

#31個性豊かな?火山たち
~いろんな火山のお話~
日本は火山が多いと言われているけれど、実際どれくらいあるのかな?
実は、世界にある活火山(現在またこれから噴火の可能性がある火山)のうち、
約7%が日本にあるというのだから、驚き!
今回は、知れば知るほど興味がふつふつと湧いてきそうな「火山」について、
掘り下げていきましょう!
登場人物

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ふぅ、危うくママが大噴火するところだったよ。
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それにしても、火山てドッカーンて溶岩が流れているものばかりじゃないのね。
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そうそう、「火山」にもいろんな種類があってね・・・
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あら、じゃあせっかくだからお弁当を食べながら火山の話を聞いてみましょう!
火山の中身、大解剖!
火山のはじまりは「プレート」にあり。
火山から吹き出すマグマは、
地球を覆(おお)っているプレートが地面深くへと潜り込む場所からやってくる。
日本の近くでは、海側のプレートが陸側のプレートの下に潜り込んでいるんだ。
海側のプレートに多く含まれる水分のはたらきで、
プレートの下にあるマントル(地球の内部の層の1つ)が溶ける。
こうしてできるのがマグマ。
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マグマと溶岩って何が違うの??
地中のマグマには水蒸気やいろんなガスが溶け込んでいて、
そのため周りの岩石よりも軽い(密度が低い)んだ。
だから、じわじわと地表の方へ上がっていく。
そうして地面から深さ5~20kmの辺りで上がってきたマグマがたまって
「マグマだまり」をつくる。
このマグマだまりに、さらに新しいマグマがたまると、
一部が押し出され「火道(かどう)」を通って、だんだん地表付近までやってくる。
すると、急に圧力が下がったマグマの中では溶けていたはずのガスが泡になり、
さらに地表に向けて出口を探して進み出し、
やがて地表付近の岩盤を吹き飛ばす。
こうしておこるのが、噴火だ。そして、地上に出てきたマグマやそれが固まった岩石のことを、
私たちは「溶岩」と呼んでいる。
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マグマと溶岩って、もとは同じだけど状態によって呼び方が違うんだね。
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そうなんだ。 ちなみに、この噴火のメカニズムは身近なものにも共有しているんだよ。
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サイダーなどの炭酸飲料のペットボトルの中は圧力がかかっていて、
溶けた二酸化炭素を液体の中に閉じ込めている。
ペットボトルのふたをあけると「プシュー!」と泡が出てくるのは、
ふたを開けることでペットボトル内部の圧力が下がり、
液体に溶けていたはずの二酸化炭素がガスになって出てくるから。
火山噴火も、これと同じメカニズムなんだ。(詳しい地面・プレートのお話はHELLO!TEREMIN「#17押し合って大地」を読んでみよう)
押し合って大地| article | TEREMIN | TDK
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サイダーかぁ。 てっきり怒った時のママかと…。
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こらこら、そんなに怒ってないわよっ。
噴火は「ドッカーン!」だけじゃない!?
実は「噴火」には、種類がある。
「水蒸気噴火(爆発)」
~煮えたぎる地下水!~
地中のマグマに近づいた地下水が沸騰して、地表に噴き出すタイプの噴火。
溶岩は出てこない。
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「マグマ水蒸気爆発」
〜マグマと地下水の接触!~
地下水とマグマが直接触れ合い、大量の水蒸気が急激に発生することで起こる噴火。
水蒸気だけでなく、マグマも爆発ではじけとんで一緒に地上へ出てくる。 -
「マグマ爆発」
〜地表に吹き出すマグマ!~
マグマそのものが持つ水蒸気や火山ガスが原因となる噴火。
マグマの種類によっては、溶岩がダラダラ流れ出るタイプの噴火や、
都市を壊滅させるほどの大爆発を引き起こす噴火まで、さまざま。 -
人生いろいろ、火山もいろいろ? 個性豊かな火山たち
日本は火山が多い!
プレートのぶつかり合いが原因で火山が生まれるということは、
プレートのぶつかり合うところには、火山が並ぶ。
日本はまさにこのような場所にあり、火山がずらりと列を作っている。
日本にはなんと111個もの活火山(今後、噴火の可能性がある火山)がある。
※2017年6月現在。そのうち50個は火山防災のため、気象庁で24時間体制で
観測・監視している。 -
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えー!そんなにたくさんの活火山があるの?なんだかコワイなぁ。
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そんな中でも、近畿〜四国にかけては日本で珍しく火山がない地域なんだ。
溶岩の種類で、火山の性格が分かる?
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火山の性格? まるでヒトみたいね。
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そうそう、ヒトがそれぞれ性格が違うように、火山の特徴も異なるんだよ。 今度はその種類や特徴についてみていこう。
【サラッとしてるけど…だけど熱いハートの持ち主? 楯状火山】
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粘り気が弱くサラサラ流れやすい溶岩の火山は、
楯状火山(たてじょう かざん)と言って平のような穏やかな形の火山を作る。
まるで噴水のように溶岩を吹き出す噴火が起こる。
溶岩の温度は1200℃と高く、固まった溶岩の色は黒っぽいものが多い。
火山の形状にもよるが、溶岩がサラサラしているため流れるスピードも比較的早い。
■有名な火山…ハワイ島のキラウエア火山、マウナ・ロア火山、
アイスランドのエイヤフィヤトラヨークトル火山【がんこ者‥だけど実は繊細? 溶岩円頂丘】
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粘り気が強く、ねっとりと流れにくい溶岩の火山は、
溶岩円頂丘(ようがん えんちょうきゅう)または溶岩ドームと言って
丸いお椀のような形の火山を作る。
上から見ると丸い形になりがち。
溶岩の温度は比較的低く、粘り気がとても強いため流れないものが多い。
ただ、地上でギュッと冷えて、ガスによる気泡が閉じ込められたまま溶岩が固まるので、
もろくボロボロと崩れやすくなることも。
噴火のときは、激しい爆発が起こるよ。
■有名な火山…雲仙普賢岳、昭和新山(しょうわしんざん)【噴火+溶岩!火山界の二刀流? 成層火山】
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盾上火山と溶岩円頂丘の中間の性質をもち、成層火山と呼ばれる。
噴火の前半は噴煙爆発が起き、後半は溶岩が流れる。
火山灰と溶岩流が交互に起きるため、いわゆる「山!」っぽい形の火山を作る。
溶岩の温度は1000℃くらい。
■有名な火山…富士山、浅間山、鳥海山(ちょうかいさん・ちょうかいざん)【番外編】
会津磐梯山 (あいづばんだいさん)
福島県にある活火山。
噴出物によって山が成長したり、大規模な噴火で山が崩れたりと、
噴火の歴史とともに複雑な構造を作り上げてきた。
そのため、成層火山だが単純な形ではない。
「表磐梯」と呼ばれる南側から見ると整った形をしているが、
「裏磐梯」と呼ばれる北側からみると山体崩壊後の荒々しい姿がみられる。日本の地形は火山とともに? 実は豊かな火山のめぐみ
日本は火山が多いため、地震も多くそれによる災害も多く経験してきた。
一方で、火山による恩恵もあるんだ。
次はその恩恵をご紹介!温泉
火山といえば、何といっても温泉。
温泉は、火山のマグマによって温められた地下水やガスが地上付近で湧き出でてできる。
日本には温泉地(宿泊地をともなう)が約3000か所あり、
源泉総数は2万8000個!
これは世界一の記録なんだ。火山によってつくられた地形
火山はその噴火の規模の大きさから、地形に与える影響も大きい。
「富士五湖」は富士山の火山の噴火で流れ出た溶岩によってせきとめられた湖。
秋田県と山形県にまたがる鳥海山からは、湧き水が流れでて、
標高500mの低い場所なのに高山性のコケ類がみられる。
これは2001年には天然記念物に認定されているんだ。種類豊富な岩石
火山によって、いろんな岩石が作られる。
だから、日本は他の国に比べて国土が広くないわりに、
多種多様な石を産出している。 -
例えば・・・
【安山岩】
富士山などの成層火山で、マグマがゆっくり冷えて固まった岩石の1つ。
これは石材として石垣や壁、砂利などに使われる。【黒曜石】
マグマが急速に冷えて固まってできた。
天然ガラスで、大昔から矢じりや石器としても使われている。【軽石】
噴火の際に、火口から噴出されたもの。
ぷつぷつと穴が開いていて水に浮く。
園芸に用いられたり軽量コンクリートを作る際に使用されたりする。
身近なところだと、かかとの角質化された皮膚をとるのにも使われる。日本で採れる岩石は、まだまだたくさん!
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黒曜石…かっこいい!
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なるほど、火山が多いのも、悪いことばかりじゃないのね。
もっと知りたい!「郵便局長は見た! 畑が山になるまで!」 ~三松正夫編~
考えてみよう
あんなところ、こんなところにも火山のあしあと
本編の最後にちょこっと出てきた岩石たち。
実はその中でも特に有名なのが「花崗岩(かこうがん)」と呼ばれている石。
「花崗岩」は、マグマが地下でゆっくり固まってできたもの。
ごはんにゴマ塩をふったような見た目で、白地に黒色やキラッと光る斑点模様がついている。
この花崗岩が使われているものは、とても多い。
【国会議事堂】
国会議事堂の外壁には山口県や広島県でとれた花崗岩が使われている。
花崗岩が使われている建物は多く、江戸城の石垣にも使用されている。
【カーリングのストーン】
オリンピック競技のカーリングで用いられるストーンは
スコットランドで採れる花崗岩が使われている。
【お墓】
花崗岩は雨風に強いことから、墓石としても使われている。
その場合、花崗岩を「御影石(みかげいし)」と呼ぶことが多い。
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君がよく歩く道、好きな建物にも「火山」が関係しているかも!?
「この石はどこからきたんだろう?」という視点で街を歩いてみると、新たな発見がありそう!