新電波暗室棟の完成、使用開始について
ISO17025に基づき、A2LA、NVLAP、VCCI、FCCの認定サイトとなる
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2010年6月1日
TDK株式会社(社長:上釜 健宏)は、2008年10月から当社テクニカルセンター(千葉県市川市)敷地内に電波暗室棟を建設してまいりましたが、このほど完成し6月より本格的な使用を開始します。
新しい電波暗室棟は、国内外を含め当社グループに設置されている暗室としては最大規模であり、10m法電波暗室、3m法電波暗室のEMC電波暗室、ならびにアンテナ測定用のマイクロ波・ミリ波電波暗室の3タイプの暗室を1棟に配置し、簡易的な測定も行えるシールドルームも含め合計7部屋で構成されます。本暗室棟は、複数の電波暗室とシールドルームを集結させた世界有数の施設です。
EMC電波暗室とは、電子部品をはじめ、デジタル家電、情報家電、自動車用電子部品などあらゆる電子機器・部品のエミッション(電磁妨害)およびイミュニティ(電磁感受性)を評価する施設です。ここで、エミッションの対策とは外部の装置への影響を及ぼす電磁妨害波を抑制することであり、また、イミュニティの対策とは外部の装置からの影響を受けて機器自体が誤作動することを抑制することにあります、これらを両立させることがEMC対策となります。EMC規格はCISPR※1やIECで定められており、規格に合格した電子機器、電子部品でなければ製品として認可されないため、EMC電波暗室はそれらの評価施設としてより重要なものとなりつつあります。
電波暗室は、外来電磁波の影響を受けないように電磁波シールドが施されており、室内に設置された電子機器・部品からの放射される電磁波が、シールド面により反射が生じないようにする目的で壁面に電波吸収体を配置しています。今回、完成した10m法電波暗室は、オープンサイトとのトレーサビリティーを極限まで追求し、世界でも類を見ない超高性能電波暗室です。ここで適用した新規電波吸収体の長さは250cmであり、通常適用される吸収体と比較して、2倍の長さを有しており反射波を1/10まで小さくしています。また、ターンテーブルなどの付帯設備に対して細部にわたる電波面での設計、性能構築施工を実施しており、将来のEMC規格改訂対応ならびにさまざまなEMCソリューション提供に対して万全な超高性能電波暗室です。今回、使用開始に際し、国際規格であるISO17025の試験所認証をA2LA※2、NVLAP※3より取得しており、さらに、FCC※4、VCCI※5の登録サイトとなっております。
TDKの電波暗室は、今回使用を開始するテクニカルセンターの暗室棟のほか、日本国内では秋田工場(秋田県にかほ市)および電源事業のグループ会社であるTDKラムダ長岡テクニカルセンター内に、海外では、米国(テキサス州オースチン)、韓国(ソウル)、中国(蘇州、東莞)、マレーシア(ネグリ・センビラン)、TDK-EPCのドイツ(レーゲンスブルク)にEMCセンターを設け、世界計9拠点で世界中のお客様の要求に応える体制を整えています。
また、これとは別に、TDKは1969年から電波暗室の建設事業を手がけ、現在までに世界各国に約1,000基以上(国内:約500、海外:約500)を納入した実績をもち、No.1のシェアを確立しています。
電波暗室のエンジニアリング事業においても積極的な海外展開を図ってまいります。
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設備特長
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- 1棟に3つの暗室(10m暗室、3m暗室、マイクロ波・ミリ波暗室)を完備
- EMC電波暗室としての特性(サイトアッテネーション※特性:±1.5dB以内/30MHz~1GHz)は業界最高レベルであり、高精度な測定、評価が可能
※サイトアッテネーションとは、測定場において定められた方法で測定した送受信アンテナ間の電波減衰特性のこと。サイトアッテネーション測定値と理想的なサイトアッテネーション(理論値)を比較してその差が小さいほど高性能な電波暗室となる。 - 最先端の電波吸収特性を達成するため、数あるTDKオリジナルのフェライトの中から、最適な特性の素材を選択し、四角すいの電波吸収体とフェライトタイルをそれぞれ工夫して配置し、暗室の高特性を実現
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設備概要
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- 建設地:TDKテクニカルセンター敷地内(千葉県市川市東大和田2-15-7)
- 建築面積:1,802m2
- 延べ面積:2,736m2
- 稼動開始:2010年6月~
- 設備構成:下記のとおり
暗室の名称 主な測定対象機器 主な測定項目 10m暗室 情報家電、情報機器、自動車 VCCI、FCC、CEマーク 3m暗室 車載用電装機器等 CISPR25、GM、FORD マイクロ波・ミリ波暗室 各種アンテナ機器 CTIA※6, OTA※7 シールドルーム(計4部屋) 各種電子機器、近傍磁界測定
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用語解説
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※1) CISPR:Comité International Spécial des Perturbations Radioélectriquesの略。国際無線障害特別委員会のこと。 ※2) A2LA:The American Association for Laboratory Accreditationの略。米国試験所認定協会のこと。 ※3) NVLAP:National Voluntary Laboratory Accreditation Programの略。米国標準技術研究所(NIST:National Institute of Standards and Technology)の校正認定プログラム。 ※4) FCC:Federal Communications Commissionの略。連邦通信委員会のこと。 ※5) VCCI:Voluntary Control Council for Interface by Information Technology Equipmentの略。情報処理装置等電波障害自主規制協議会のこと。 ※6) CTIA:Cellular Telecommunications and Internet Associationの略。米国セルラー通信工業会のこと。 ※7) OTA:Over The Airの略。エア接続のこと。TDKでは携帯電話の通話状態(エア接続)でのパフォーマンス評価を行っています。
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評価・解析センター 中村、梅村 Tel.(047)378-9483
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マグネティクスビジネスグループ 電波エンジニアリング ビジネスユニット
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