
#02コンピュータの時代、そして現在へ――。
ここから未来が始まる!
<歴史ゾーン 後編>

人物紹介
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- 案内してくれる人:鈴木杏奈さん
- TDK歴史みらい館スタッフ。
休日はお気に入りのお店で美味しいものを食べて過ごすのが好き。
新食感なもの、自分好みの食べ物に出会った時はテンションが上がります。
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- 体験者:ようた君
- 小学6年生。一番好きな科目は理科だけど、磁石や磁性のことはよくわからない。
前回に続いて、TDK歴史みらい館の「歴史ゾーン」を見ていきます。歴史ゾーンといってもいまの製品や技術をしょうかいしているエリアで、私たちの生活にかかせないデジタル機器にかかわるものをたくさん見ることができます。今では当たり前のようなデジタル機器がどのように進化してきたのか、普段は見えないところまでじっくり見てみましょう。
磁気(じき)ヘッドが登場して、コンピュータやスマホが身近な存在に

画面いっぱいにあらわれた0と1。これらがデジタル情報として磁気ヘッドに記録されているイメージです。
鈴木さん ここは「4大イノベーション」の「磁気ヘッド」コーナーです。磁気ヘッドはパソコンなどで使われているもので、磁気を使って記録を書きこんだり読みこんだりする重要な部品です。磁石のN極とS極を0、1、0、1というデジタル情報として、磁気ヘッドに書きこんでいって情報が記録されます。
ようた君 デジタル情報って磁石のNとSで書き込まれているんですね。
鈴木さん そうです。そして、さらに小型でたくさんの情報を記録するために、水平に書きこんでいた情報を垂直(すいちょく)方向に並べる垂直磁気記録方式(すいちょくじききろくほうしき)が開発されました。それにより記録できる情報量が増えただけでなく、処理の速さもとても速くなりました。

ようた君 デジタル情報を水平から垂直にしたというアイデアは、すごく面白いです。パソコンにはこの方向に対応した磁気ヘッドが使われているんですか?
鈴木さん
パソコンにはハードディスクドライブ(HDD)と呼ばれる磁気ディスクにデータが記録されています。
たくさんの量を記録できる磁気ヘッドが登場したことでコンピュータは小型化して家庭に普及しました。
パソコン以外では、身近なところではテレビ、ビデオレコーダ、ビデオカメラ、オーディオ機器など幅広く使用されています。

磁気データを垂直に配列することで、こんなに小さな磁気ディスクにたくさんのデータを記録できるようになりました。
いろいろな製品の中身を見てみよう!

実際の製品とその部品が展示(てんじ)された「大年表」のコーナー。

「うちの炊飯器の中もこんな風になっているのかなぁ」(ようた君)
鈴木さん こちらは電子部品が使われているさまざまな製品の進化を、時代を追ってしょうかいしていく「大年表」です。古いテレビやレコードプレイヤー、家庭で使われている家電製品などもありますよ。
ようた君 これは炊飯器(すいはんき)ですね。炊飯器の中、すごくたくさんのコイルがまかれています!
鈴木さん IH式といわれる炊飯器は、IHコイルの磁力線で中の釜(かま)を発熱させています。このコイルにかぶさるように黒い十字型の部品がありますね。これはフェライトコアで、目に見えない磁力線をたばねる働きをしています。このフェライトコアのお陰で、素早くご飯が炊き上がります。
ようた君 へー、こんなところにもフェライトコアが使われているんですか。
鈴木さん 大年表のコーナーでは、いつもは見ることができない製品の中身を見ることができますからね。それぞれの製品の中で使われている部品も展示されていますが、新しくなるにつれてどんどん部品が小さくなっているのがわかりますか?
ようた君 本当だ。テレビの部品なんてぜんぜんちがう!だから昔のテレビはこんなに大きいのに比べて、今のテレビはこんなに薄くなっているんですね。
鈴木さん 部品が小さくなったことでテレビの厚みは薄くなり、画面も大きくなって画像もとてもきれいになっていますよね。映像の分野はデジタル化されたことで特に大きく変化したものだといえますね。

「昔のテレビって、今のテレビとかなり形がちがいますね。すごく大きい!」(ようた君)

昔のテレビで使われている部品の数々。これが今の時代になると……。

あらゆる部品が基板上に配置され、テレビはこんなにも薄くなりました。
空中配線(くうちゅうはいせん)から電子回路基板(でんしかいろきばん)へ。
部品の進化も一目でわかる!

部品そのものが小型化・大容量化するとともに、それらを実装(じっそう)する生産技術の進歩がわかる展示です。
鈴木さん さまざまな部品が手作業ではんだ付けされています、今見ると、むしろこちらのほうがすごい技術だったようです。そこから少しずつ小型化していって、今ではこんなに小さくて薄い電子回路基板になりました。もちろん、さらに高性能になっています。
ようた君 こうして並べて見てみると、ちがいがすごくわかりますね。機械の内部のことなんて知らなかったので、面白いです。

「こんな配線を手作業でしていたなんて、昔の技術者の人たちはすごかったんですねぇ」(ようた君)

基板の表面に直接チップ状の部品を接着(せっちゃく)(表面実装)できるようになり、製品もさらに小型化。
そして、現在へ。VRで最新技術を間近で見てみる!

「成長戦略3分野」のコーナーは館の歴史ゾーンからみらいゾーンにつながる位置にあり、最先端の技術をしょうかいしています。
鈴木さん では歴史ゾーンの最後のエリア、現在TDKが力を入れている分野をしょうかいした「成長戦略3分野」のコーナーに行ってみましょう。ここでは電気自動車の中身、スマートフォンの中身、未来のTDKの工場内という3つのVR体験をすることができます。ようた君はどれを体験してみますか?
ようた君 じゃあ、電気自動車でお願いします。
鈴木さん VRゴーグルを装着したら、足はそのまま、右を見たり左を見たり、360℃見てみてください。どんなものが見えますか?
ようた君 わぁ、自動車の中に入った。アクセルをふむと、棒(ぼう)が回転して力が伝わる様子が見えます。
鈴木さん 1台の自動車の中には数万点もの部品があり、モーターやセンサーなどの重要な部品が使われています。自動車の部品など見られることはないですから、VRの世界でよく見てみてください。
ようた君 VRは前から興味があったので、体験できて良かったです。
鈴木さん ここまで歴史ゾーンを見てきて、どうでしたか?
ようた君 昔のテレビや電話やファミコンなど、見たことはあるけれどさわったことのなかったものにふれることができたり、いろいろな部品のはたらきを映像でわかりやすく説明してもらったり、すごく楽しかったし勉強になりました。特に、磁気ヘッドの仕組みをしょうかいした動画が面白くて、こういう仕組みを考えた人たちはすごいなぁと思いました。

「VRゴーグルをつけたら、ようた君は自動車の中に入っていきますよ」(鈴木さん)

「少しずつ自動車に近づいていって、中に入ってしまいました!パーツがある場所に近づくと、文字で情報が出てきます!」(ようた君)

「成長戦略3分野」では「自動車」「ICT]「産業・エネルギー」をしょうかいしています。

スマートフォンの中身はルーペで見ないと見えないほど小さな部品がびっしり詰まっています。