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第8回 4G携帯電話に向けた先進技術トレンド

過去の記事を整理・一部リライトして再掲載したものです。 古い技術情報や、 現在、TDKで扱っていない製品情報なども含まれています。

4G携帯電話に向けた先進技術トレンド  

 

2010年頃の実用化に向けて、第4世代(4G)携帯電話のシステム・技術の研究が進められている。4Gでは、100Mbps級の高速データ通信やシームレスな通信環境が実現するという。4年後にはどんな携帯電話を手にしているだろうか。

何でもかなう“打ち出の小槌”のようなマルチメディア端末

2005年11月、携帯電話事業に3社(BBモバイル、イー・モバイル、アイピーモバイル)の参入が認可された。新規参入は実に12年ぶりのことだ。3社ともユビキタス時代に向けた新サービスの提供を打ち出しており、ユーザーからも熱い期待が寄せられている。事業を開始した2006年には、番号ポータビリティ(電話事業者(キャリア)を変えても、同じ番号がそのまま使用できる)やワンセグ(携帯電話向け地上デジタルTV放送)のサービスもスタートする。携帯電話のサービス競争は、さらに新たなステージに入った。  

携帯電話はこの10年で劇的な進化を遂げた。通話サービスはいまやサブ機能のようなもので、メールやインターネットなどのデータ通信のほうがメインとなりつつある。小型HDDの搭載、デジタル音楽プレーヤとの合体なども急速に進展している。携帯電話は、ユーザーそれぞれの夢をかなえる“打出の小槌”のようなツールとなりそうだ。  

2010年頃の実用化に向けて、4G(第4世代)携帯電話システムの研究も精力的に進められている。4Gでは移動環境で100Mbpsという光ファイバなみの高速データ通信が目標とされている。しかし、無線通信は高速になればなるほど、1つのシステムで広域をカバーすることが困難になる。このため4G時代には無線LANとの融合が不可避とみられている。すでに屋外では3G(第3世代)端末、屋内では無線LAN利用のIP電話として機能する無線LAN対応携帯電話も登場している。これからは無線LANやデジタル放送、ホームネットワークといったさまざまな無線システムが相互に連携、どのような環境でもシームレスに利用できる多機能なパーソナル端末として、携帯電話はさらなる進化を遂げるだろう。

おサイフケータイにも使われるフレキシールド

携帯電話が多機能化すればするほど、機能ブロックやチップ部品、信号ラインもますます凝縮され、さらなるノイズ対策が要求される。たとえば折りたたみ式の携帯電話では、LCD(液晶ディスプレイ)と制御ICがフラットケーブルによって結ばれるが、このケーブルは高周波ノイズを放射するアンテナとなって通信品質を劣化させてしまう。こうした問題を簡便かつ効果的に解決するのがTDKのフレキシールドだ。フレキシールドは高透磁率の軟磁性合金粉末を樹脂中に分散させた電磁シールド材である。自由な形状にカットでき、薄くフレキシブルなので、ノイズ放射部に装着することで、通信品質を著しく改善することができる。  

近年、登場したおサイフケータイにもフレキシールドは活用されている。おサイフケータイはJR東日本のSuicaなどにも採用されている FeliCa(RFIDシステムの1種)を搭載した携帯電話だ。携帯電話に内蔵されたFeliCa ICがアンテナコイルを通じて、レジ側のリーダ/ライタと磁束のやりとりをして情報を伝達する。しかし、携帯電話側のRFIDアンテナ周囲にバッテリパックなどの金属面があると、磁束が影響を受けて情報の読み取りが阻害されてしまう。ここでもTDKのフレキシールドはその本領を存分に発揮する。RFIDアンテナと金属面の間に挿入することで、樹脂中の高透磁率材料が磁束の抜け道をつくり、金属面の影響を受けることなく正確な情報伝達が実現するのだ。

高周波ノイズ抑制シートとして、高周波回路やIC、フラットケーブルまわりなどに多用される。 FeliCa搭載のおサイフケータイなどでは、RFID用アンテナとバッテリパックなどの金属面の間に挿入される。

バッテリ保護と低消費電力を実現するポリマーPTC

技術は無限に進歩しても、電波という資源は有限である。かぎられた周波数をいかに有効に活用するかは、ユビキタス・ネットワーク社会においてますます重要な課題となってくる。4G携帯電話の実現に向けて期待されているのは、MIMO(Multiple Input Multiple Output)と呼ばれる技術だ。従来システムでは障害物の乱反射などによって到達する電波は伝送速度を落とす要因となっていた。一方、MIMOは送信側・受信側ともに複数のアンテナを同時使用、乱反射の電波もいっしょに受信して元のデータ信号を復元するため、周波数帯域を広げることなく高速・高信頼性のデータ伝送が実現する。静止環境では1Gbpsという超高速伝送も可能にする注目度の高い新技術だ。

4G携帯電話でも常に問われるのはバッテリの問題である。多機能化は消費電力の増大をともなうため、電子部品・デバイスの低消費電力化とともに、バッテリのさらなる高容量化・長時間使用化が求められる。現在、携帯電話のバッテリの主流として使われているのはリチウムイオン電池である。リチウムイオン電池には温度上昇や発熱などによる事故を未然に防ぐための保護素子が使われるが、この保護素子にも小型で電力ロスの少ない低抵抗品が要求されている。TDKが開発したポリマーPTCは、業界トップクラスの低抵抗値5mΩと薄型0.8mmを実現している。  

携帯電話はきたるべきユビキタス社会の中核をになうパーソナル端末。その先進トレンドに応えるのは、材料技術、プロセス技術、高周波回路設計技術、アンテナ技術、EMC対策技術など、e-material solution providerとしてのTDKの創造的技術力だ。

TDKのポリマーPTCは、低融点ポリマーとフィラメント状導電粉を最適混合することによって開発した新製品。5mΩという超低抵抗のため消費電力の低減を実現するとともに、小型・薄型形状によりバッテリ周辺の設計自由度も向上させる。

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