

#30くるくるモータ実験
~電気を動きに換えるモータのお話~
皆さんの家には、どんな電化製品がありますか?
掃除の時に使う掃除機、毎日使う洗濯機やドライヤー…。
その多くは「モータ」によって動いていることを、ご存知でしょうか。
今回は、身近だけど実はその仕組みはあまり知られていない「モータ」の謎について
実験大好きなあの2人が立ち向かいます!
登場人物

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コバエが捕まえやすくなったのは良いけど…このままじゃ大掃除ができない!
掃除機や洗濯機を直すために、その中にあるモータの仕組みが知りたい。
困ったてれみん達は、年末もお仕事大忙しなパパの代わりに
実験好きなあの2人に聞いてみることにしました。
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こんにちは!てれみんファミリーの友達の「はかせ」です! 好きなことは実験です!
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と、その助手です!
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今年も、いろんな実験やったなぁ~。まだまだやり足りないけどね~♪
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そのおかげで実験室が散らかったままですよ~。はかせ、片付けてくださいね。
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おや? てれ公が何か紙をくわえて… なになに? 「モータってなにもの?なんでグルグル回るの?」だって!?
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モータ? 確か、おもちゃの車のタイヤとかを回している、小さいアレですよね。
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いやいや、モータの活躍はそんなもんじゃないぞ! ようし、こうなったら今年最後の実験だ~!
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はかせが実験するときの動きの速さには、目が回りそうです~。 でも、モータの実験は楽しそう! 私もお手伝いしますっ。
モータ(モーター)って、ナンダ?
モータの仕組みを知るべく、はかせと助手はまずモータの中身をみてみることにした。
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【動画①】 モータを開けて、中身を見てみた
モータの中には何が入っている?
本体の中からは、びっしり巻かれた電線(コイル)、半分に割った筒みたいなもの、ぐるぐる 回る芯になる棒状のもの、白いカバーの方には触覚のような2本の金属がでてきた。 -
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なんだかシンプルな作りですね。こんなので掃除機や洗濯機が動くんですか?
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もちろん、これをそのまま置いていても動かないよね。 動かすためには、目に見えないあるエネルギーを使うんだ。
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目に見えないエネルギー…?
モータを動かすエネルギーとは・・・
電気!
モータは、電気の力を使って「回転する動き」を作り出している。
【電気のエネルギーを動きに換えるもの】
これがモータの正体なんだ。
(日本語では「電動機」っていうよ)
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さて、では中に入っている部品をよーくチェックしてみよう。
モータ(モーター)って、ナンダ?
活躍していたのは、2種類の磁石!
分解したモータの内側には、2種類の磁石があった。
1つは半分に割った筒のような形をしたもの。
それぞれS極とN極が内側になるように置かれている。
おうちの冷蔵庫に貼りついているのと同じ「永久磁石」 -
もう1種類は、内側に入っているグルグル巻かれた針金(コイル)。
コイルに電気を流すと、コイル自体が磁石の力を得て「電磁石」になる。
(電磁石については、♯18「ゆらゆら科学実験」を見てみよう)電気を流さなければ、磁石にはならないので全く動かない。
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さて、次はそれらの磁石でどうやって動くか、仕組みを見てみよう。
まず、コイルに電流が流れ始める。
これでコイルが電磁石になるんだ。
↓
次に、外側の永久磁石と内側の電磁石が引きつけあったり反発したりして、
軸が回り始める。
↓
そしてS極N極が安定しようとすると回転が止まってしまうので、
そのタイミングを見計らって、電磁石のN極/S極がひっくり返る。
↓
また外側の永久磁石と引きつけあったり反発したりして、
軸がさらに回る。
↓
タイミングを見計らって、
電磁石のN極/S極がひっくり返る
↓
また外側の永久磁石と引きつけあったり反発したりして、
軸がさらに回る
…(以下繰り返し) -
電磁石のS極とN極、どうやってひっくり返すのかというと…
電磁石は、電気の流れる方向をひっくり返すと、極の向きもひっくり返る。ポイントは
① 永久磁石と電磁石それぞれが引きつけあったり反発したりする力を使う!
② 電流の向きで電磁石のS極N極を切り替えて、動きをコントロールすること!
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でも、電池から流れる電気の向きって変わらないですよね?
確かに電池から流れる電気の向きは、変わらない。
でも電気の向きを切り替えていた張本人が、モータのカバーについていた“触覚”。
これは「整流子」と呼ばれている立派な部品なんだ。
整流子は、必ず1方向に回るように、電気の流れをコントロールしている働き者。
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分解したときに、白いカバーについていた2本の触覚のようなものは
そこに電流を流す「ブラシ」と呼ばれる部分なんだ【動画②】 モータの中身を実際にやってみた
…そうはいっても、なかなかパッとは理解できない助手。
なんとかして、複雑な仕組みの「モータ」の仕組みを知りたい!!!
ということで、博士と助手は“モータの仕組み”をつくって試してみることに。
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あんなシンプルな作りの中で、こんなに複雑な動きが展開されていただなんて…。 本当に驚きです!
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手で追いかけるとゆっくりだけど、一瞬で電気の向きを切り替えてるからこそ モータは高速回転できるんだね。
あんなところ・こんなところにもモータ!
ここからは、モータが使われているものをご紹介!
てれみん達が使っていた、掃除機や洗濯機。
掃除機は吸引する部分にモータが使われている。
洗濯機はドラムを回す部分にモータが入っている。
その他、ドライヤー、ゲーム機、エアコンや加湿器などにもモータは使われているんだ。
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実はスマートフォンの“ブルブルブル”も、モータが作っている。
スマートフォンのバイブレーターにも、ごく小さなモータが使われているんだ。
どんな仕組みになっているかというと、
モータの軸に、バランスの悪いオモリがついている。
そしてこのままモータを回すと、軸がぶらされてモータごとブルブルふるえるんだ。その他には…
自動車のミラーやドアを動かすのはモータ。
電気自動車を動かすのもモータ。
ロボットの関節もモータ。
エレベーターやエスカレーターもモータ。
回転寿司が回るのも、クレーンゲームが動くのもモータのおかげなんだ。科学の力を使うと、エネルギーをさまざまな力や動きに換えることができる。
(エネルギーについては、♯ 04「エネルギーってなに?」を見てみよう)大きな動きから小さな動きまで、モータはいろんな動きのもとになっているんだ。
目には見えなくても、実は私たちの生活のありとあらゆるところに隠れて使われているんだね。 -
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博士の実験に対するエネルギーも、何か役に立つものに換えられると いいんですけどね…
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ぐぬぬ。現代や未来を明るくする科学実験という意味では、すでに大きな功績をだね‥。
考えてみよう
電気自動車(EV)のモータは?
今回紹介したモータの仕組みは、主に外側が永久磁石、内側がコイルといったもの。
でも、それが逆になっているものもある。
電気自動車のモータは、外側がコイルで内側が永久磁石になっている。 磁石の位置が逆になっていても、同じように電気をエネルギーに換えることができるんだ。
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他にはどんな形をしたモータがあるんだろう。
身近なところに隠れているモータを探してみよう!