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[第2回 サッカー&シミュレーション技術] 選手も部品も最適配置が勝負

過去の記事を整理・一部リライトして再掲載したものです。 古い技術情報や、 現在、TDKで扱っていない製品情報なども含まれています。

年に1度のFIFAワールドカップは、オリンピックと並ぶスポーツの大祭典。32カ国の代表チームが繰り広げる熱戦に、今回も世界中のサッカーファンがテレビの前で釘づけとなった。誰がどこのポジションに位置する戦術を取るか。シミュレーション技術が、サッカーにも電子機器の設計にも欠かせない。

フォーメーションがサッカーを面白くする

サッカーと野球で大きく違うこと。それは、フォーメーションにあると言ってもいいだろう。野球であれば、ピッチャー、キャッチャー、内野4、外野3というように、9名のポジションは固定されている。しかし、サッカーは、フォワード(FW)の選手が1人でも良いし、3人いても良い。ディフェンダー(DF)だって、3バックとか4バックというのがある。  

今から約50年前のワールドカップ、1958年大会におけるブラジルチームは斬新なフォーメーション(陣形)を採用した。DF(ディフェンダー)に4人、MF(ミッドフィルダー)に2人、フォワード(FW)に4人を配する4-2-4システムだ。それまでは攻撃と守備にそれぞれ5人を配置するシステム(その形からW-Mシステムと呼ばれる)が主流だったが、これは守備に致命的な弱点をもっていた。この弱点を解消したのが、MFが重要な役割を担う4-2-4システムだった。4-2-4システムは画期的なフォーメーションだったが、2人しかいないMFの疲労度が大きい。そこで、現在では4バックの4-4-2システムが主流になっている。 4-4-2システムではFWが2人しかいないので攻撃力に欠けるように思えるが、MFは臨機応変にFWに加わるので、事実上4-3-3や4-2-4システムになったりする。

シミュレーションがサッカーを進化させ始めた

野球は、打率や防御率のように選手の活躍を数値化しやすいが、22人が同時に動き回るサッカーは数値化、データ化して分析しにくいスポーツと言われてきた。しかし、それも過去の話。シミュレーション用のソフトが開発されているのだ。誰から誰にパスが渡ったか、ボールを受けた選手がどういう動きをしたかなどといったアクションを、一つひとつパソコンに入力してシミュレートすることで、自分のチームを分析し、選手の特徴を生かした最適配置ができるようになった。また、対戦相手の弱点を探ることもできるようになってきた。  

基本的には、選手の適性を見極め、相手チームの戦力、戦術をある程度予想して、先発メンバーを決めるが、進化したシミュレーション技術も駆使して、最適なメンバーを考えているのかもしれない。

電子機器の設計にも活躍するシミュレーション技術

電子機器の設計においても、各種のシミュレーション技術が活用されている。とりわけ、スイッチング電源やDC-DCコンバータなどのパワーデリバリ機器では、熱シミュレーションが重要になる。トランジスタ、ダイオードといった半導体素子やトランスからは熱を発するが、これらの発熱を完全にはなくすことはできない。また、小型化や信頼性向上を図る上でも、高度な熱設計技術が要求され、トランスやコイルなどの部品をどう配置するかによって、放熱効率が大きく違ってくる。  実際に回路を組み立てて計測するのと違い、コンピュータを利用した熱シミュレーションでは数値を変えるだけでいくらでも画面上で、部品の配置を試すことができる。温度分布を色分け表示したり、熱対流や放熱経路を可視化するといったこともコンピュータなら容易だ。問題箇所も一目瞭然となる。  

この熱解析シミュレーション技術と3D-CAD技術を統合した、TDK独自の三次元実装設計システムにより完成したのが、自然空冷方式では業界最小・最軽量のモデルとなる、スイッチング電源のRTWシリーズだ。  

いささか気が早いが、次回ワールドカップは2010年(開催地は南アフリカ)。2007年には女子ワールドカップも開催される(開催地は中国)。サッカーをはじめとするスポーツ科学にとっても、電子機器にとっても、シミュレーション技術はますます不可欠になりそうだ。

発熱による空気の上昇流をシミュレーションし、部品配置の最適化を図る。色が赤いほど温度が高いことを表す。

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