2021年度「Pepperを使ったプログラミング教室」
レポート
2021年9月~2022年1月

TDK歴史みらい館では、特別展示・イベントやワークショップ型イベント、サイエンスショーなどを定期的に開催しています。2017年度より開催している「Pepperを使ったプログラミング教室」は、今年度も多くの高校生に参加いただきました。本レポートでは、2021年度の活動とプログラミングを学ぶ意義を中心にレポートします。
学校では体験できないことにチャレンジできる場
TDK歴史みらい館では、教育現場で加速する「プログラミング教育」のお役に立てればと、人型ロボットPepperを使ったプログラミング教室を2017年度より開催しています。毎年9月から翌年3月の間、地域の高校生を対象に、月に2~3回、1回約90分のワークショップを行っています。
この教室の目的は、生徒たちがチームワークを養いながら、Pepperの『感情を持った人型のロボット』という特徴を生かしたアプリをどのようにつくるのか、総合的に考える力を身につけることです。そして、“本物の、しかもプロがつくったレベルの高いロボットに実際に触れて動かした経験” を高校生に体感してほしいという思いがあります。TDK歴史みらい館は、プログラミング教育を通じて、学校では体験できないことにチャレンジできる場を提供したいと考えています。
2021年度のプログラミング教室の状況
2021年度は、地域の高校生・計5チーム、合計13名が参加、10回のワークショップを開催しました。例年と同じ規模で開催できましたが、新型コロナウイルス感染症拡大による影響で、アプリの発表会については残念ながら一旦、中断となりました。本教室では、作成したアプリを披露する際に、生徒たち一人ひとりがプレゼンテーションするところまでが総合的に考える力を養うプロセスと考えているため、大変残念でした。再開については、随時状況を見ながら、参加学生と相談して決定する予定です。
今年度は特に、Pepperが『話す』『動く』の基本動作を学ぶプログラミングが好評でした。
普通の高校生活では、Pepperサイズのロボットを自由に操作できる機会はないため、貴重な経験になったと皆さん、口を揃えます。生徒たちは、初めて自分の思い通りにPepperが話したり動いたりする姿を目にして、歓声を上げていました。
楽しむこと、失敗を活かすことが大切!

ここからは、具体的なプログラミング教室の内容について紹介します。生徒たちは、Pepperを動かすためのプログラミング(初級~中級)を学びます。さらに、生徒たちが自らテーマを設定して考えた、チーム毎の発表も行います。発表は、3人(※2人もあり)1組でチームを組み、それぞれが役割を担います。
担当は、メインでPC操作を行う“コレグラフ”、発表の流れや台本を考える“シナリオ”、発表で使用する画像、音楽、動き等を考える“演出”に分かれて、一つのアプリ作成に協力して挑むという流れです。
一見、とても難しい内容に思えますが、生徒たちはどのような気持ちでプログラミングに取り組んでいるのでしょうか?担当のスタッフに聞きました。
「まずは何より楽しむこと!そして、失敗を恐れずにトライしてみよう、と生徒さんには伝えています。エラーが出ると恥ずかしかったり、嫌な気持ちになったりしますが、逆にチャンスです。エラーの原因を考えることで、次につなげることができるからです」。
実際に生徒が解答で頭を悩ませていても、スタッフは直接答えを出さずにヒントを出したり、生徒同士で指摘しあえるように心がけていると言います。生徒たちが、楽しみながら、失敗を恐れずに主体的に取り組める場であることも、本教室の大きな特長です。
チームでのアプリ制作は、未来に活かせる
3人1組で行うアプリ制作は、チームワークが大変重要です。自分が任された仕事に責任を持って進め、最終的に一つの形にするには、コミュニケーションが鍵になります。歴史みらい館では、具体的にどのように生徒たちへアドバイスを行っているのでしょうか?担当のスタッフに聞いてみました。
「基本的には、生徒の主体性を尊重してあまり口は出しません」。ただし、「生徒たちがアプリ制作の段階に入ると、すんなりテーマや役割分担などが決まるチームと、なかなか決まらないチームが出てきます。その分岐点は、最初のアイデアを出す作業だと思われます。そこで、ブレーンストーミング(※)を取り入れて少しだけヒントを出すと、次々に意見が飛び交うようになります」。
意見が飛び交うようになると、チームメンバー同士の会話も弾んでコミュニケーションが円滑になって制作が進んでいくと言います。積極的に自分からアイデアを出し、時には他者の意見を取り入れ、一つのモノを作り上げていくのが、アプリ制作の醍醐味です。この経験は今後、生徒の皆さんが就職や進学しても、未来のどこかで生きるのではないかとTDK歴史みらい館は考えています。
※限った時間内に自由に話し合って、いろいろなアイデアを出す、立案企画の手法
最後に
プログラミングだけでなく、チームでのアプリ制作など、学校ではなかなか体験できないことに挑戦できるのが、本プログラミング教室の魅力です。今年度は残念ながら発表会は開催できなかったのですが、毎回多くの方に楽しんで参加いただきました。御礼を申し上げます。今年度も9月より開催予定です。興味のある学校関係者の方は是非以下よりお問い合わせください。皆様のご参加を心よりお待ちしています。
※こちらは2021年度に作成された記事です。現在のワークショップとは異なる場合があります。