MEMSセンサ: MEMSベースの「シリコンチップ・ソナー」、Time of Flight方式の超音波センサの販売開始について
- CH-101超音波センサを世界に向けて発売開始
- CH-101は 最大1メートルまでのセンシングをサポート
- 業界で最も低い消費電力で、超広視野角、かつミリメートルの精度を実現
2019年6月25日
TDK株式会社 (代表取締役社長:石黒 成直、以下TDK)は、Chirp ブランドの MEMSベースの超音波Time of Flight(以下、ToF) センサ(製品名:CH-101)を世界に向けて発売開始します。このToFセンサは小さな超音波振動子チップを使用して超音波パルスを発信し、センサの視野角にある対象物から返されたエコーを検出します。ToFを計算することで、センサはデバイスと相対的な対象物の場所を測定します。
TDKのMEMS超音波技術は、独自のToFセンサを3.5 mm x 3.5 mmパッケージに収めたもので、MEMS超音波振動子、電力効率の高いデジタル・シグナル・プロセッサ (DSP) 、カスタマイズした低電力・ミックスドシグナルのCMOS ASICを組み合わせております。本センサはさまざまな超音波信号処理機能を取り扱い、距離検出、存在/近接検知、対象物検出/回避、位置追跡を含む、幅広い使用事例において、顧客に柔軟なインダストリアル・デザインを提供可能にします。
CH-101は、民生電子機器、AR/VR、ロボティクス、ドローン、IoT、自動車および産業市場向けに設計された、最初のMEMSベースの超音波ToFセンサです。TDKのMEMS超音波製品ポートフォリオには、室内規模のセンシング用途向けCH-201超音波ToFセンサ、およびAR/VR/MRシステム向けコントローラに6-DoFセンシングを可能にするソフトウェアシステムソリューションであるSonicTrack™も含まれます。
TDKのMEMS超音波ToF センサソリューションは光学ToFセンサに比べ以下の数多くの利点を提供します。
- ガラスなど透明な対象物を含む、サイズや色に左右されない正確な距離測定が可能
- 周囲の雑音・騒音などの環境ノイズに影響されません
- 直射日光の下で作動しないIRセンサとは異なり、あらゆる照明条件で動作可能
- レーザーベースのIR ToFセンサと異なり、超音波帯域を使用しているので、目にも安全であり、犬猫などの家庭のペットの聴覚にも影響を及ぼしません
- 最大180°の視野角で対象物を検出し、1台のセンサで室内規模のセンシングをサポートすることが可能です
「CH-101センサは、圧電MEMS技術と低電力ASIC設計における画期的なイノベーションをベースにした長年の開発の集大成であり、結果として高性能で、低電力の超音波センシングを小型パッケージにおいて実現することができました。」と、TDKグループ会社であるChirp MicrosystemsのCEO、Michelle Kiangは述べています。「製品の設計者は、本ToFセンサを利用することにより、新しい機能およびユーザーエクスペリエンスを、幅広い製品に提供することが可能となりました。CH-101とCH-201の2つのセンサは、スマートスピーカー、ロボット掃除機、PCなど最新の民生電子機器向けに設計されています。 実際、CH-101をベースとしたSonicTrack™は、現在HTC社で量産中の新しいVive Focus Plus All-in-One VRシステムにて6DoFコントローラトラッキングを可能にしています。
我々は、今後12ヵ月でTDKのMEMS超音波製品によって、さらなる製品のリリースを加速されることを期待しています。」とコメントしています。
CH-101は現在量産中で、CH-201サンプルはすでに一部のお客様に出荷を開始しています。TDKは2019年6月25日から27日にカリフォルニア州サンノゼで開催されるSensors Expo 2019において、モバイル、ウェアラブル、AR/VR、自動車、IoTおよび工業用途向けのセンサ、電子部品、ソリューションなど、TDK全体のポートフォリオの展示に加え、Chirp ブランドのCH-101と CH-201の2製品を展示します。
用語
- 6-DoF: 6 Degrees of Freedom
- 3D: 3次元
- AR/VR: Augmented Reality(拡張現実) / Virtual Reality(仮想現実)
- MR/XR: Mixed Reality(複合現実) / Extended Reality(拡張現実)
- 超音波:可聴帯域外の音波のこと
主な用途
- AR/VR(拡張現実)/(仮想現実)
- スマートホーム
- ドローン、ロボティクス
- IoTデバイス
- モバイル、ウェアラブル
- 自動車
主な特徴と利点
- 超低電力
- 対象物のサイズに関わらず、正確な距離測定
- ガラスなど透明なものを含む、あらゆる色の対象物を検出
- 周囲の雑音・騒音などの環境ノイズに影響されません
- あらゆる照明条件で動作
- 拡張された視野角 (FoV)
主要データ
製品 | パッケージのサイズ (mm) | 距離 | ノイズ範囲 | インターフェース | 視野角 |
---|---|---|---|---|---|
CH-101 | 3.5 mm x 3.5 mm x 1.25 mm | 最大1 m | 1mm RMS (通常) | I2C | 最大 180° |
TDK株式会社について
TDK株式会社(本社:東京)は、各種エレクトロニクス機器において幅広く使われている電子材料の「フェライト」を事業化する目的で1935年に設立されました。
主力製品は、積層セラミックコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、フィルムコンデンサ、インダクタ、フェライトコア、高周波部品、ピエゾおよび保護部品等の各種受動部品をはじめ、温度、圧力、磁気、MEMSセンサなどのセンサおよびセンサシステムがあります。さらに、磁気ヘッドや電源、二次電池などです。これらの製品ブランドとしては、TDK、Chirp、EPCOS、InvenSense、Micronas、Tronics、TDK-Lambdaがあります。
アジア、ヨーロッパ、北米、南米に設計、製造、販売のネットワークを有し、現在、情報通信機器、コンシューマー製品、自動車、産業電子機器の分野において、電子部品のリーディングカンパニーを目指しビジネスを展開しています。2019年3月期の売上は約1兆3000億円で、従業員総数は全世界で約105,000人です。
Chirp Microsystemsについて
Chirp Microsystemsは、カリフォルニア大学での先駆的な研究開発に基づき、2013年に創立されました。Chirp社のミッションは、超音波を用いた製品により、人々の暮らしをより豊かにすることです。Chirpの圧電MEMS超音波振動子は、小さなパッケージで長距離および低電力センシング機能を提供し、3次元空間を正確に認識できる製品を実現しました。
Chirpの組み込みソフトウェアライブラリと組み合わせることで、これらのセンサはVR / AR、モバイル、ウェアラブル、ロボティクス、ドローンおよび存在/近接検知でより良いユーザーエクスペリエンスを提供します。詳細については、www.chirpmicro.comをご覧ください。
ダウンロード
報道関係者の問い合わせ先
所属 | 電話番号 | Email Address |
---|---|---|
インベンセンス合同会社 セールス&マーケティング |
+81 45-308-9721 | inv.jpsales@tdk.com |