エレクトロニクス入門

コンデンサ編 No.7 「電解コンデンサ②」

過去の記事を整理・一部リライトして再掲載したものです。 古い技術情報や、 現在、TDKで扱っていない製品情報なども含まれています。

アルミ電解コンデンサの特性

アルミ電解コンデンサ(湿式)は静電容量が大きく、安価なため多用されていますが、他のコンデンサと比較して、次のような特徴をもっており、使用にあたっては十分な注意が必要です。

●寿命が有限

電解液のドライアップ(蒸発)により静電容量が低下します(容量抜け)。一般に寿命は10年程度といわれています。また、電解液の液漏れにより、回路の絶縁低下などを起こすことがあります。

《アレニウスの法則(10℃ 2倍則)》

電解液の消失量は温度と関係し、アレニウスの法則と呼ばれる化学反応速度論にほぼ従うことが知られています。これは使用温度が10℃上がれば寿命は2分の1になり、 10℃ 下がれば寿命は2倍になるという法則で、10℃ 2倍則とも呼ばれます。

●極性がある

逆極性の電圧を加えると、自己発熱したり、ガスの発生による内部圧力の上昇で破壊するおそれがあります。

●リップル電流による自己発熱

アルミ電解コンデンサはESR (等価直列抵抗)が大きいため、リップル電流(脈動電流)による熱損失が大きく、自己発熱して寿命を短くする要因となります。

●酸化皮膜の自己修復(セルフヒーリング)機能

誘電体として利用されるアルミ電解コンデンサの陽極の酸化皮膜は、逆極性の電圧や定格電圧以上の過電圧が加わったりすると、酸化皮膜に欠陥が生じることがあります。電解液は酸成分と塩基成分からなり、酸成分の酸化作用により、酸化皮膜の欠陥が修復されます。これを自己修復機能といいます。

●静電容量・ESR の温度依存性が大きい

下のグラフのように低温で静電容量変化率が大きく、またESR 値も大きい。

TDKのアルミ電解コンデンサ(EPCOSブランド)のタイプと主要アプリケーション

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