

#18ゆらゆら科学実験!
~磁石の力で電気をつくる?~
今年も夏がやってきた!長い休みもあるし、どこか行きたいてれみん達。
準備をしていたら・・・不思議なことが起きちゃった!
これは、マジック?それとも怪奇現象!?
いえいえ、そのひみつは電気と磁石にありました。
登場人物

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びっくりしたてれみん達は、知り合いのはかせに頼んで調べてもらうことにしました。
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はかせ!てれみんたちから電話で報告があったんですけど… 1円玉が勝手に動くなんて、やっぱり怪奇現象ですか!? 夏だし、、、おばけ!?
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いやいや、そう焦りなさんな。 何か科学の「見えない力」がはたらいているのかもしれないよ。
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目に見えない力・・・えーーーー!やっぱり怪奇現象!!
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だから焦りなさんなって。何はともあれ、実験、実験!
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いったい何が起きたの?再現してみよう!
はかせが言っていた「見えない力」ってなんだろう…?
きっと解決の糸口は、机の下で動き回ったてれ公に違いない。
まずは、1円玉が動いたときの状況をつくってみよう。用意したのは、1円玉と、テーブル代わりの下敷き、厚紙で作ったてれ公。
そして てれ公の中に入ってそうな、 電池 ・ 動線コイル ・ ネオジム磁石。てれ公の背中に何をのせれば、1円玉は動くのかな?
それでは、再現実験を始めよう!
1円玉は、確かに動いた!けど…
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アルミニウムでできたスプーンもアルミホイルも、磁石にくっつきませんよね?
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なんでてれ公の磁石には反応したんですか? てれ公がおかしいから?
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いやいや、磁石はどれも同じだし、てれ公もおかしくないよ。 実はもう一つ、大事なひみつがあるんだ。 それは、てれ公が「動きまわる」ということだよ。
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ひみつは「動きまわるてれ公(磁石)にあった!?
実は、金属の近くで磁石が動くと、その金属の中には電流が流れる。
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例えば、手回し発電機もその原理をつかっているよ。 モーターをハンドルで回す(動かす)ことで、電流を作り出しているんだ。
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そしてなんと。
金属に電流が流れると、その金属には磁石の力も生まれるんだ!電気の力を使って磁石の力を生み出したものを 電磁石(でんじしゃく)というよ。
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へぇー!金属が磁石になっちゃうって、なんだか不思議!
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そうだろう〜!
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ということは、今回はアルミが磁石になってしまったということですか。 えーー、でもなんか、まだ信じられないなぁ~。
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えぇぇ疑り深いなぁ・・・。 では、もうちょっと実験で確かめてみようか。
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本当にアルミが磁石になる?ふりこを使って確かめよう
次に用意したのは、ふりこ装置、磁石とアルミの板と、さっき使った下敷きだよ。
アルミ以外だと、どうなるんだろう…?
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さて、アルミ以外のいろんなものを持ってきましたよ!
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よーし!では、他にはどんなものが反応するのか、ためしてみようか。
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アルミ以外の金属でも、同じようなことが起きる?
他の金属でも磁石が近くを動けば電流は流れる・・・はず。
そこで金属っぽいいろんなものを集めて、試してみたよ。
同じように実験したら、どうなるのかな?アルミ以外の金属でも、近くを磁石が動けば反応する!
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磁石の力で電気を作る、これを電磁誘導(でんじゆうどう) というよ。
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なるほど!はかせが言っていた「見えない力」とは、このことだったんですね。
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そう。「電磁誘導!」ってなんだか必殺技みたいでかっこいいだろう…。くくく・・・。
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はかせー、戻ってきてくださーい。
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おっと、この電磁誘導や電磁石がどこで使われているかだったね。
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この仕組みは、生活のあちこちを支えている!
身の回りに、電磁誘導を活用したしくみはたくさんあるよ。
例えば…交通系ICカード
電磁誘導の仕組みを使って、カードにインプットされた情報をやりとりする。
スマートフォンの「置くだけ充電」
電磁誘導によって電気を生み出し、バッテリーに充電する。
絶叫マシンのブレーキ
振り子の実験と同じ原理をつかって、高速で動く遊具にブレーキをかける。
IH調理器
電磁誘導の仕組みを使って、鍋底の金属板に直接熱を発生させる。
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こんなにたくさん使われていたんですね…。
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まだまだあるぞー。 難しいように感じる科学原理も、実はとっても身近な存在なんだね
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今回は、てれ公のことも知れたし実験もおもしろかったなぁ。 分かったことは、てれみんファミリーに報告しておきますね!!
考えてみよう
電磁誘導で生まれた磁石、どっちがN極でどっちがS極?
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磁石といえばS・N極がある。
では、電気の力で生まれた電磁石の極は、どうなっているんだろう?まず電気の流れる向きと、生まれる磁石の力の関係から見てみよう。
生まれる磁石のN極の方向に向かって、電気は必ず時計回りに流れるという決まりがある。
そして、電磁誘導で生まれる磁石はどうなるかというと…
磁石を近づける時には「こっちにくるな!」
磁石が遠ざかろうとすると「帰っておいで〜!」という感じ。必ず「磁石の動きを邪魔してやろう!」という向きになると決まっているんだ。
では、さっきの振り子の実験の場合はどうだったのでしょう?
磁石が近づくときにアルミ板のなかで何が起こっていたのかよく見てみると…
やっぱり「磁石の動きを邪魔してやろう!」とする向きに、うずまきのような電流が流れていたんだよ。だから、まるで磁石の振り子にブレーキがかかったようになっていたんだね。
しかも、磁石があんまり動かない時は、電流も流れないし邪魔もしない。
でも急いで動こうとすると「いっぱい邪魔してやろう!」と言わんばかりにたくさん電流が流れるんだ。-
磁石を追いやったり、引っ張ったり…
なんとも天邪鬼(あまのじゃく)で不思議な現象なんだねぇ。
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