なるほどノイズ(EMC)入門

【基礎編①】ノイズとは?EMCとは?ノイズ障害は電子社会の現代病

パソコンが通信エラーを起こしたり、スマートフォンがいきなり切れたり…といった経験がありませんか? 身の回りにはノイズが満ちあふれ、いろんな経路から侵入しては電子機器にトラブルを起こします。目には見えないこのノイズの正体とは?

ノイズとは

ノイズとは、雑音を意味する英語で不要な音や情報一般のことです。特に電気通信の分野で扱われることが多く、音声では雑音、映像では電波障害による画面の乱れなどをノイズといっています。電子機器から漏れた電磁波を他の電子機器が拾うことによって発生するノイズ障害もあります。
ノイズには、自然ノイズと人工ノイズの2種類があります。自然ノイズは落雷や空中放電、宇宙線といったものが発生源になります。人工ノイズは電子機器が発生源になります。電子機器は、放送用送信機のように意図的に電磁波を発生するもの、ラジオやテレビのように機器内の電磁エネルギーが漏洩するものおよび電気掃除機や電動工具のように使用時に副次的に発生するものがあります。

踏切でカーラジオに雑音が入ることがあります。原因は電車のパンタグラフと電線の間で生じる放電火花です。また、電子ライターをラジオアンテナのそばで着火すると、ブツンという雑音がスピーカから聞こえます。放電火花からはノイズ電波が発生するからです。雷放電が通信障害を起こしたりするのも同じ理由によるものです。マルコーニが発明した初の無線電信機も、高圧の放電火花から発生するエネルギー(ノイズ電波)をトン・ツーのモールス信号として送るというものでした。もちろん、当時はラジオもテレビもなく、つまり被害者となる電子機器がなかったわけですが、今ならとんでもない電波公害となってしまいます。

電子機器のノイズ問題はそうたやすく解決できません。ノイズ問題がやっかいなのは、ノイズは電気信号と同じ電磁エネルギーであることです。あるシステムに必要な電磁エネルギーが他のシステムに不要ならば、それはノイズとなってしまうからです。したがって電子機器にはノイズはつきもの。電源ラインや信号ケーブルを伝わったり、また電磁波として空間を飛びかったりして、電子機器に誤動作や機能低下といったノイズ障害を起こさせます。

発生ノイズと侵入ノイズの両方を抑制するのがEMC対策

マイクロエレクトロニクスとデジタル技術の急発展によって、回路の過密化や信号の高周波化、低電流化が進み、電子機器は微弱なノイズにも影響を受けるようになってきました。ノイズ障害によって車の制御が誤動作したり、産業用ロボットが誤動作して深刻な問題を起こすという出来事もありました。
パソコンやゲーム機、電子レンジといった身近な電子機器自身も、さまざまなノイズを放射し、他の機器に影響を与えています。スマートフォンの出す電波も医療機器や心臓にペースメーカーを入れている人にとっては重大なノイズです。電子機器はノイズ障害の被害者にもなれば加害者にもなるというのがノイズ問題の特徴なのです。
そこで電子機器においては、自らノイズの発生源とならないようなEMI(電磁妨害:Electro Magnetic Interference)対策と、たとえノイズにさらされても影響を受けないようなEMS(電磁妨害感受性:Electro Magnetic Susceptibility)対策が同時に要求されるようになりました。これをEMC(Electromagnetic Compatibility)といい、“電磁適合性”、“電磁両立性”などと訳されています。わかりやすくいえば、エミッション(放射)問題とイミュニティ(耐性)問題の両立、つまり発生ノイズと侵入ノイズの双方の対策を確実に実施することです。この考え方に立つのがEMCです。

ノイズ問題を解決するTDKのトータルEMCソリューション

ノイズ障害というのはいわばエレクトロニクス社会の慢性的な現代病であり、対症療法では根本的な解決になりません。病気にかからないようにするには、ふだんから保健・衛生面で注意し、抵抗力をつけて予防します。電子機器においてそれに相当するのが、(1)シールド(2)反射(3)吸収(4)バイパスというノイズ対策の4つの基本手法です。これを"EMCの4要素"といい、さまざまなEMC対策部品が適材適所に使われています。

各ゾーンごとに電磁シールドをほどこし、インタフェース部には各種ノイズフィルタを使用する。さらに、ゾーン内で発生するノイズについても適切なEMC対策をとる。

本シリーズは地球規模の環境問題の1つとなっているノイズ問題と、目立たぬ存在でありながら、今やあらゆる電子機器に不可欠となっているEMC対策部品の活躍ぶりをご紹介するのが目的です。グローバル・ネットワーク社会は、IoTの発展とともにおびただしい数の電子機器が相互につながってきています。ノイズ問題を放置するとエレクトロニクス社会はその根底から崩されてしまいます。
電子機器の企画段階、設計段階、試作段階、製品化段階のすべてにおいて、先進ニーズに応えた効果的なノイズ対策を強力にサポートするのが、TDKのトータルEMCソリューションです。

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