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好奇心旺盛のてれみんが、日常で「理科にまつわる発見」をしながらちょっとずつ理科が好きになるおはなし。 好奇心旺盛のてれみんが、日常で「理科にまつわる発見」をしながらちょっとずつ理科が好きになるおはなし。

#21
すごいよ!発酵パワー
~菌と人間のお話~

てれみんズ
2022.2.10
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最近ますます注目されている「発酵」。
でも、そもそも「発酵」って腐らせることと、どう違うの?
そんな素朴な疑問から、意外にも多い発酵食品、あんなものやこんなものまで!
さらには、環境にもやさしいって、どういうこと!?
さあ、めくるめく発酵の沼に足を踏み入れてみよう!

登場人物

  • てれみん
    てれみん
    ものづくりや実験が大好き
  • かなみん
    かなみん
    てれみんの妹。きれいなものが好き
  • てれみんパパ
    てれみんパパ
    何でも知っている。ニュートンが好き。
  • てれみんママ
    てれみんママ
    いつもはやさしい。おこるとこわい。
  • てれ公
    てれ公
    サイボーグ犬。たまにあばれる。
  • てれみん
    あ〜あ。 せっかく「腐りチェッカー」作ったのに、失敗しちゃったよ。
  • 仕⽅ないわよ。 納⾖も、ヨーグルトも発酵させて作っているんだもの。
  • そうそう。 それに、てれみんが試したことは、 新たな科学の世界への⼊り⼝になるかもしれないよ。
  • てれみん
    えっ! それって、どういうこと?

納豆は腐ってる?「発酵」と「腐る」のちがいとは?

  • てれみん
    そもそも「発酵」と「腐る」って、どう違うの?
  • てれみんパパ
    それは、簡単に⾔うと 【⼈間にとって良いか悪いか】 なんだ
  • えっ! そんなに簡単に決めちゃっていいの? というか、「発酵」って実際どんなことが起こっているのかな。
  • 【発酵とは】
    目に見えない微生物が栄養を取り込み、分解すること

    この時に分解してくれる微生物はたくさんあるけれど、人間にとってよい菌は、意外と少ない
    有名なものは、納豆菌 乳酸菌 酵母菌 麹

    納豆菌は強いけど、時間が経ってくると発酵しすぎてしまう。
    また、菌が少しずつ弱ると、だんだん違う菌も増えてきてしまうんだ
    だから「賞味期限」はあるんだね

     

  • じゃあ、この前パパが⾷べていた カビの⽣えたチーズは?
  • あれは、カビがチーズを⾷べることで、独特な⾵味を⽣むんだよ。 カビがあると、他の菌を寄せ付けなくする効果もあるんだ。
  • チーズの賞味期限が⻑いのは、その菌が守ってくれているからなのかしら。

意外にも多い?発酵させた食品

  • スーパーに行くと、発酵が使われている食品がたくさんあるのは知っているかな?
    試しに、ママの買い物についていってみよう!

    まずは乳製品コーナー、 ヨーグルト、チーズ、乳酸菌飲料、甘酒など。

  • 美容と健康のために⾷べているものが多いわ!
  • 次にお漬物コーナーからは、梅干し、ぬか漬け、いぶりがっこ、キムチ、漬物、塩辛、ピクルスなど。

  • てれみん
    知っているお漬物にも 発酵してるものがたくさん!?
  • そして毎日の料理に欠かせない、調味料コーナーでは…
    醤油、味噌、酢、みりん、酒、しょっつる…とくに調味料に多い。

  • 私、ママのお味噌汁だいすき!!
  • 最後は、お肉や魚コーナーからは…
    ソーセージ、サラミ、くさや、アンチョビ、かつお節など。

  • てれみん
    かつお節も発酵⾷品だったの!?
  • ふう、これで買い物は全部かしら。 あら、買い物かごの中、よく⾒ると発酵⾷品ばかりね。
  • その他にも、ワイン、ビール、日本酒、麦焼酎も発酵を用いて作られている

  • ほっほっほ。今夜はワインとチーズを楽しもうかな…。
  • 意外にも、たくさんあった発酵食品。 私たちの食卓は、目に見えない小さな生物のおかげで、豊かに彩られていることが分かる

    その土地ならではの食文化も、発酵に支えられているものがあるんだ
    なかでも、味噌や醤油の発酵に用いられる「麹(こうじ)菌」は、
    日本をはじめ東南アジアにしか生息していない

    そのため、「コウジカビ」は日本の「国菌」としても認定されている。

美味しいだけじゃない! すごいよ発酵パワー

  • 「発酵」は、何も食べ物だけの話じゃない!
    近年では、その仕組みを活用して環境にやさしい資源作りもされているんだ

    例えば バイオマスエネルギー
    森林の間伐材や、家畜の排せつ物、廃棄された食品など、さまざまなものが使われている
    それらを発酵させることで、電気や熱などのエネルギーを作っているんだ。
    しかも、全体的にみると地球の二酸化炭素に影響を与えない
    「カーボンニュートラル」な仕組みになっているよ

  • てれみん
    調べてみると、バイオマスを活⽤している⼯場は北海道や秋⽥県、岡⼭県など 全国にあるんだね。
  • 身近なところだと、 コンポストもある
    生ごみや落ち葉、枯れ草などの有機物を微生物の発酵分解を使って
    肥料にしているんだ
    近年では家庭で小型のコンポストを作っている人もいるみたい

もっと知りたい!< > ルイ・パスツール 編

考えてみよう

パンも発酵? 実際に作ってみよう!

  • 実は、パンだって発酵を使った食品の1つ。
    今回はパンを作ってみながら、その発酵の過程を見ていこう。

    準備するものは、強力粉、砂糖、塩、ドライイースト、ぬるま湯。
    まずは、粉類をすべて混ぜあわせ、ゆっくりぬるま湯を足して混ぜあわせていく。
    生地をのばしたりまとめたりして、
    布巾をかぶせて温かいところにおいておく。

    すると…、生地がむくむくふくらんできた!
    このとき、生地の中ではどんなことが起きているのだろう?
    目に見えない世界を、のぞいてみると・・・

    イースト菌が生地内の糖分を分解し、
    発酵して二酸化炭素とアルコールを発生させているんだ
    そして、その炭酸ガスによってパンが膨らむ

    このとき、生地を触ってみると温かい
    菌ががんばって発酵するエネルギーで、温かくなってくるんだ

    この「発酵」の過程を何度か繰り返す

    イースト菌はとてもデリケート!
    寒いところだと死んじゃうし、
    温かすぎると早く発酵が進みすぎてしまって美味しくなくなってしまうんだ

    最後はオーブンで10~15分ほど焼く。

    パンが焼きあがった時は、なんとも良い香りがするね
    実は初めに発酵でつくられたアルコールがパンのうまみとなり、
    このなんとも言えない良い香りを作り出しているんだ

    美味しいパン作りには、発酵が身近に感じられる瞬間がたくさん!
    ※詳しい作り方を知りたい人は、自分でも調べてみよう。

    発酵は、良い菌を絶妙にコントロールしていく技術が必要だよ
    パンや、ヨーグルト、お漬物なども発酵が上手くいかないと、美味しくならない
    私たちの食卓を彩る発酵食品は、 人々の試行錯誤のたまものだったのだ!

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