#01磁性の発見からテレビやゲームの誕生まで。家電製品の昔を見て、知って、体験する!
<歴史ゾーン 前編>
人物紹介
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- 案内してくれる人:鈴木杏奈さん
- TDK歴史みらい館スタッフ。
休日はお気に入りのお店で美味しいものを食べて過ごすのが好き。
新食感なもの、自分好みの食べ物に出会った時はテンションが上がります。
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- 体験者:ようた君
- 小学6年生。一番好きな科目は理科だけど、磁石や磁性のことはよくわからない。
TDK歴史みらい館に入ってから最初に見えるのが「歴史ゾーン」です。ここではフェライト磁石の発明から、テレビ、ラジオ、ゲーム、家電製品など、磁石によって進化したさまざまな製品の歴史まで学ぶことができます。実際にふれることができる展示もたくさんあるので、ようた君にいろいろと体験してもらいましょう!
フェライト磁石の発見がテレビやラジオの進化につながった
入場して最初にあらわれる大きな壁には、磁性(じせい)の歴史がかかれています。1600年、ウィリアム・ギルバートという人が地球は大きな磁石であると発表したところから始まります。
さまざまな大きさ、形をしたフェライトコアが展示(てんじ)されたコーナー。
鈴木さん
ようた君、ようこそTDK歴史みらい館へ!
まずはさまざまな電子機器の進化の歴史を見ることができる歴史ゾーンをご案内します。 歴史ゾーンには、TDKが特にがんばって開発した部品などを紹介する「4大イノベーション」というコーナーがあります。はじめに紹介するのは「フェライトコア」です。フェライトコアは、テレビやラジオの進化に貢献(こうけん)しました。ラジオは聞いたことはありますか?
ようた君 家族で車に乗っているときに聞くこともあるけれど、あまり聞いたことはないです。
鈴木さん 昔のラジオは雑音が多くて聞き取りにくかったのですが、フェライトコアを使うことできれいに聞こえるようになりました。昔のテレビの中にも偏向(へんこう)ヨークコアと呼ばれるフェライトコアが使われていて、映像をうつし出す役わりをしていました。テレビのカラー化やブラウン管の大型化などの進化に合わせて、偏向ヨークコアも進化していきました。
ようた君 昔のテレビって、ぶあつくて小さかったんですね。テレビの中でフェライトの部品が使われているなんて知りませんでした。
※フェライトとは?:酸化鉄を主な成分に、コバルトやニッケル、マンガンなどを焼いて固めたもの。
鈴木さん じゃあ、こっちの黒電話はどうかな?
ようた君 見たことはあるけど、使い方がわからないです。えっと、どうやって番号を入力するんですか?
鈴木さん 番号のダイヤルの穴に指を入れて回します。この黒電話は実際に話すことができるので、誰かに携帯電話からかけてみてもらいましょう。
ようた君 (ベルがなり、おそるおそる受話器を取る)……もしもし? あ、聞こえる!
各コーナーには白いテーブルのようなスクリーンがあり、映像で解説を見ることができます。
ここではダイヤルを回すと映像がスタートしますが、コーナーごとにスタート部品がちがうので、そこにも注目!
昔のテレビの中では……
黒いラッパ状の部品がフェライトコアでできた偏向(へんこう)ヨークコアが使われていました。
「こうやって指で番号を回すのですか。思ったより力がいるので、指が痛くなりそうですね」(ようた君)
「いつものスマホみたいにはっきりした音で聞こえないし、受話器がけっこう重い!」(ようた君)
カセットテープに録音した自分の声は……
鈴木さん 次は「磁気テープ」のコーナーです。TDKは世界ではじめて音楽用カセットテープを開発した会社なのです。テープの部分に磁性体と呼ばれるものが使われていて、音の強弱を磁気の強弱に変換(へんかん)しています。こちらにはカセットテープだけでなく、フロッピーディスクなどの記録メディアがたくさん展示されています。
ようた君 フロッピーディスクってパソコンに入れるんですよね? でも、256KBしか記録できないって、1メガよりも小さかったんですか!
鈴木さん 当時はパソコンのメモリー容量もそれだけ小さかったということですね。ここにあるラジカセにはカセットテープが入っていて録音もできますよ。
ようた君 こうやって直接録音できるなんて面白いですね。
鈴木さん カセットテープが誕生した頃は家でしか再生・録音ができなかったのですが、持ち歩きができる音楽プレーヤーが発売されて、外でも音楽を楽しめるようになりました。
音楽用カセットテープのほか、ビデオテープ、フロッピーディスク、MD、MOなど、大人にとってはなつかしい記録メディアがたくさん。
「じゃあ、録音してみます。えー、こんにちは。ようたです」(ようた君)
録音した音を再生。「自分の声じゃないみたいではずかしい。スマホで撮った動画の音とはちがいますね」(ようた君)
昔のテレビゲームに挑戦!
今から40年近く前、積層(せきそう)チップ部品により携帯電話など今につながるさまざまな製品が生まれました。
鈴木さん 時代が流れて1980年、「積層(せきそう)チップ部品」のコーナーに来ました。フェライトやセラミックなどの素材をうすく一面にぬったシートの上に電極(でんきょく)を印刷したものを何枚も積み重ねて、くっつけて、切ったものが積層チップで、電気をためたり、必要なときに流してくれるはたらきを持っています。積層チップ部品が使われるようになってから家電はずっと小さくなり、携帯電話なども誕生(たんじょう)しました。これが実際の積層チップ部品です。
ようた君 わぁ、小さい。
鈴木さん そう。部品がどんどん小さくなって、携帯電話も小さくなっていきました。こちらにはファミリーコンピュータがありますよ。今はゴルフソフトが入っているので遊んでみましょう。
ようた君 やった! 友だちの家でお父さんのスーパーファミコンを見せてもらったことがありますけど、ゲームするのははじめてです。
鈴木さん おお!さすがに上手ですね。操作(そうさ)は難しくないですか?
ようた君 練習すれば上手にできると思います。今のニンテンドーSwitchの中身とはぜんぜんちがうのでしょうね。
鈴木さん そうですね。家庭用ゲームがどんどん進化しているのも、こうした部品が進化しているからです。
ようた君 最初にフェライトコアを見たとき、どうしていろいろな形をしているのだろうと思ったんですが、いろいろな使い道の部品として使われるからなんですね。大きさもどんどん小さくなっているし、面白いです。
「今の一番小さい積層(せきそう)チップ部品は0.4mm×0.2mmで、携帯電話やスマートフォンには米粒(こめつぶ)より小さな部品が1000個以上使われています」(鈴木さん)
ファミリーコンピュータも実際に遊ぶことができます。まずは鈴木さんのお手本から。
大好きなゲームで遊んでいるときにはこの笑顔。昔のゲームでも十分楽しめるようです。 <後編へつづく>