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[第8回 LED機器用AC-DCユニット型電源] オプトエレクトロニクスによる照明革命

過去の記事を整理・一部リライトして再掲載したものです。 古い技術情報や、 現在、TDKで扱っていない製品情報なども含まれています。

高出力LED(高輝度LED、パワーLED)の開発により、LEDは交通信号灯や自動車ランプなどにも使用されるようになった。社会全体の電力消費において照明の占める割合は大きい。エコ社会に向けて長寿命・省電力のLED照明への変換も進んでいる。

皆既日食のコロナのスペクトルから発見されたヘリウム元素

白色光とは、さまざまな単色光が合成された光だ。これはプリズムを用いて、太陽光を虹色の光の帯(スペクトル)に分解した17世紀のニュートンの実験で明らかにされた。また、物質を高温の炎で熱すると、含まれる元素に応じて、特有の色の光を放つ。理科実験でおなじみの炎色反応だ。こうした光色を化学分析に利用することを思いついたのは、ドイツのブンゼンとキルヒホッフだ。彼らはプリズム、レンズ、バーナーを組み合わせた初の分光器を考案した。試料をバーナーの炎で熱し、その光をレンズで導いてプリズムで分解してみると、それぞれの元素に特有の輝線が現れる。これによって試料に含まれる元素が特定でき、また、未知の波長の輝線によって、新たな元素も発見できる。セシウムやルビジウムなどは、この分光分析によって発見された元素だ。  

虹色の太陽スペクトルは連続しているように見えるが、実際には多数の暗線(フラウンホーファー線)が含まれている。ブンゼンとキルヒホッフは、この暗線の謎も解明した。太陽スペクトルの暗線は、分光器で確認された元素の輝線スペクトルと反転関係にあった。つまり、太陽表層に存在する元素が、太陽光から特定の波長を吸収してしまうため、太陽スペクトルには多数の暗線が生じていたのだ。こうして地球と同じ元素が太陽にも存在することが判明した。また、1868年のインドの皆既日食においては、コロナのスペクトル解析から、新元素の存在が推定され、ヘリウムと命名された。ヘリウムは地球上より先に、太陽において発見された元素なのだ。宇宙の彼方の天体の構成物質も、望遠鏡で得られた光のスペクトル解析によって知ることができる。

省電力ニーズに応えた第4世代の電子の明かり

人類が長らく照明として用いてきたのは炎である。木材や油、ロウソクなどを熱すると、可燃性のガスが発生して炎となる。炎が風でゆらぐのも、ガスが燃焼しているからだ。19世紀に電気が利用されるようになり白熱電球が発明された。これはフィラメントの熱放射による光を照明として利用する。その後、蛍光灯や水銀灯、HIDランプなど、多種多様な光源も開発された。こうして照明は多彩で豊かなものとなり、夜の暗闇も追放されていった。だが、その一方で膨大な電力が照明に費やされるようになった。  

さらなる省エネ・省電力がこれからのエコ社会の重要課題となる中で、現在、第4世代の照明として注目されているのがLED(発光ダイオード)照明だ。LEDは1960年代に低電力で発光する半導体素子として開発された。その発光色は材料によって決まる。赤色や緑色に続き、青色LEDも発明されたことから、赤(R)・緑(G)・青(B)の光の3原色がそろい、カラー表示のLEDパネルも可能になった。また、白色LEDも開発されて携帯電話の液晶ディスプレイのバックライトなどとして使われるようになった。しかし、実はLEDでは太陽光のような白色光をつくるのは難しい。そこで、一般に青色ダイオードと黄色の蛍光体などを組み合わせ、青と黄の光の重なり合いで擬似的な白色光をつくっている。黄ばんだ木綿の白シャツなどを洗濯するとき、蛍光増白剤が使われたりするのも同じ原理による。洗濯後に発する青色の蛍光が、黄ばみの黄色光と重なりあって白く見えるのだ。

LED照明に電源技術やEMC対策技術が不可欠

LEDはP型半導体とN型半導体を接合した半導体素子だ。原理はシリコン太陽電池と逆の関係にある。シリコン太陽電池は光を電気エネルギーに変換するのに対し、LEDは電気エネルギーから光をつくりだす。LEDはある直流電圧(数V程度)を超えると急に電流が流れて発光し、電流が多くなるほど発光量も増える。近年、数10mA〜100mA以上の高出力LED(高輝度LED、パワーLED)が開発され、交通信号灯や自動車ライト、屋内外のLED照明などにも用いられるようになった。多数のLEDの点灯には安定した直流電源が必要だ。そこでTDKが開発したのが、LED機器用AC-DCユニット電源ALPシリーズだ。LEDは小型・長寿命を特長とするが、エネルギー効率面ではまだ十分とはいえない。とりわけ高出力LEDでは消費電力のかなりの部分が発熱ロスとなる。  

このため発光効率にすぐれた新タイプのLEDの開発とともに、高効率なAC-DCスイッチング電源がLED照明の普及の鍵となる。また、スイッチング電源のノイズ対策はもちろん、静電気放電からLEDを守るためのバリスタなど、EMC対策技術はLED照明において不可欠だ。LED照明用にSMDチップタイプの高出力LEDも安価に量産されるようになった。TDKではバリスタ機能をもたせたLED実装用基板も開発している。

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