略
TDKグループ安全衛生・環境憲章のもと、水資源への取り組みに関わる国際ルール、各国・地域の法規制、業界団体の自主基準等の本質やその価値観を理解し、以下の3つの活動を中心として自主的かつ戦略的に取り組み、企業価値向上に努めます。
① 環境負荷低減製品・プロセスの開発
② リスク評価手法の最適化、リスク評価・管理強化
③ 情報開示と継続的対話
リスクと機会
サステナビリティ推進部門により定期的なリスクアセスメントが実施され、TDKグループのリスクが特定されています。水資源への取り組みについて適切に管理しない場合、地球、社会への問題を引き起こすことがあり、事業の継続が困難になります。
水資源への取り組みを推進することで、気候変動や生物多様性損失への対策も含めた持続可能な社会の実現に貢献します。それにより社会的信頼も得て事業の成長が期待できます。
リスク管理
世界的に水資源への取り組みを取り巻く科学・規制・社会のそれぞれの分野で起きているもしくは起こりうる課題を把握し、サステナビリティ推進本部が中心となり、リスクと機会を整理した上で、重要事項に優先的に取り組み、PDCAサイクルを継続的に回し改善を目指しています。
これらの活動は、定期的に経営会議・取締役会に報告しています。水資源への取り組みについては、全社リスクの中で管理されています。
指標と目標
2023年度の目標と実績
2023年度目標 | 実績 |
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水使用量(取水量)原単位 前年度比1.5%改善 | 前年度比 5.4%改善 |
評価と今後の取り組み
TDKでは、取水量を目標の指標としています。2023年度の総取水量は前年度比8.8%減少の15,179千m3、原単位は前年度比5.4%改善となり、目標を達成しました。当社の製品内に水が混載することは無いため、工程での消費量は洗浄の際の蒸発等ごくわずかとみています。
また、TDKグループの全生産拠点における水リスクに関しては、世界的な評価ツールであるWWF Water Risk Filter※1および世界資源研究所(WRI)が発表したAqueduct※2を用いてTCFDに沿った調査を行い、水ストレスの高い地域を特定し、対策を講じています。なお、調査の結果、水リスクが高いと判明した拠点のうちインドのある拠点の2023年度の取水量は、34千m3(TDKグループ総取水量の0.5%未満に該当)でした。
TDKでは、水効率改善の機会ならびに水リスクの特定をするためにグループ全体の水利用状況の監視、管理、および改善に取り組んでいます。引き続き、地域の水リスクと生産拠点における水利用状況に関する取り組みを継続的に実施し、効率的な水の利用に努めます。
※1 WWF Water Risk Filter:WWFとドイツの金融機関DEGによって開発された、水環境にかかわるリスクを調査、評価、および対応できるようにするためのツール。2012年に最初のバージョンが発表されて以来、世界中の企業や投資家から使用されており、主要かつ信頼性の高いツールとなっている。
※2 Aqueduct:2011年の開始以来、洪水、干ばつ、ストレスなどの水関連リスクについて、企業、政府、非政府組織(NGO)に情報を提供しており、水リスクに関するグローバルな基準となっている評価ツール。
2024年度目標 |
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水使用量(取水量)原単位 前年度比1.5%改善 |
取り組み
水使用量削減のための取り組み
TDKグループ全体の環境活動目標である、TDK環境ビジョン2035に向けた一つの活動として、取水量の削減目標を設定し、各拠点において、取水量の削減活動や水利用の効率向上、水のリサイクルに取り組んでいます。
例えば、TDKエレクトロニクスファクトリーズ株式会社 北上工場(日本地区 岩手県)では、地下水を汲み上げ、生産工程で用いるための純水を製造しています。製造品質を損なわないよう、設備の台数制御や水量調整を継続的に実施することにより取水の削減を行っています。
また、このような取り組みを推進するにあたり、従業員への意識啓発、環境教育を通じた節水意識の醸成にも取り組んでいます。
水リサイクルの取り組み
TDKグループの各拠点では、水の削減目標の達成に向け、リサイクル水や再利用水の活用などの積極的な施策を展開し、総取水量の削減および原単位改善に向け活動しています。
水のリサイクル方法は工場によって異なりますが、一例として、各工場で水再利用の目標設定を行い、工程内で水を循環させる等の対策を促進し工程内水使用量の試算を実施した結果を水の再利用として評価しています。
排水の管理
TDKグループの各拠点で排出される排水には、工程内で使用される化学物質などが含まれることから、工程新設や改造、変化に応じ工程から排出される排水の水質分析を行います。その分析結果に基づき含有される成分に対する排水処理方法を決定し、国や地域の条例を満足した水質基準になるよう処理が行える排水処理施設を設置し、基準を満たした排水として放流しています。