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公開日: 2021年2月26日

地球環境から日々の健康維持まで。超小型CO₂センサがひらく未来

現在、世界規模の課題となっている地球温暖化。その原因となるだけでなく、私たちの健康にも大きな影響を与えるCO₂ (二酸化炭素)。家庭やオフィス、病院などで空気環境を改善するために、CO₂をはじめとしたさまざまなガスを検出するセンサのニーズが高まっています。TDKはこれまでのセンサのサイズを大幅に小型化したCO₂センサの開発に成功しました。

CO₂センシングのニーズの高まり

換気が十分でない部屋に長時間いると、集中力が低下したり、眠たくなったりした経験はないでしょうか。その原因はCO₂にあるのかもしれません。室内でCO₂の濃度が高くなると、頭痛や眠気、倦怠感など人の身体にさまざまな影響を与えることから、CO₂濃度は、空気汚染を評価する指標としても用いられています。ニューヨーク州立大学などが行った研究によると、室内のCO₂濃度が400ppm上昇するごとに、認知機能が20%低下すると報告されています。最近では、新型コロナウイルス感染症の拡大を抑えるために、空間のCO₂濃度を換気の目安として採用するケースも増えています。また、地球温暖化対策のため、工場や産業機器、自動車などから排出されるCO₂量を検知する機器のニーズも高まるなど、日々の健康から地球規模の問題まで、CO₂のセンシングはますます重要になってきています。

CO₂濃度による意思決定のパフォーマンスの変化

CO₂濃度による意思決定のパフォーマンスの変化

(出典)U.Satish, et.al. : Is CO₂ an Indoor Pollutant? Direct Effects of Low-to-Moderate CO₂ Concentrations on Human Decision-Making Performance, Environmental Health Perspective 120, 1671(2012)

CO₂が人の生産性に与える影響についての研究によると、CO₂濃度が400ppm上昇するごとに認知機能が20%低下し、500ppmでのスコアを基準にすると、2,500ppmまで上昇することで、意思決定のパフォーマンスは大幅に低下してしまいます。

これまでのCO₂センシングの課題

CO₂をはじめ、空気中の化学物質を測定するニーズは高まっているものの、これまでのCO₂センサには技術的な課題が多くありました。一般的なセンサは、気体中に存在する分子の量を光学的に測定する方式のため、センサのパッケージが大きいだけでなく消費電力も高く、高価なために、搭載できる機器が限られていました。また、eCO₂(二酸化炭素相当量)*1を測定するセンサは、小型で消費電力が少ないという利点はあるものの、空気中のCO₂を直接測定するのではなく、CO₂に相当する物質の量を測定する方式のため、検出精度が低いという課題がありました。

従来のCO₂センサとTCE-11101の比較

従来のCO₂センサとTCE-11101の比較

TDKが開発したMEMSベースのCO₂センサ「TCE-11101」は、従来のセンサの課題であった、サイズの大きさや消費電力の高さ、精度の低さを克服し、小型化と省電力化を実現しました。

小型、低消費電力のCO₂センサを開発

Dr. Sreeni RaoDr. Sreeni Rao
Senior Director, Emerging Business
InvenSense

TDKのグループ会社であるInvenSenseは、新しい材料開発とMEMS*2プロセス技術、AIと機械学習機能との組み合わせにより、これまでの課題を克服し、CO₂を直接かつ正確に検出できる小型のガスセンサ・プラットフォーム「TCE-11101」を開発しました。環境センサ「SmartEnviro™」シリーズのひとつで、モバイルデバイスにも搭載できる5mm×5mm×1mmという小型サイズが特長です。400ppm~50,000ppmもの広範囲でCO₂を検出でき、1mW以下の超低消費電力を実現しています。
開発を担当したInvenSenseの新事業担当のシニアディレクター、スリーニ・D・ラオ博士は、「TCE-11101は、IoT機器などのコンシューマ向けソリューションだけでなく、ガス漏れ検出、保健・医療など、幅広いアプリケーションへの応用が可能です。システムとの一体化やプログラミングがしやすく、お客様のシステム設計やその後の展開もしやすいのが特長です」と話します。TCE-11101の発売は2021年下半期を予定しています。

CO₂センサ「TCE-11101」

CO₂センサ「TCE-11101」

InvenSenseが開発した小型・超低消費電力のMEMS CO₂センサ「TCE-11101」。 家庭用、自動車、IoT、医療向け用途への活用が期待されています。製品についての詳細な情報は、InvenSenseサイト内「SmartEnviro™」ページをご覧ください。

小型CO₂センサがひらくアプリケーションの可能性

従来の方式と比べて、小型化と低消費電力化を実現したTDKのCO₂センサによって、これまで搭載できなかったさまざまな機器への応用が可能になります。気軽に部屋の空気環境を測定できるモバイル空気質モニタや、長距離運転中の安全運転をサポートする車載用空気環境モニタ。また、スマートビルディングやスマートホームにおいて、CO₂濃度に合わせて冷暖房空調設備(HVAC)をコントロールするシステムなどへの展開が期待されています。
CO₂以外のガスセンサの必要性についてもラオ博士は語ります。「私たちが呼吸している空気は、CO₂だけでなく多くのガスで構成されています。オゾン、一酸化炭素、亜酸化窒素、硫黄化合物、メタン、アセトン、ホルムアルデヒドなどのガスは、人間の健康に有害な影響を与えるため、モニタリングするニーズは高いといえます」。
温度や湿度に合わせて空調をコントロールするシステムは、いまや一般的なものとなりました。今後、CO₂をはじめとするさまざまなガスセンサが進化することで、さらに高度な空気環境のモニタリングが可能になり、より多くの人の健康維持に役立つことが期待されます。

CO₂センサのアプリケーション例

CO₂センサのアプリケーション例

InvenSenseでは民生機器や産業機器をターゲットに、「SmartSensor™」プラットフォームにおいて、加速度、角速度、磁気コンパス、マイクロフォンなどの多彩なセンサテクノロジーを提供しています。詳しくは、InvenSenseのWebサイトをご覧ください。

用語解説

  1. eCO₂:二酸化炭素相当物。eCO₂方式のセンサでは、CO₂の検出精度が不正確だった。
  2. MEMS:Micro Electro Mechanical Systems(微小電気機械システム)。電気回路と機械要素部品を集積化したデバイスのこと。製品の小型化、低消費電力化を実現する。

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