

#27“色々”あるのに、見えない光?
~紫外線といろんな光のお話~
「私たちの身の回りは、さまざまな光であふれている」
とはよく聞きますが、じゃあ一体どんな光があるのでしょう?
今回は、あえて「見えない光」に注目していきます。
実は目に見えないだけで、私たちの生活を便利にしたり役立ったりしているのかも。
それでは、よ~く目を凝らして見えない光の世界を見ていきましょう!
登場人物

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あんなにしっかりついたカレーのシミが、干すだけで消えちゃうなんてびっくりしたなぁ。
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かなみんが言っていた通り、太陽の精のおかげだったりして。
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おっほん。あながち間違いじゃないかもしれんぞ。 カレーのシミが消えた秘密は「太陽からの見えない光」が関係していたんだ。
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え!? パパ、それってどういうこと!?
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カレーのシミは、なぜ消えた!?
カレーのシミが消えた理由、それは
紫外線は、日焼けやシミ・シワの原因になるけれど
実は色を消してしまう「漂白(ひょうはく)作用」もある。
紫外線の力で、色素(色のもとになる物質)が化学変化を起こすからなんだ。
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窓際にポスターを貼っておくと、だんだん色が薄くなっていくだろう。 あれも紫外線のせいなんだ。
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紫外線には「UV-A」「UV-B」「UV-C」の3種類があり、
それぞれ特徴が違うんだ。
例えば、UV-Aはジワジワ肌の奥まで到達することでシミやシワの原因になる。
一方UV-Bは別名「レジャー紫外線」とも呼ばれ、赤くヒリヒリした日焼けの元になる。
UV-Cは、殺菌・除菌などに有効だけど、人体にも強い影響を与える。
でも、普段は地球の大気に吸収されて、地表には届かないんだよ。 -
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UV-Cって、なんだかこわ~い。
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ママはシミやシワの原因になるUV-Aが一番こわいわ!
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「紫外線」が何ものかというと、「見えない光」の一種。
目には見えないけど、太陽から降りそそいでいる光の仲間なんだ。紫外線のように
目に見えないけれど私たちの周りに飛び交っている光は他にもあるんだ。
例えば、ラジオや携帯電話に使われる電波、
電子レンジに使われるマイクロ波、
ヒーターやリモコンに使われている赤外線、
レントゲン写真に使われるX線など。
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えー! 電波やマイクロ波まで光の仲間って、一体どういうこと!?
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これらはみんな光なのに、全然違うもののように感じるだろう。 それぞれ何が違っているのかというと… ズバリ “波の大きさ“ なんじゃよ。
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光ってナンダ? くわしく見ていこう
目に見える光も電波も紫外線も、
実は、みんな「波」としての特徴を持っている。
先ほど紹介した光の仲間たちは、
まとめて電磁波(でんじは)と呼ばれていて、
どれも波として空間を伝わっている。 -
波の長さ(波の山から山まで)を波長(はちょう)と言い、
その長さの違いでさまざまな種類に分けられている。 -
たかが波の長さと思うなかれ。 このちょっとした違いが電磁波の性質を決めている。
例えば、目に見える光の色の違い、 エネルギーの強さや弱さ、遠くまで届くか届かないか・・・など。
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さっきの紫外線の微妙な違いも、この電磁波の性質が関係していたのね!
ちなみに、「赤外線」や「紫外線」という呼び方の由来も
波長に関係している。
目に見える光(可視光線)で一番長い波長、赤色の外側にあるはずの光なので「赤外線」
目に見える光で一番短い波長、紫色の外側にあるはずの光なので「紫外線」と呼ぶ。
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わぁ。こんなにあるんだ! でも、どれも僕たちがよく知っているものに使われているんだね。
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うむ。では、身近な電磁波をもう少し詳しく見ていこう。
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電波 …テレビやラジオに使われている。
エネルギー自体は弱いけれど、遠くまで届く性質がある。マイクロ波 …電子レンジに使われている。
食品に含まれる水分を温めることで、食品全体を温めることができる。エックス線 …病院のレントゲンに使われている。
エネルギーが強く、紙や皮膚を通り抜ける性質がある。赤外線 …テレビのリモコンや暖房など、生活の中のあちこちに使われている。
「遠赤外線」「近赤外線」など、細かな違いもある。紫外線 …お肌の大敵なだけではなく、除菌(UV除菌)のための装置に使われている。 -
(※目に見える光の種類や、身近な光については #5「光って、なに?」を見てみよう)
「光」ってなに?| article | TEREMIN | TDK -
電子レンジの近くは圏外(けんがい)!?
見えない光をつかった、ちょっと変わった実験同じ波長で、光が混乱する?
通信に使うWi-Fi電波には、2.4GHz(ギガヘルツ)と5GHzという2種類がある。
2.4 GHzの方は波長が長く、遠くまで届きやすいが
他に色々な電子機器で使われているので通信のジャマをされることも。
5GHzの方が波長が短く、あまり遠くには届きにくいが、安定して通信できる。実は、2.4GHzは電子レンジが水を温める時に使う波と同じ!
つまり、電子レンジの近くで
2.4GHzのWi-Fi電波でスマートフォンを使おうとすると・・・
スマートフォンが混乱してしまい、通信できなくなることが!! -
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電子レンジの上にスマートフォンを置いて、 レシピ動画を見ながら食材を温めて…というのは、やめた方が良いよ、ママ。
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そうなのね! でも、よくありそうなシチュエーションよね~。
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今回の「目に見えない光」のお話。
目に見えないからといって、決して「ない」わけじゃない。
見えない光でさまざまな変化を起こしたり、上手く使うことで生活が豊かになったりする。活躍しているのは、エネルギーである光だけかな。
きっとその陰には、エネルギーを生かそうとしている研究者や技術者の方の
見えない努力があるんだね。 -
もっと知りたい!「光も電波も同じもの?」 ~ハインリヒ・ヘルツ編~
考えてみよう
赤外線は、目に見える?
本編では「目に見えない光」のお話だったけれど、
実はそれらが見える生き物がいるんだ。
例えば・・・
金 魚 … 赤外線が見える(テレビのリモコンを向けて、ボタンを押すと避ける)、
モンシロチョウ… 紫外線が見え、人間には見えない羽根の模様(もよう)でオス・メスが分かれている。
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人間も、実は身近な道具を使うと「赤外線」を見ることができる。
① テレビのリモコンとスマートフォンを用意しよう。
② スマートフォンをカメラモードにして、画面に注目。
③ テレビのリモコンのボタンを、どれか押してみる。
④ カメラ越しにリモコンの先端(せんたん)を見てみると、小さな赤い光が見える。
↑ この小さな赤い光が、赤外線! -
どうしてこうなったの?
スマートフォンのカメラに使われるセンサーは、
人間の目と全く同じ光に反応しているわけではない。
人には見えない赤外線も感じているので、カメラには写ってしまう。近くにスマートフォンを持っている人がいたら、実験してみよう!